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気軽に政治を楽しもう 津田大介、立薗理彦、前田豊インタビュー

気軽に政治を楽しもう 津田大介、立薗理彦、前田豊インタビュー

インタビュー・テキスト
島貫泰介
インタビュー撮影:西田香織

「何でそう思ったのか?」っていう理由こそが重要なので、「どっちが多数派なのか?」という結果には主眼を置いてないんです。(立薗)

―「ゼゼヒヒ」を公開されてから約1年が経ちましたが、これまでの反応はいかがですか?

立薗:傾向としては、サイト全体というより質問ごとに人が集まっている感じで、たとえば「東京オリンピックに賛成? 反対?」という質問は、年間を通じて未だにアクセスと回答数が伸びています。やっぱりみなさんが関心のあるものに関してはワッと集まる一方、まんべんなくサイト全体の質問に回答が集まっているかというと、そこまでではないという状況ですね。でも、「ゼゼヒヒ」を続けながら貯まってきた質問と回答には価値があると思っています。実は、ある質問に対して最初は賛成派が多かったけれど、最近では反対派が増えています、っていうような時系列での変化を見ることが出来るデザインにしているのが重要なんです。変遷するデータの蓄積はデータジャーナリズムの財産ですから。

津田:よくビッグデータと言われますが、たとえばアメリカ合衆国選挙であれば、候補者がテレビ討論した90分間のネット上の反応を全部トラッキング(追跡)しているんですよ。そのログをオバマやロムニーの陣営が入手して、「オバマがロムニーに攻められて目を伏せた瞬間にネガティブな反応が現れた、じゃあそれをもとに次の戦略を立てよう」といったことが現実に行われているわけです。つまり、ビッグデータ時代になって、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが世論の可視化装置になっている。

津田大介

―2013年の参議院選でネット選挙が解禁されましたが、実際に自民党などはTwitterをモニタリングしていると聞きました。

津田:それがどういうことかと言うと、我々がネット上で話していることが、知らず知らずのうちに政治家にも影響を与えているということです。昔だったら、テレビの討論番組などを見ながら、ブラウン管に向かって「何言ってるんだ、この政治家は!」なんてヤジを飛ばしていたわけじゃないですか。当然、それが政治家に届いて社会が変わるなんてこともなかった。でも、今ではテレビ討論を見ながらハッシュタグを付けてツイートすることが、コミュニケーションの1つになっているだけでなく、間接的に政治決定にも影響を与え始めているんです。だから、自分たちが思っている……たとえばヤジを飛ばしているだけであっても、ネット上で意見表明する人を増やしていくことは凄く重要なんじゃないかと思っています。

立薗:いずれ「ゼゼヒヒ」自体を、政策意思決定するような立場にいる人に使ってもらいたい。参加者に楽しんでもらえる、ある程度のゲーム性を取り入れるために、あえて「Yes」「No」の対立構造にしているんですけど、「どっちが多数派なのか?」という結果に実は主眼を置いてないんですね。まだここでの賛否の比率が政策決定に影響を与えることは難しいけど、「何でそう思ったのか?」っていう理由の部分は汲み取ることはできる。だから重要なんです。

津田:さまざまな議論の場でも、「ゼゼヒヒ」に寄せられた意見をリアルタイムに反映できたら面白いと思います。集まった賛成意見と反対意見の中から面白い意見をピックアップして、そこから議論を深めるとか。東浩紀さんが『一般意思2.0』で、「大衆の意見を全部聞いていたらきりがないけれど、その中にある無意識的に出てくる意見を上手く熟議に組み込むがこと重要である」と書いていますよね。集合知で専門知を取り囲むような形態の実践が「ゼゼヒヒ」の役割でもあるのかなと思っています。

左から:前田豊、津田大介、立薗理彦

政治という「顧客=国民」のためのサービスをメンテナンスして向上させていくことが、今必要なんだと思います。(津田)

―津田さんは1990年代からジャーナリストとして奔走されてきたわけですが、今理想とされている政治メディアの未来像というのはどういうものでしょうか?

