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Open Reel EnsembleがDJ KENTAROをLock On!

Open Reel EnsembleがDJ KENTAROをLock On!

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作

予定調和を見てるのとは違うわけで、まさに「そこで何かが起こってる」っていうのは熱い何かがありますよね。

―事前にはどんなことを考えて本番に臨んだのですか?

和田:オープンリールは取り入れた音が音源になるマシンなので、録音したAFRAさんの肉声を加工して、電子音とも体から出た音とも違う、その中間に位置するような音を出したいっていうのはありました。

吉田悠:上手くいけばAFRAさんの音を解体して、AFRAさんよりすごい音にして返して、もうその音に任せちゃうぐらいの勢いでやりたかったんです。テープをおでこに引っ掛けて、頭の動きでAFRAさんの声を崩すとか、体でテープを引っ張って、どんどんビートが崩れていくとか。

和田:「テープキコウ」って言ってて、「気功」と「機構」をかけてるんですけど(笑)。でもそれをやろうとしたら…何の音も出なくて(笑)。

吉田悠:単に引っかかって、動けなくなっちゃった(笑)。

吉田悠
AFRA VS Open Reel Ensemble

和田:なので僕らの構想とは全く違う方向に行っちゃったんですけど、それで吹っ切れたようなところもあったと思います。

―個人的な印象としては、キカイと人間が勝負するSF映画みたいだなって思いました。まず、オープンリールが並んでる時点でSF映画っぽいし、そこにキカイの音を出す人間が加わって、その音をまたキカイが録音して加工してっていう、両者の境界線が崩れていくような、不思議な感覚でした。

和田:僕ら自身対決してるような感覚ってあって、アートパフォーマンスの要素もあるんですけど、段々自分たちが操ってるのか、操られてるのかよくわからなくなってくるんですよ。でも身体で向き合ってる感じはあるので、いつも終わると汗だくで…いやあ、でも面白かったですね。リハしようとしたら止められましたけど。

難波:当たり前じゃん。

―そういうコンセプトだから(笑)。

和田:ホントに何が起きるかわからない、予定調和を見てるのとは違うわけで、まさに「そこで何かが起こってる」っていうのは熱い何かがありますよね。それを再確認できた感じはありました。AFRAさんとバーサスになってたかはわからないですけど、自分自身とは戦ってたと思います。

―いろんな方向でバーサスだったわけですね。自分とも、メンバーとも…

和田:マシンとも戦ってるし、AFRAさんとも戦ってるし、PAとも戦ってたかもしれないです(笑)。

デザインだのなんだの言ってるわりに、結局は衝動なんです。

―ではそんな経験を踏まえて、今回はどのような構想を持って臨みますか?

和田:DJ KENTAROさんといえば、レコード・スクラッチにおける日本の頂点に君臨してる人で、僕らは磁気テープにおけるスクラッチ界の…って、他にやってる人いないんですけど(笑)。そういう意味で、ビニールの出す音色と、磁気テープの出す音色っていう対比はあるかもしれないですね。


難波:僕らがオープンリールに感じてる空想世界みたいなものを、会場で出せたらいいなとは思ってます。お客さんがDJのすごい迫力と技術でワッとなる中で、「あいつら、淡々と変な世界作ってるな」みたいなのはやりたいです。

―空想世界っていうのはどういうことですか?

和田:オープンリールって、不便で、廃れていってるメディアですけど、これならではの視覚的・聴覚的な魔術みたいなものがあって、そこに変な世界を見てるんです。単純に、テープが回ってる絵を最初に見たときに、その先に広がっているストーリー性みたいなものを感じたんですよね。その空想的なものと、そのメディア独特の質感っていうのは僕らの中でセットになっていて、それをどう表現していくかっていうことを考えてます。

―なるほど。そういう部分にも、オープンリールとターンテーブルの違いを見てると。

難波:オープンリールを簡単に説明するときは、「録音できるターンテーブルで、スクラッチもできます」みたいに言っちゃうんですけど、そもそもがターンテーブルとは違いますからね。

吉田匡:スクラッチも、DJ KENTAROさんと僕らでは全く生まれる音が違いますし。

難波:だから、僕らがやってるのはスクラッチじゃないんだよね、多分。わかりやすいから「スクラッチ」って言っちゃってるけど、ホントは別名称だと思うんです。DJの人と一緒にやると「似てる」って言われるし、僕らもそういう先入観はあるんですけど、ターンテーブルがなかった場合を考えて、こっちで勝手に進めていく方が、自然に僕らの在り方が見えてくるのかなって。

難波卓己
難波卓己

和田:現実的にはレコードの方がスクラッチしやすいんだけど、それをあのオープンリールでやるっていうユーモラスな部分、ちょっと角度を変えると世の中が面白く見えるっていう、そういう架空の世界というか、自分たちの映画を投影する感覚なんですよね。テクノロジーの進化に対して人間がどう向き合うかっていうのは映画的な世界観で、オープンリールはある種猿に戻ったような、原始的な感覚でやってるイメージがあるんです。デザインチックにコンポジションしておきながら、結局はそれを忘れて汗だくで演奏してるっていう。

難波:昔は動き方とか立つ位置についてもすごく言ってたよね? で、僕らは言われたようにやってみているんだけど、ライブ中に(和田を)見ると、やってない(笑)。デザインだのなんだの言ってるわりに、結局は衝動なんです。

和田:21世紀的な発想で行こうとか思ってたら、いつのまにか太古へ…。

難波:いつのまにかっていうか、2曲目ぐらいでもうなってるよ。

―(笑)。やっぱり『BOYCOTT』的なグループだってことかもしれないですね。最終的に、その場の衝動が大事っていうのは。

和田:野生と理性がバーサスしてるんです(笑)。

3/3ページ:デジタルのシュミレートとは違うテープの響きっていうのを、僕らの色として提示していきたい。

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イベント情報

『BOYCOTT RHYTHM MACHINE VERSUS LIVE 2012』

2012年3月21日(水)OPEN 18:45 / START 19:30
会場:東京都 水道橋 後楽園ホール

出演:
坂本龍一 vs 大友良英
DJ KENTARO vs Open Reel Ensemble
いとうせいこう vs Shing02
ゲスト:やくしまるえつこ
オープニングアクト:千住宗臣 vs 服部正嗣

料金:
一般席4,800円(各プレイガイドにて発売中)
学割(立見)2,900円(ウェブサイトにてメール予約を受付中)
当日5,500円

プロフィール

Open Reel Ensemble

09年より活動開始。時代の表舞台から姿を消した旧式のオープンリール式磁気録音機を現代のコンピュータとドッキングさせ「楽器」として駆使して演奏するプロジェクト。その場で声や音をテープに録音、リールの回転や動作をコンピュータで制御したり、人力で操作することでオープンリールを演奏する。メンバー:和田永(Reel&Concept)佐藤公俊(Reel)吉田悠(Reel&Perc.)難波卓己(Reel&Vln.)吉田匡(Bass)。11年にはスペイン・SONAR BARCELONA、オーストリア・ARS Electronicaにも出演。

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