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椎名もた×横槍メンゴ 苦しみの中で生まれた輝きが人を喜ばせる

椎名もた×横槍メンゴ 苦しみの中で生まれた輝きが人を喜ばせる

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

20歳の誕生日を控え、これまでの「まんがみたいな人生」を振り返ったコンセプチュアルなアルバム『生きる』を発表したボーカロイドクリエイターの椎名もた。小さい頃は漫画家になりたかったという大の漫画ファンで、ニコニコ動画にアップされている楽曲の絵を自ら描いたり、漫画を楽曲のモチーフとすることも多い。『生きる』で言えば、“ドラッグ・スコア”はTAGROの短編集『マフィアとルアー』収録の「DRUG SCORE」、“みんなの黙示録”は青山景の『よいこの黙示録』がモチーフになっていて、初期の代表曲“ストロボラスト”も、同じく青山の『ストロボライト』がモチーフとなっている。

そんな椎名が「今最も会いたい人」として挙げたのが、お互い手の届かない好きな人がいることを知りながら、カップルを演じている高校生の男女を描いた漫画『クズの本懐』が大ヒット中の横槍メンゴ。現在は『クズの本懐』(『月刊ビッグガンガン』)と『レトルトパウチ!』(『ミラクルジャンプ』)という2本の定期連載を抱える人気漫画家だ。またその一方では、「ヨリ」という名義でニコ動の絵師として活躍していた経歴もある。彼女は椎名とは逆に漫画のタイトルを楽曲から引用していて、『クズの本懐』には、“Prisoner Of Love”(宇多田ヒカル)、“アンハッピーリフレイン”(wowaka)といったタイトルが並んでいる。

つまり、今回お届けするのは漫画をモチーフとする音楽家と、音楽をモチーフとする漫画家との対談。そしてこの二人は、共に「恋愛」を重視し、思春期を描く表現者でもある。相思相愛の対話は、椎名が20歳を迎えた3月9日(ミクの日!)の4日前に行われた。

「二次元の世界しかない」っていう人に、私の描く女の子がホントの彼女と同じくらいの位置になってほしいんです。二次元はそれぐらい救いになるものだと思ってるので。(横槍)

―もたくんはメンゴさんを漫画で知ったんですか? それとも、ニコ動?

椎名:最初に知ったのは、ニコ動でイラストを拝見したときですね。“いーあるふぁんくらぶ”とか“僕は初音ミクとキスをした”がすごくよかったです。なので、最初はボカロの絵師としてのイメージの方が強くて。

椎名もた
椎名もた

横槍:最初は漫画とボカロのファン層が被ってたんですけど、どんどん分離していきました。漫画から入った人は「ボカロやってたんですか?」って言うし、ボカロで知った人は「漫画描いてるんですか? しかも、こんなエロいの」みたいな(笑)。ボカロ絵師としての「ヨリ」と漫画家としての「横槍メンゴ」では、結構イメージが違うみたいですね。

―どういう順番でそのふたつを描くようになったんですか?

横槍:私は小さい頃から漫画家になりたくて、高校を中退して漫画家のアシスタントになったので、もう10年くらい漫画の業界にいるんです。でも、その途中でボカロPと知り合って、ボカロ絵師の活動もするようになりました。普通はボカロ絵師から始めて、そこから漫画デビューしたり、プロのイラストレーターになる人が多いと思うので、私は結構珍しいかもしれないですね。

椎名:『クズの本懐』を読んで、メンゴさんはほかのボカロ出身の人とはまったく別物だと思いました。線の粗さ具合とか、イラストっぽい小奇麗な線じゃないし、髪の流れとか目の描き方とかすごくこだわってると思った。まつ毛とかもめちゃくちゃきれいだなって。

横槍:嬉しい、私のこだわりを全部言ってくれた(笑)。私は女の子を描くのがすごく好きというか、漫画家でやっていくために自分の売りを見つけなきゃいけないと思ったときに、女の子の絵を褒められることが多かったから、そこが武器だなと思って。ただ、武器が女の子って人、めっちゃいるんですよね。だからその中でさらにかわいい女の子を描かなきゃと思ったから、まつ毛とか、髪の毛のフワッとした感じとかは、すごく力入れてます。

