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あの人の音楽が生まれる部屋

ソフトロックやバーバンクサウンド、あるいはティン・パン・アレーといった1970年代音楽のエッセンスを、現代的なグルーヴで再構築したサウンドを奏でるcero。2011年にカクバリズムより『WORLD RECORD』でアルバムデビューを果たした彼らは、前作『My Lost City』よりおよそ1年振りとなる最新シングル『Yellow Magus』で、これまでの3ピースから一気に8人編成の大所帯でレコーディングをおこない、さらなるグルーヴの強化を打ち出すことに成功しました。そんなceroのオリジナルメンバーである高城晶平さんと荒内佑さんは、どのようにして出会って共に音楽を奏でることになったのでしょうか。彼らが「根城」と称する奥沢のPastoral Sound Studioを訪ね、そのサウンドの魅力に迫りました。

テキスト:黒田隆憲 撮影:豊島望 取材協力:Pastoral Sound Studio

cero(せろ)

cero(せろ)

Contemporary Exotica Rock Orchestra、略してcero(セロ)。2004年に高城晶平、荒内佑、柳智之で結成。06年ごろからジオラマシーンとしても活動する橋本翼が加入。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる。11年、初の流通音源『WORLD RECORD』をリリース。直後に柳が絵描きとしての活動に専念するため脱退。12年10月、2ndアルバム『My Lost City』を発表。

http://www.geocities.jp/cerofan/

『魔法陣グルグル』が大好きだった子ども時代〜
大人の漫画との衝撃的出会い

ceroの機材

結成時からのオリジナルメンバーである、フロントマンの高城晶平さん(vocal / flute / guitar)と荒内佑さん (keyboards / chorus)。二人は高校時代に出会うのですが、それまでは全く別々の幼少時代を送っていました。高城さんは漫画が大好きで、小学校から高校くらいまでは自分でも描いていたのだそうです。

高城:小学生のときは、衛藤ヒロユキさんの『魔法陣グルグル』が好きでした。ギャグ半分、RPG半分みたいな世界だったんですけど、DJもやっていた衛藤さんは、音楽ネタを作品の中にしのばせたりしていたんですよね。当時は何も分からず読んでいたんですけど、「なんかカッコいいな」とは思っていました。中学生になると、江口寿史さんが責任編集していた雑誌『COMIC CUE』にすごく影響を受けて。そこに出ていた漫画家さんたちは、他の漫画雑誌では読めないような作品ばかり描いていたんですよ。いましろたかし、よしもとよしとも、安達哲、黒田硫黄……。エロ漫画もありましたし、大人の読み物としての漫画との衝撃的な出会いでした。

フリマでMTRに出会った荒内と
ゆずに親近感を覚えた高城、二人の音楽遍歴が交差

高城(cero)

一方、荒内さんは、物心ついたときから音楽に囲まれて育ちました。ピアノを習っていたお兄さんが家で練習しているときには、いつも隣で見ていたそうです。そのうちに見よう見まねで演奏するようになり、それを褒めてくれたのがおばあちゃんでした。

荒内:祖母は小学校の音楽教師だったんです。「ああ、やっぱり自分は才能あるんだな」って思ってましたね、幼稚園の頃の話ですけど(笑)。実家の倉庫には古いオーディオやアンプ、無線機なんかがいっぱいあって、そういうのを引っ張り出していじるのも好きでした。小学生の頃に好きだったのはTM NETWORK。彼らってステージにシンセをたくさん積んでいるじゃないですか。それがピコピコ光っているのを「かっこいい!」と思って見ていたんです。宅録をやるようになったのは、小学校5、6年生の頃かな。父親とフリーマーケットへ行ったらカセットテープのMTRが置いてあって。それを5千円くらいで買ってもらったのがきっかけですね。ヤマハの家庭用キーボードと、RX21っていう古いリズムマシンを使って適当に音を重ねて遊んでいました。

高城:うちは両親が音楽好きだったので、それまでも音楽は聴いていたんですけど、本格的に僕が音楽に目覚めたのは中3くらいのとき。当時、僕らの世代は「ゆずっこ」(フォークデュオ、ゆずのファンのこと)がたくさんいて、僕もその一人でした。僕には生みの父親と育ての父親がいて、生みの父親はイギリス音楽が好きで、レコードやCDを送り付けて教育してくれることも(笑)。一方、育ての父親はすっごくアメリカ音楽好き。ジェイムス・テイラーやニール・ヤング、CSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)、ボブ・ディランなどを聴いていましたね。家にはCDもレコードもたくさんありました。

しかし、親が音楽に詳しいことでかえって距離を置いてしまい、そうした音楽を「自分のものにしよう」という意識にはなかなかなれなかったそうです。それに対してゆずには、「自分たちにもできそうだな」と思わせるものがあったとか。自分と近い世代の二人がアコギを持って歌っている姿に親近感がわき、それがきっかけで家にあったアコギを弾いてみるようになりました。

高城:そのうち、くるりを聴くようになりました。まず見た目がとっつきやすいじゃないですか。ナードっぽいというか(笑)、「自分に近いな」と。最初は「ゆずみたいな音楽かな?」と思って“青い空”を聴いてみたら、すごくうるさい音楽だったのもビックリした。「全然ゆずじゃないじゃん!」って(笑)。でもそこで、自分の耳がアップデートされるのを感じましたね。彼らをきっかけにはっぴいえんどのことを知って、「そういえば親が持っていたかも」と思って家に帰って調べてみたら、案の定あった。そこでようやく親が聴いている音楽に手を付けるようになっていったんです。それが高校1年くらいのときかな。

荒内から高城にいきなりラブコール
CDを見せ合い意気投合

荒内(cero)

後にceroのメンバーとなる橋本翼さん(guitar / clarinet / chorus)と高城さんが結成していたバンド「コーヒー・フィルター」のライブを荒内さんが目撃したのもこの頃。荒内さんも当時、別の高校で柳智之さん(ceroの初代ドラマー)とともに、「珈琲家族」(!)というバンドで活動していました。

荒内:それまで自分はずっと宅録をやっていて、「バンドとかすげえダセえ」って思ってましたね。大きい音でみんなでわーってやっててかっこ悪いなって(笑)。だからバンドをやり始めたきっかけも惰性というか。パンクやヒップホップが好きだった友人に、「どうしても一緒に軽音楽部に入ってほしい」って1週間くらい毎日言われ続け、さすがに断るのも面倒くさくなって……。もうなしくずしで始めたようなものですよ(笑)。でも、高城くんのバンドはなぜか気になったんです。当時は僕もくるりとかが好きだったんですけど、同じような趣味の友達が周りにいなかったし。それで、共通の友達から彼のケータイ番号を聞いて電話してみました。

高城:いきなり電話がかかってきたんです、「今から遊びに来い」って。「え、誰?」って思いましたね(笑)。「好きなCDを持って来い」っていうので、ここはカマさないといけないと思って厳選しましたよ。細野さんの『HOSONO HOUSE』、Phoenixの『United』、それからBasement JaxxやBUILT TO SPILLも持って行った。「守備範囲が広いだろ」ってところを見せとかないといけないじゃないですか(笑)。

荒内:あとThe Avalanchesね、これは僕も用意してた(笑)。でも、他は全然知らなくて「ヤバイ……」と思いましたね。そのときに高城くんが『HOSONO HOUSE』の中から“恋は桃色”を聴かせてくれて、「まあ、サーフロックだけどね」って知ったかぶって言ってたことは今でもはっきり覚えています(笑)。でも、当時の僕は70年代の音楽を全く聴いていなかったから、その良さを高城くんに教えてもらったんですよね。

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