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音楽を、やめた人と続けた人



ある時までは夢に向かって「順調」に進み、自分の才能を過信していた人間が、その夢を捨てるというのは、それなりの痛みを感じる経験でもあった。自分で自分の才能を否定し、自分の才能を信じてくれていた人たちの期待も裏切り、自分はこうあるべきだと思い描いていた理想像や、自分の存在理由をゴミ箱に押し込めなくてはいけないからだ。
必死の思いで何とかゴミ箱に押し込んでも、そのゴミ箱を空にするのがまた難しい。「そんなはずはない、まだ十分に可能性はあるはずだ」と、未練がくすぶり続けたりする。そうやって答えをださないまま可能性を延命させておいたほうが、痛みを感じなくてラクなのだ。そんな中途半端なままで夢が叶うはずもないのに、「諦めなくちゃいけないけど、諦めたくない」という想いがこびりついてなかなか取れない。自分の半生をかけて育ててきた想いだから、その根は想像以上に深かった。
それでも今、こうして自分たちの会社やメディアが軌道に乗っているのは、そうした挫折を味わってきたことも少なからず影響している。「仕事」として自分たちの「やりたいこと」を実現するために、「いるもの」と「いらないもの」をギリギリのラインで取捨選択する。仕事としてその選択を迫られ、繰り返しているうちに、自分たちのやりたいことを世の中で表現していくためには、自分のつまらないこだわりやプライドなど必要ないことに気づきもした。だから今になってみれば、音楽をやっていた自分の覚悟が如何に足りていなかったのかもよく分かる。
そういう経験を経て、ぼくは再びPBLに出会った。あの頃の風景に留まっているままの彼らを知って、いつかの自分と同じように、諦めきれない夢を追い続けているんだろうと思いもした。同じ風景をみていたあのツアーから5年間経って、彼らがあのまま何も結果を出せずにいるのなら、音楽を仕事にするための何かが足りていないんだろう。それが才能なのか、覚悟なのか、それとも別の何かなのかは分からなかったけれど、彼らが、もしかしたら最後になるかもしれない勝負に打って出ると聞いて、ぼくが経験した岐路を、彼らがどのように取捨選択し考えるのか、見てみたいと思ったのだった。
そうしてこの連載を始めてからのPBLは、図らずも10年に及ぶ彼らの歴史のなかで、最も順調に事が進んだ季節を過ごした。先月公開した第5〜6話に書いた通り、2010年の夏から始まったPBL再起へのシナリオは、超過酷なスケジュールながら、たった半年で2枚のアルバム制作とツアー行脚という実績を産み落とした。本人たちも自信を取り戻したかのように、嬉々として自分たちの音楽を語るようにもなり、今まで前に進めなかったのが嘘のように前進を続けている。そして1月には遂に全国流通盤のアルバム『Ground Disco』をリリースし、主要な音楽専門誌からは軒並み賛辞をもって迎えられ、PBLの再起が報じられた。
ここまでの半年間は、本当に順調だった。大切なところで必ず爆弾を投下してしまうナカノヨウスケを、他のメンバーやスタッフが見事に軌道に乗せている姿を見て、ぼくも本心から「もう大丈夫だ」と思いもした。そしてまた、現在PBLが回っている2ヶ月にも及ぶ大型ツアーで、そんなぼくの確信を全国の人たちに証明してくれるだろうと思っていた。1月27日、PBLのツアー初日でもあったCINRA主催のイベント『exPoP!!!!! vol.46』で、彼らに会うまでは。
当日のライブ動画だけでは、一体その日に何が起きたのか、その全てを感じ取ってもらうのは難しいだろう。実際の話、色々と驚きの多いライブだったのは確かだし、お客さんに十分過ぎるほどのインパクトを与えたのも、間違いのないところだった。でもそれが、ここまで彼らを追い続け、ツアー初日の舞台を用意した人間を心から満足させたかといえば、残念ながらそうでは無かったのだ。
では果たして、それはどんな内容だったのか。思わせぶりな終わり方で後味が悪いけれど、この一連の出来事は、短文でまとめられるほど容易な内容ではなかったのだ。当日スタッフからも「実はまた、つい最近事件が起きた」という話を聞いたぼくは、その全容と、その後の彼らのツアーやライブがどんな状況になっているのか確かめるべく、ツアーへ同行取材もしてきた。本来なら次で最終回となるはずだったこの連載も、お陰様でそう簡単に終わることもできなくなってしまったが、「続けた人」の生き様を知る良い機会にもなった。3月半ばには、一連の出来事についてまとめた記事を掲載したいと思うので、楽しみにしていただきたい。
結果はどうなるにせよ、PBLのメンバー四人それぞれにとって、人生の大きな分岐点になり得るツアーファイナルは、もう1ヶ月後に迫っている。3月26日に新宿MARZで行われるワンマンライブまで、「音楽を続けた人」はどんな生き様を見せてくれるのか。それによって自ずと結果は出るはずだ。
PaperBagLunchboxの近況コーナー

遂にリリースされたサードアルバム

Ground Disco

PaperBagLunchbox『Ground Disco』
2011年1月12日発売
価格:2,415円(税込)
WRCD-47 / Wonderground
amazon iTunes

■Side A
1.Ground Disco
2.アーバンソウル
3.watching you
4.キスレイン
5.VELVET
6.月のまばたき
  ■Side B
7.明け星
8.オレンジ2011 ver.
9.マイムを踊れ
10.ストップ
11.帰れない街
12.運命の丘

※PBL初のライブアルバム『PBLive1』の
ダウンロードパスコード同梱



PBL驚きの新企画発動!

ただいま絶賛ツアー中のPBLが、ツアーのライブ動画をyoutubeにアップする新企画「即レポPBLive その場で撮って出し(ほぼ毎回)」を始動。
そしてさらに、最新アルバムの人気曲「アーバンソウル」と「マイムを踊れ」のリミックスバージョンを無料配布することも決定!
詳しくはオフィシャルサイトまで


ただいま絶賛全国ツアー中!

ツアーファイナルのワンマンライブは、3月26日@新宿MARZにて。
アルバムの試聴やツアー情報が掲載されている特設ページへ

 
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