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湯山玲子と女性若手演出家が語る 女とクリエイティブを巡る座談会

湯山玲子と女性若手演出家が語る 女とクリエイティブを巡る座談会

インタビュー・テキスト
CINRA.NET編集部
撮影:豊島望

表現することを続けている人を尊敬します。自分ができるかな、って心配はあるんですけど。(市原)

湯山:演劇ってリーダーシップが必要じゃないですか。コントロールを全くしないわけにはいかない。一種の政治だよね。そこんところが女性は苦手、という空気が世間にはまだまだ存在する。みなさんはどういう力学で、俳優たちに言うことをきかせているんですか?

市原:それは……(赤裸々すぎて割愛)。

一同:爆笑

―悪魔ですね(笑)。

湯山:素晴らしいね。

市原:なるべく大らかでいるようにしています(笑)。

鳥山:そんなのやったことない(笑)。私はテンパっちゃうタイプなので、なるべくそれをみんなに自然に伝えます。別に不機嫌で黙ってるわけじゃなくて、テンパってるからこうなんだ、と。

鳥山フキ(ワワフラミンゴ)

湯山:手助けしてくれる人をメンバーの中に求めたりします?

鳥山:みんないい子なんで、ほぼ全員そうなっています(笑)。

西尾:以前は何か問題があったときに、「全部自分がなんとかしなきゃ。みんなごめん、俳優は悪くない」って思ってたんですが、最近は作・演出と俳優の仕事を分けて考えられるようになってきていて。付き合いの長い俳優さんがいろいろ分かってくれてるのもあって、一人で握りしめてたものをやっとちょっとずつ手放せるようになってきたかな、という感じ。でも市原さんが言ってたみたいに、「全然稽古と違うじゃん!」ってときに殺意を抱くのは分かる(笑)。コントロールしないのはなんでもオッケーという意味ではないから。登ろうとしてる山の特徴はこうで、日々山の状況は違うんだけど、どんなに遭難しても山頂に辿り着けるためのトレーニングはしたよね、っていうのが稽古なのに「なんで下山した!」みたいな。

湯山:そうだよね、下山するやついるんだよね!(笑) あなたたちの世代は下山率高いでしょ? 大変だよ。下山保険かけたいよね。

西尾:それを自由だと勘違いしてるときとか、ほんと嫌だと思って。

大池:うちは徹底的に優しくします。実際、腹が立ったこともまぁそんなに無いです。でも、基本的には有無を言わさずやってもらってるというか。鳥山さんみたいに、無意識でいい子を選んでるのかもしれない。逆に「こんな大変なことさせられて、みんなよく怒らないなぁ」って思ったりもします。

湯山:10年後や20年後の自分や劇団のイメージってありますか?

市原:表現することを続けてる人を尊敬します。自分ができるかな、って心配はあるんですけど。あと、子供も産んでみたいです。表現することを続けて、今より自分が納得できるものを作れるようになれたらいいな。それでお金がもらえるようになってたらいいなと思います。……そりゃそうですよね(笑)。

鳥山:まったく同じですね。でも私は年齢が少し上なので、そんなこと言ってる場合じゃないんですけど(笑)。自分を使った実験みたいな感じですね。お金もないし、このままどうなるのかという。希望としては、表現分野の末端で少しでもお金がもらえれば、と思います。

西尾:私もきっと何かしらやっていくと思うんですけど、現実的な条件も大事なことだと思います。折れないためにも。もし商業的なお話をいただいたら考えると思いますけど、そっちに行きたいというのはなくて、今ここまでやって来ている線の上でもっと進んでいきたい。劇団に関わる全員が生活できるという可能性が、なかなか思い浮かばないんですけどね……。あとは、作品を作り続けることと同時に、どうやったら演劇にお返しできるか。それは次世代を育てたいっていうことだけじゃなくて、ワークショップとか大学とか、もっと演劇のことを考えられるような場が必要だなと。どうしたら演劇に閉じこもらずに、パブリックであれるんだろう、それがお金になったらいいよなぁ、と考えています。

西尾佳織(鳥公園)

湯山:日本も蓄えがないし、大学も縮小傾向にあるし、ネオリベラリズムで、自分のことは自分でやれって風潮になっちゃったでしょ。厳しいよね。みんなでバーやったりしたら? 全共闘っぽくなっちゃうけど(笑)。劇団員がピザ屋で大儲け、とかさ。

