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七尾旅人インタビュー 「何億もの声」から見えてくるもの

七尾旅人インタビュー 「何億もの声」から見えてくるもの

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2010/08/13
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「2010年、最も待望視されていた作品」と言ってしまっていいだろう。弾き語りと即興を中心に、『歌の事故』や『百人組手』といったイベントを主催してきた自由自在なライヴ活動、クリエイターが直接ダウンロード販売できる新システム「DIY STARS」の共同開発、そしてじわじわと僕らの生活に浸透していった名曲“Rollin'Rollin'”と、充実の活動を経て3年ぶりに届いた新作『billion voices』は、何億もの声が聞こえるようになった現代を肯定的に捉え、人生を祝福し、未来に希望を投げかける、感動的な作品だ。誰もが音楽業界の未来をネガティヴに語る今、七尾旅人は毅然とした態度で言う。「明るい兆候がある」と。それでは、緊張感の中にも笑いの絶えなかった七尾旅人との同年代対談を、大ボリュームでお届けしよう。

(インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作)

二十歳のときにメジャーをドロップしたんですけど、そこからは自分にとって必要なことを1個1個自由にやっていきたいと思った。

―遂にアルバムが完成しました。制作は苦労しましたか?

七尾旅人インタビュー 「何億もの声」から見えてくるもの
七尾旅人

七尾:これまでに比べるとそうでもないですね。実質1年足らずです。全部自主でやっているので、他のインディペンデント・ミュージシャンと同様リリースのサイクルが空きがちなのですが。メジャーだと年に1枚出すことが義務付けられてるけど、できれば、その日のことはその日に決めたいじゃないですか(笑)。僕は二十歳のときにメジャーをドロップしてインディーになったんですけど、そこからは自分にとって必要なことを1個1個自由にやっていきたいと思ったんです。


―前作『911FANTASIA』から3年というスパンに関してはどうですか?

七尾:まあ、ちょうどよかったと思います。前作の『911FANTASIA』は非常にヘビーな制作で、命を引き換えにしてもこれを作るんだってぐらいの勢いで作ってましたし、その前にも『さいはて』っていう結局リリース出来ずじまいに終わってしまった2枚組アルバムを作っていたのですが、それは宗教がテーマで、『911FANTASIA』よりだいぶ重かったんですよ。それと並行して『ひきがたり・ものがたりvol. 1 蜂雀(ハミングバード)』を録ったりもしてたから、'07の夏に『911FANTASIA』が完成した瞬間に、生まれて初めて何かが一区切りできたなって気持ちもあって。

―それで今回、違うタイプの曲も作ってみたと。

七尾:実は俺、ポップスとか作るのもすごい好きなんですよね。『911FANTASIA』が完成した直後に、「いや〜疲れた……趣味性の高い曲も書いてみようかな」なんて息抜きで作ったのが“どんどん季節は流れて”。とても好きな曲です。そういう、これまでならお蔵にしてしまってたようなポップソングも今回は収録しました。のびのびした作品になったと思います。録音、録り方に関してはかなり試行錯誤しましたね。前作、『911FANTASIA』は全部家で打ち込みで作ったのですが、その後、奏者の友人がいっぱいできたんで、皆の助力も得ながら作ってみようと思って。それで、最初バンドで録ってみたんだけど、結局それはやめて家で一人で録り直して。

―それはなぜですか?

七尾:ちょっとトゥー・マッチだったんですよ。俺の音楽って歌とアコギ、2音くらいで成り立つなと、つくづく思い知って。ホントに最高のメンバーで、しかもZAKさんに録ってもらって、最高の状態でやったから、よりはっきりわかったんですよ、「あー、俺ってソロなんだな」って。ライブで5人とか6人でやってると非常に面白いんですけど、綺麗な音で録音してみると、自分の理想の状態と少し違ってたんです。じゃあやはり、基本に立ち返って独りで自宅録音してから、どうしても必要な分だけオーバーダブしようと。仲間に事情を話して、曲ごとに、最小限の追加録音をしました。弾き語りでしか出せないグルーヴと立体感を体感して頂けたら嬉しいです。


【MyX 10.07】七尾旅人 / どんどん季節は流れて

MyX|MySpace動画

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リリース情報

七尾旅人<br>
『billion voices』
七尾旅人
『billion voices』

2010年7月7日発売
価格:3,000円(税込)
felicity cap-96 PCD-18615

1. MIDNIGHT TUBE
2. I Wanna Be A Rock Star
3. one voice(もしもわたしが声を出せたら)
4. 検索少年
5. シャッター商店街のマイルスデイビス
6. BAD BAD SWING!
7. なんだかいい予感がするよ
8. あたりは真っ暗闇
9. beyond the seasons
10. どんどん季節は流れて
11. Rollin' Rollin'
12. 1979、東京
13. おめでとう
14. 私の赤ちゃん

プロフィール

七尾旅人

79年夏生まれのシンガーソングライター。98年のデビュー以来、幾つかの問題作を発表。07年9月11日には3枚組というボリュームで、驚異に満ちたインディペンデント・ミュージカル作品『911ファンタジア』を発売。また、ライブパフォーマンスも圧倒的な存在感を見せつけており、自身ライフワークと位置付け全国各地で開催してきた弾き語り独演会『歌の事故』、全共演者と立て続けに即興対決を行う『百人組手』の二つの自主企画を軸に、各地のフェス、イベント、Ustでも伝説的ステージを生み出し続ける。twitterで驀進中!!!Check it!

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堀込泰行“Waltz”

キリンジを2013年に脱退し、ソロアーティストとして再スタートを切った堀込泰行が、遂にリリースする1stアルバムの収録曲。どちらかといえばお兄さん=堀込高樹ファンである私としては、最近のKIRINJIの進化を大喜びしていたわけですが、泰行さんの作る普遍的なポップソングにもやはり、時代を超えていく力強さを感じるのでした。やっぱり堀込兄弟どちらも大好き。(柏井)