津田:理想っていう大きなものはないですが、いつかこういうものができたらなと思うのは、政策に関するクラウドファンディングです。選挙を党で選ぶのが嫌だなぁ、と思う人は少なからずいると思いますが、政治家個人であれば応援したいという人もいますよね。

―政党ではなく人で選びたいという。

津田:でも、個人を選ぶにしても各党の議員には党議拘束があるから最終的には党の方針に従わざるをえず、結局個人に投票しても意味がない。現状のそういった仕組みを全体的に変えられないかなって思うんです。政党という仕組みは必要ですが、もう少し案件ごとに政治家個人の力が発揮されるような世界になって欲しい。そういうときに効力を発揮するのが、個人をサポートする新しい仕組みだと思うんです。たとえば、政治家個人が「この政策を実現します」と宣言して、実際に成立したら政治資金として5,000万円入る、みたいなね。ある意味、逆クラウドファンディングというか。達成すればプールされた予算が政治家に支払われるけれど、達成出来なかったらいつまでたっても支払われません。政治家の目の前に人参がぶら下がっているようなイメージですね。

―ちょっとしたゲームという感じですね。

津田:でも、実はすでに実例があるんですよ。何かと言うと、2012年に石原元都知事が尖閣諸島を購入するプランを打ち上げましたよね。東アジア外交的な意味では、あれは本当に石原さんが余計なことをしたなと思うんですけど、購入資金として約15億円の寄付が集まった。あれも要はクラウドファンディングですから。それに近い現象をネット上で日常的に起こすことができたら面白いと思うんです。そういったシステムに対する興味を持ってもらうために情報提供を行うメディアは作ってみたいですね。

―ある政治的状況の呼び水になるようなジャーナリズムということですね。

津田:僕は人々が動員されるメカニズムに興味があるんです。そのメカニズムをウェブ上にどうやって作っていくのか。昔は「ネット世論(笑)」みたいに「(笑)」が必ず付く世界だったのが、ソーシャルメディアの普及によって、だんだんネット世論とリアル世論の乖離が少なくなってきている。だとすれば、スマホを使ってカジュアルに政治に関われるような仕組みも現実的に求められてくるはずです。政治というのも1つのサービスですから、「顧客=国民」のためのサービスをメンテナンスして向上させていくことが、今必要なんだと思います。

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イベント情報

『第17回文化庁メディア芸術祭受賞作品展』

2014年2月5日(水)〜2月16日(日)
会場:東京都 六本木 国立新美術館(10:00〜18:00 金曜は20:00まで ※2月12日(水)休館)、東京ミッドタウン、シネマート六本木、スーパー・デラックス
料金:無料

受賞作品

『第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作品』

アート部門
大賞
『crt mgn』Carsten NICOLAI
優秀賞
『   を超える為の余白』三原聡一郎
『Dronestagram』James BRIDLE
『Situation Rooms』Rimini Protokoll
『The Big Atlas of LA Pools』Benedikt GROSS
新人賞
『Learn to be a Machine | DistantObject #1』LAU Hochi
『Maquila Region 4』Amor MUNOZ
『The SKOR Codex』La Societe Anonyme

エンターテインメント部門
大賞
『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』菅野薫、保持壮太郎、大来優、キリーロバ・ナージャ、米澤香子、関根光才、澤井妙治、真鍋大度
優秀賞
『スポーツタイムマシン』犬飼博士、安藤僚子
『プラモデルによる空想具現化』池内啓人
『燃える仏像人間』宇治茶
『トラヴィス「ムーヴィング」』Tom WRIGGLESWORTH、Matt ROBINSON
新人賞
『ゼゼヒヒ』津田大介
『やけのはら「RELAXIN'」』最後の手段(有坂亜由夢、おいたまい、コハタレン)
『TorqueL prototype 2013.03 @ E3』なんも(柳原隆幸)

アニメーション部門
大賞
『はちみつ色のユン』ユン、ローラン・ボアロー
優秀賞
『有頂天家族』吉原正行
『ゴールデンタイム』稲葉卓也
『サカサマのパテマ』吉浦康裕
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』庵野秀明
新人賞
『ようこそぼくです選』姫田真武
『Airy Me』久野遥子
『WHITE THE CROW WEEPS ―カラスの涙―』鋤柄真希子、松村康平

マンガ部門
大賞
『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』荒木飛呂彦
優秀賞
『昭和元禄落語心中』雲田はるこ
『それでも町は廻っている』石黒正数
『ちいさこべえ』望月ミネタロウ、原作:山本周五郎
『ひきだしにテラリウム』九井諒子
新人賞
『アリスと蔵六』今井哲也
『塩素の味』バスティアン・ヴィヴェス、訳:原正人
『夏休みの町』町田洋

プロフィール

津田大介(つだ だいすけ)

ジャーナリスト / メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)ほか。

立薗理彦(たちぞの まさひこ)

エンジニア・UI/UXデザイナー。1972年東京生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。『ナタリー』『Twitter社会論 for iOS』『ゼゼヒヒ』『ポリタス』『音ログ』『Beautiful Days』などのウェブサイトやアプリを開発。

前田豊(まえだ ゆたか)

1972年大阪生まれ。氏デザイン株式会社代表。グラフィック、広告、エディトリアル、VI、Web、サイン、空間、パッケージなど、様々な分野のデザインを横断的に行っている。2012年サインデザイン大賞・経済産業大臣賞受賞。

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