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湯山玲子と女性若手演出家が語る 女とクリエイティブを巡る座談会

湯山玲子と女性若手演出家が語る 女とクリエイティブを巡る座談会

インタビュー・テキスト
CINRA.NET編集部
撮影:豊島望

参加5団体すべての作・演出家が20代〜30代の若い女性たちという、小劇場演劇の精鋭を選りすぐった、芸劇eyes 番外編・第2弾『God save the Queen』が、9月12日(木)~16日(月)に東京芸術劇場で開催される。いずれも今、注目を集めつつある才媛たちの作品を一気に体感できるショーケースだ。今回は参加劇団の中から、市原佐都子(Q)、大池容子(うさぎストライプ)、鳥山フキ(ワワフラミンゴ)、西尾佳織(鳥公園)の四人と、編集者・湯山玲子を迎えての女性クリエイターばかりの座談会を開催した(※タカハ劇団の高羽彩は都合により残念ながら欠席)。今、あえて「女性」というキーワードで集められたショーケース。それぞれの思い、戸惑い、さらに女性という「性」や、そこから生まれる演劇作品について、それぞれに作風や思想も異なる彼女たちが語る、新世代の女性演劇作家の感覚とは?

「女性は自分の性を愛せない」という呪いがあると思うんです。やっぱり思春期に1回は自分の性と身体を憎んでる。社会からの視線もそうだし、おっぱいが大きくなったり、何たって生理がヤバいよね!(湯山)

湯山:私は1960年生まれで、みなさんのお母さんくらいの世代なんですね。どういう青春を過ごしたかというと、「女の時代」とか言われて女の子の感性が持ち上げられて、いろんな舞台で女性アーティストがぽんぽんと出てきた頃。フェミニズムという思想の中で上野千鶴子さん(社会学者)というスターも出て来た。20代はバブル時代にも引っかかっていて、女の人も経済力を持ったことで、フェミニズムの理論よりも金の力でとりあえずの平等が得られるということになって、思想が地下に潜ってしまった。男社会に依存するところは依存しておいて、女性は楽でおいしい得なものをとっていたほうがいい、という考え方が主流になったんですよね。しかしながら、いろいろあって、とうとう「3.11」ですよ! 加えて、少子高齢化と経済低成長における諸問題がリアルに女性を襲ってきているのが今だからね。

左から:湯山玲子、市原佐都子(Q)、鳥山フキ(ワワフラミンゴ)、西尾佳織(鳥公園)、大池容子(うさぎストライプ)
左から:湯山玲子、市原佐都子(Q)、鳥山フキ(ワワフラミンゴ)、西尾佳織(鳥公園)、大池容子(うさぎストライプ)

西尾:だいぶ飛びましたね(笑)。

湯山:とすると、今の女性は頼るものも何もない、ゴールもハッピーエンドも残されていない、というシビアな荒野に放り出された状態だと思うんですね。でも殺伐としているわけではなくて、そこで一人ひとりがいろんなことを考えて自分の生き方を模索している。その動きが演劇にどう出てくるか、というときに、さて今回『God save the Queen』(以下『GSQ』)というショーケースに、「女性作家」という観点で集められてしまいました。それについてどう思いますか?

大池:私は、自分の作品が「女性らしい」と言われるのがちょっと嫌で、今回もお誘いいただいた際に、「そうかー、うーん」と思っていて。何かしら女性らしさが滲み出てしまっているのかもしれないけど、俳優さんも性別を感じさせない人が好きだったり、自分としてはあんまり作品に女性性は無いんじゃないかと思ってます。

大池容子(うさぎストライプ)
大池容子(うさぎストライプ)

湯山:ミソジニー(女性嫌悪)っていう、「女性は自分の性を愛せない」という呪いがあると思うんですね。学生のレポートなんかを見てると、やっぱり思春期に1回は自分の性と身体を憎んでる。社会の制度もそうだし、おっぱいが大きくなったり、あと何たって生理がヤバいよね!(笑) そういうことが否応なしに外見にも出てきて、男から変な欲情をされたりして、恐ろしい世界に放り込まれちゃうじゃないですか。そのことに対しての異議申し立てっていうのは?

