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「フジワラノリ化」論 −必要以上に見かける気がする、あの人の決定的論考− 第4回 関根麻里 其の三  息子の嫁に、というツボに突進していく関根麻里

「フジワラノリ化」論 −必要以上に見かける気がする、あの人の決定的論考− 第4回 関根麻里 其の三 息子の嫁に、というツボに突進していく関根麻里

武田砂鉄
イラスト:樅田裕美(momi)
2009/01/26

其の三 息子の嫁に、というツボに突進していく関根麻里

目白駅そばの大戸屋で「しまほっけ定食」を食べていた。彼氏と彼女という関係性を含まない、女2名・男1名の3人組が入ってくる。近場の大学の学生のようだ。テストが迫っているのか、お手製のまとめノートを片手に一人の女子が二人に質問を出している。医学系なのだろう、質問も専門的だ。「ヘリコプターヒロリ菌(僕にはそう聞こえた)を除去するにはどうゆう処方が必要?」と聞けば、何故かもう一人の女子は無視を決め込んで携帯電話をいじくり回し、男子のほうが、うーんとねー、それはねー、と何菌だったかを懸命に思い出している。えーこんなのも分からないのぉと女子が首を傾げれば、うっせーよ、思い出せないだけだよと言いながらちょいと真剣に怒ってみたりしている。青春マンガで読んだようなやりとりである。クラスで一番勉強のできる女子と、テスト勉強を怠っているガキっぽい男の子、あのやりとりだ。そして、ここから恋が芽生えるのだ。しかし、それはそいつらが、野球部のエースとマネージャーだったならばの話だ。大戸屋の学生はそうではない。それに、男子にその思惑があったとしても、女子にはない。女子は、実直にそのやりとりを楽しんでいた。何とかヒロリ菌を真剣に問いかけることを楽しんでいたのだった。

第4回 関根麻里

関根麻里というのは実直である。邪推はしないし、手抜きもしない。目の前に出された料理を美味しく食べようとする。自分なりにまとめたノートを作って、そのノートから設問を出すのを心から楽しむような実直さに支えられている。もちろん、実際がどうかは知らない。知る必要も無い。前回、関根麻里が持つ「笑顔」の力に触れたが、その笑顔の発生の仕方はいわゆるベタであった。ベタな所で「きっちり笑顔」というNHK的レスポンスの強度が関根麻里を貫いている。関根勤から発動しないのが関根麻里であると書いたが、関根勤というのは芸人にしては家庭を臭わすタイプであったはずなのだ。それこそ、オリコンが発表した2007年度「理想の父親像ランキング」で、所ジョージに次ぐ第二位にランクインしたほどなのだ。このランキングの詳細が興味深い。総合第一位を所ジョージに譲ったとはいえ、「女性が選んだ編」「高校生」「専門・大学生」のランキングでは関根勤が一位なのである。若い女子、会社へ入るか入らないくらいの女子に好かれている、それはそのまま関根麻里のことである。関根勤にとって、関根麻里の存在がいかに大きいかが分かる。例えば「浮気をしなさそうな芸人」のようなアンケートをすれば間違いなく関根勤は上位に入ってくるだろう。関根麻里は関根勤に頼っていないが、もしかしたら関根勤は関根麻里に助けられているのかもしれない。すごいことである。

女性に対して、誰かに寄り添うとか帰属するというような言い方は適切ではない時代だが、あえて関根麻里を「誰かの何」に置いてみようとすると、それは「息子の嫁」に当たるのではないか。関根麻里は、目白の大戸屋にいた女子大生のように、対・男性への性的介入を持たずに安堵へ至らせる存在なのである。世の親は、息子の嫁に当たり障りのない女性を望む。いや、その言い方は適切ではないかもしれない。当たらない障らない嫁であって欲しいと願う。どういう嫁であって欲しいかではなく、「〜でなければいい」をクリアしているかがポイントなのだ。消極的だが、消極的な選択肢を潰していくのが「息子の嫁」に対する積極的な診断なのである。関根麻里はこの診断を軽々とクリアする。騒いでいても控えめである。静かでいても、にこやかで存在感がある。旧来の考え方に沿う形で、関根麻里は「息子の嫁」的を担っている。

というような話を、ある新年会でしていたら、いや、息子の嫁ではなくて、いとこの嫁ではないかという意見をもらった。貴重な意見だ。いとこの嫁というのは、興味の湧きにくい対象なのである。かわいくてもブスでも、うるさくても静かでも、そのどちらであっても「あー、『っぽい』のをつかまえたね」となる。それで終わる。年末年始とお盆の二回くらい会うだけで、「どうですか調子は」なんてざっくりとした質問を投げられては「ええまあ」と返してみる関係。正直、誰の嫁だったかも忘れてしまうのだ。関根麻里は、要素としてはその手のスムーズさを持っている。親戚には嫌われないだろう。しかし、忘れられもしない。気持ちよいほど笑顔で、天真爛漫で、必要に応じて笑いも取れて、節度をわきまえる。いとこの嫁の存在感からは抜きん出ている。息子の嫁に求められる「〜でない」を幾重にもクリアし、それでも笑顔を絶やさない。息子の嫁となれば、場合によっては嫁姑問題という重圧と対峙するわけだが、まずそこまで行かせないだろうという安定感があるのだ。とあるサイトのBBSで「息子の嫁には誰がイイか」というようなやりとりをしており、そこへ関根麻里の名前が出てきている。「関根麻里ちゃん(関根勤さんのお嬢さん)がいいなぁ。可愛いし聡明だし、何よりあの笑顔に癒されます。でもウチの息子にはちょっともったいないです。」と書き、そこへの返答が「笑顔が素敵ですし、性格も良さそうです。いるだけで家の中がパァッと明るくなりそう。。。」である。こういう自然なやりとりが、いとこの嫁ではなく、息子の嫁であることを証明している。実は、「息子の嫁ランキング」で堂々一位に輝いているのは、前回で比較論を展開したベッキーなのである。やはり、この類いなのだ。ベッキーには無くて関根麻里には無いものを挙げておけば、それは、関根勤という「具体」である。ますます、息子の嫁というラインを強化していくべきだろう。

次回は、「『性格が良さそう』という風説について」記していきたい。関根麻里に限らず、「性格良さそう」「性格悪そう」という論議が繰り返されている。分かるはずもないその二項で語ろうとするのは何故なのか、「性格が良さそう」とは何か、関根麻里を明らかにする意味でも重要な視座となるだろう。

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