―週替わりの劇団カフェとかでもいいですね。

大池:そういえば、常々うちの団体の人たちは、カフェを作ろうみたいな話をしていて。私はあんまり関与してないんですけど、なんか「お金のこととか、ちゃんとしたことは考えずに、好きなように演劇作れ」と、みんなは言ってくれてます。

湯山:いいじゃない(笑)。グッズ作ったりとか。そういうの、演劇の人たちってすぐ作れるだろうし。あと、コミュニケーション指導とか、世の中に演劇が還元できるノウハウって、いっぱいある気がしますよ。

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イベント情報

芸劇eyes番外編・第2弾
『God save the Queen』

2013年9月12日(木)〜9月16日(月・祝)全7公演
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場シアターイースト
上演作品(作・演出):
うさぎストライプ(大池容子)『メトロ』
タカハ劇団(高羽彩)『クイズ君、最後の2日間』
鳥公園(西尾佳織)『蒸発』
ワワフラミンゴ(鳥山フキ)『どこ立ってる』
Q(市原佐都子)『しーすーQ』
料金:前売2,500円 当日2,800円 高校生割引1,000円
※高校生割引は東京芸術劇場ボックスオフィスにて前売りのみ取扱い(枚数限定、要学生証)

プロフィール

大池容子(おおいけ ようこ)

1986年大阪府生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。2010年にうさぎストライプを結成。青年団の若手注目株。ポップでキュートであどけない世界観が、脳内麻薬的に観る人の心をとらえていく。どこかに行きたい、でもどこにも行けないような若者感覚が、せつなく、リズミカルに、そしてフレッシュにはじける。

西尾佳織(にしお かおり)

幼稚園から小学5年まで5年半をマレーシアで過ごす。中学から演劇を始め、実作の傍ら、東京大学では内野儀教授の指導の下で寺山修司を、東京藝術大学大学院では市村佐知雄准教授の指導の下で太田省吾を研究。2007年に鳥公園を旗揚げ。以降、全作品の脚本・演出、たまに出演をしている。「自分の想定の範囲をどんどん超えてくるもの」を呼び込む舞台には、肉片、スライム、潰れた卵、流木など、質感を持った物質が投げ出されるほか、詩、小説、唄なども引用される。築百年の古民家などで上演されることもあり、長い時間感覚を意識した独特のテンポで、世の中の「正しさ」からこぼれ落ちた、だけどチャーミングな存在をまなざす。

鳥山フキ(とりやま ふき)

劇団・ワワフラミンゴを2004年に旗揚げし、以来、カフェやギャラリーなどでの小規模な公演を、年に1回ほどのゆるやかなペースで行っている。作風は一見、女の子たちの戯れごとにも見えるが、かなりシュールに話が展開し、いつの間にか不思議な空気で客席を呑み込んでしまう。エビ、カニ、ホッチキス、双子等がなぜか気になっているよう。今回『God save the Queen』の参加作品『どこ立ってる』は「黄色いプラスチックの下敷き」(鳥山)のイメージとのこと。

市原佐都子(いちはら さとこ)

1988年大阪府生まれ福岡県育ち。桜美林大学総合文化学群演劇専修卒業。在学中は桜美林パフォーミングアーツプログラム(通称OPAP)で鐘下辰男、高瀬久男、伊藤千枝、坂口芳貞、などの作品に出演。2010年卒業研究として初の作・演出作品『虫虫Q』を発表。2011年Qを創設し劇作演出を担う。まだキャリアは浅いが、一気に注目を集め、同年『虫虫Q』をもとにした戯曲『虫』で第11回AAF戯曲賞を受賞。動物や食べ物がよくエピソードに登場し、ニンゲンの世の中の「形」に飼い慣らされきれない、そこからはみ出している存在を描く。軽やかに跳躍する独特の言語センスとグルーヴ感はもはや革命的。

湯山玲子(ゆやま れいこ)

著述家、ディレクター。文化全般を独特の筆致で横断するテキストにファンが多い。20代のアネキャンから、ギンザ、50代のハーズまで、全世代の女性誌にコラムを連載、寄稿している。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、『ビッチの触り方』(ワニブックス)、上野千鶴子との対談『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)等。月1回のペースで、爆音でクラシックを聴く、『爆クラ』イベントを開催中。 (有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

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