大池:うーん、どうでしょうね……。でも女性に限らず、好きな人の裸を見たくないっていうのはあって、青年団(劇団)の合宿で、すごい好きな先輩の女優さんとお風呂で一緒になったときがあったんですけど、夢が壊れるから見せないでっていう気持ちになったりしました。好きな俳優の裸は全部、キューピー人形みたいだったらいいなぁと思ってます。

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イベント情報

芸劇eyes番外編・第2弾
『God save the Queen』

2013年9月12日(木)〜9月16日(月・祝)全7公演
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場シアターイースト
上演作品(作・演出):
うさぎストライプ(大池容子)『メトロ』
タカハ劇団(高羽彩)『クイズ君、最後の2日間』
鳥公園(西尾佳織)『蒸発』
ワワフラミンゴ(鳥山フキ)『どこ立ってる』
Q(市原佐都子)『しーすーQ』
料金:前売2,500円 当日2,800円 高校生割引1,000円
※高校生割引は東京芸術劇場ボックスオフィスにて前売りのみ取扱い(枚数限定、要学生証)

プロフィール

大池容子(おおいけ ようこ)

1986年大阪府生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。2010年にうさぎストライプを結成。青年団の若手注目株。ポップでキュートであどけない世界観が、脳内麻薬的に観る人の心をとらえていく。どこかに行きたい、でもどこにも行けないような若者感覚が、せつなく、リズミカルに、そしてフレッシュにはじける。

西尾佳織(にしお かおり)

幼稚園から小学5年まで5年半をマレーシアで過ごす。中学から演劇を始め、実作の傍ら、東京大学では内野儀教授の指導の下で寺山修司を、東京藝術大学大学院では市村佐知雄准教授の指導の下で太田省吾を研究。2007年に鳥公園を旗揚げ。以降、全作品の脚本・演出、たまに出演をしている。「自分の想定の範囲をどんどん超えてくるもの」を呼び込む舞台には、肉片、スライム、潰れた卵、流木など、質感を持った物質が投げ出されるほか、詩、小説、唄なども引用される。築百年の古民家などで上演されることもあり、長い時間感覚を意識した独特のテンポで、世の中の「正しさ」からこぼれ落ちた、だけどチャーミングな存在をまなざす。

鳥山フキ(とりやま ふき)

劇団・ワワフラミンゴを2004年に旗揚げし、以来、カフェやギャラリーなどでの小規模な公演を、年に1回ほどのゆるやかなペースで行っている。作風は一見、女の子たちの戯れごとにも見えるが、かなりシュールに話が展開し、いつの間にか不思議な空気で客席を呑み込んでしまう。エビ、カニ、ホッチキス、双子等がなぜか気になっているよう。今回『God save the Queen』の参加作品『どこ立ってる』は「黄色いプラスチックの下敷き」(鳥山)のイメージとのこと。

市原佐都子(いちはら さとこ)

1988年大阪府生まれ福岡県育ち。桜美林大学総合文化学群演劇専修卒業。在学中は桜美林パフォーミングアーツプログラム(通称OPAP)で鐘下辰男、高瀬久男、伊藤千枝、坂口芳貞、などの作品に出演。2010年卒業研究として初の作・演出作品『虫虫Q』を発表。2011年Qを創設し劇作演出を担う。まだキャリアは浅いが、一気に注目を集め、同年『虫虫Q』をもとにした戯曲『虫』で第11回AAF戯曲賞を受賞。動物や食べ物がよくエピソードに登場し、ニンゲンの世の中の「形」に飼い慣らされきれない、そこからはみ出している存在を描く。軽やかに跳躍する独特の言語センスとグルーヴ感はもはや革命的。

湯山玲子(ゆやま れいこ)

著述家、ディレクター。文化全般を独特の筆致で横断するテキストにファンが多い。20代のアネキャンから、ギンザ、50代のハーズまで、全世代の女性誌にコラムを連載、寄稿している。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、『ビッチの触り方』(ワニブックス)、上野千鶴子との対談『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)等。月1回のペースで、爆音でクラシックを聴く、『爆クラ』イベントを開催中。 (有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

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