横槍メンゴ『クズの本懐』1巻表紙
横槍メンゴ『クズの本懐』1巻表紙

椎名:僕が思ったのは、美少女じゃなくて美女というか、儚いんですよね、全体的に。女性にしか描けない儚さがバッチリ出てるなって。

横槍:描く漫画の印象が儚いからか、実際に会うと「メンゴさんって、もっと儚い人かと想像してました」ってよく言われます(笑)。あと美少女を描くのにはもうひとつ理由があって、私は二次元とかオタクカルチャーに触れ始めたのが早くて、どっぷり浸かっていたからこそなんですけど、「二次元の世界しかない」っていう人に、私の描く女の子がホントの彼女と同じくらいの位置になってほしいんです。二次元はそれぐらい救いになるものだと思ってるので、全然まだまだだけど、それぐらいの領域に行きたいなって思ってます。

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リリース情報

椎名もた『生きる』初回限定盤(CD+DVD)

2015年3月4日(水)発売
価格:3,240円(税込)
UMA-9051/2

[CD]
1. アライブ・コンシャス
2. ワガハイは
3. 9から0へ
4. ドラッグ・スコア
5. プリーズテルミーミスターワンダー
6. 夢でも逢えない人がいる
7. ハンシンハン=ギミー
8. 普通に歳をとるコトすら
9. 少女A
10. みんなの黙示録
11. 6畳半の隙間から
12. アイケアビコーズ
13. さよーならみなさん
[DVD]
1. “ピッコーン!!”PV
2. “3年C組14番窪園チヨコの入閣”PV
3. “さよーならみなさん”PV
※二つ折り紙ジャケット、表紙カバー仕様

リリース情報

椎名もた『生きる』通常盤(CD)
椎名もた
『生きる』通常盤(CD)

2015年3月4日(水)発売
価格:2,700円(税込)
UMA-1051

1. アライブ・コンシャス
2. ワガハイは
3. 9から0へ
4. ドラッグ・スコア
5. プリーズテルミーミスターワンダー
6. 夢でも逢えない人がいる
7. ハンシンハン=ギミー
8. 普通に歳をとるコトすら
9. 少女A
10. みんなの黙示録
11. 6畳半の隙間から
12. アイケアビコーズ
13. さよーならみなさん

書籍情報

『クズの本懐』4巻
『クズの本懐』4巻

2014年11月19日(水)発売
著者:横槍メンゴ
価格:606円(税込)
発行:スクウェア・エニックス

プロフィール

椎名もた(しいな もた)

幼少の頃よりギター、ドラム、エレクトーンなどの楽器を嗜んでおり、中学2年(14歳)の時よりDTMを始める。その後、「ぽわぽわP」としてVOCALOIDを使用した楽曲の投稿を始め、開始後より人気を博し、代表曲“ストロボラスト”をはじめとしたストロボシリーズによりその地位を確固たるものへとする。そんな中、2011年初頭、突然の活動休止。半年後、GINGAとの邂逅により活動を再開し、2012年3月デビューアルバム『夢のまにまに』を発表し賛否両論の話題を呼ぶ。コミック雑誌『コミカロイド』への漫画執筆など音楽以外での活動も広げている。類まれなるサウンドメイキングと天性のグルーヴ感、心の隙間にスルッと入り込む、どこか人懐っこい詩世界を合わせ持つ。VOCALOIDシーンから生まれ、ポップミュージックシーンへと転換していく、センシティブクリエーターである。

横槍メンゴ(よこやり めんご)

1988年2月、三重県生まれ。2009年、『マガジン・ウォー』(サン出版)にて成人向けマンガでデビュー。2010年に『COMICすもも』(双葉社)にて、エロマンガ家と双子美少女の三角関係を描いたコメディー「はるわか」の連載を開始する。2012年に『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて掲載された、岡本倫原作「君は淫らな僕の女王」は、ヒロインが自制心を失うという設定と、かわいらしい絵柄とエロのギャップが人気を呼んだ。現在、『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、高校生の純粋かつ歪んだ恋愛を描く「クズの本懐」、『ミラクルジャンプ』(集英社)にて処女と童貞による上流階級学園エロコメ「レトルトパウチ!」を定期連載、「君は淫らな僕の女王」「めがはーと」(小学館)を不定期連載中。インターネット上ではヨリのハンドルネームで活動し、ニコニコ動画などボーカロイドを使用した楽曲のイラストも手がける。

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