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NOSIGNER×地元中小企業。ビジネスを変えるデザイン戦略って?

NOSIGNER×地元中小企業。ビジネスを変えるデザイン戦略って?

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:豊島望

横浜はポテンシャルは高い都市。クリエイターの誘致や支援も良い施策ですが、普通の地元企業が各々の形で盛り上がるための応援も必要でしょう。(太刀川)

太刀川:デザイナーの側からいうと、「ガワ」としての外観の意匠作りまでが自分たちの領域だという人も、特に1990年代あたりまではとても多かったと思う。でもそこからさらに時代を遡れば、チャールズ・イームズは自らの椅子のデザインを通じて三次元成型による大量生産に貢献したし、モダニズムの建築家たちも意匠を超えた「デザイン」を行いました。これに通じる意識はいま、改めて出てきていると感じます。ただ僕は、これからのデザインは、それだけでもだめだと考えているんです。

―さらに必要な何かがある?

太刀川:デザインとビジネスをつなぐ戦術・戦略が、それだと思っています。これはまだ名前のない領域かもしれませんが、僕は「デザインストラテジスト」という言葉でそのことを考えています。そしてこれもまた、経営者とクリエイターの融合するような領域に関わることではと思っています。

―伺っていると、それはまさに『YCW』の根幹というか、横浜市が掲げるような「創造都市」作りに関わる話のようにも感じます。

太刀川:横浜は日本最大の港で首都圏にも近く、ポテンシャルは高い都市。ただ、産業面では多くのものを東京に持っていかれてしまっている感はありますね。だから、クリエイターの誘致や支援も良い施策ですが、普通の地元企業が各々の形で盛り上がるための応援も必要でしょう。クリエイティブな都市というと昨今はすぐアメリカのポートランドの話になりますが、あそこもNikeやWieden+Kennedyが本社を構えていることが、街の活力に関わっている。

―それは必ずしも大企業に限らず、ということでしょうか。

太刀川:はい。ニューヨークでクリエイターの街として活性化したダンボ地区も、実はあるチョコレート屋さんの人気が1つの契機になったとも聞きます。僕も、横浜市内にお気に入りのアイスクリーム屋さんがあったりするのですが(笑)、そこでは特に先進的なクリエイティブが光るというより、事業そのものに普通に共感できることが大切になる。でもそこにも、デザイン戦略というのは活かし得ると思うんです。

大久保:そのためにも、いろいろな立場からの会話が重要でしょうね。我々のような立場からすると、産業全体の流れや行政ビジョンの中では、自分たちのやれることは小さいとも言える。ただ、それを少しずつでも実際の動きにしていくことが必要だと思っています。

太刀川:横浜でいえば他にも、世代をつないでいくことも大事だし、街の文化的な魅力について、いまの時代に応じて「ピントを合わせ直す」ような作業も必要でしょう。個人的には、チャレンジャーを応援できる街であり続けてほしいとも願っています。そして繰り返しになりますが、これらのどれも、まさにデザイン戦略が関わり得る領域なのだろうと考えています。

左から:大久保茂、太刀川英輔

―『ヨコハマの家』を話題に始まった取材ですが、最後は都市という大きな「家」の未来を語るためのヒントをもらえた気がします。ありがとうございました。

太刀川:こちらこそ、ありがとうございます。ところで大久保さん、このあと屏風の詰めでちょっと打ち合わせ、いいですか?

大久保:はい、もちろんです。すぐやりましょう(笑)。

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イベント情報

『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』

2015年11月4日(水)~11月8日(日)
会場:神奈川県 横浜 YCC ヨコハマ創造都市センター
時間:11:00~22:00(最終日は20:00まで)
料金:無料

プロフィール

太刀川英輔(たちかわ えいすけ)

NOSIGNER株式会社代表取締役。ソーシャルデザインイノベーションを生み出すことを理念に活動中。その手法は世界的にも評価され、Design for Asia Award大賞、PENTAWARDS PLATINUM、SDA 最優秀賞、DSA 空間デザイン優秀賞など国内外の主要なデザイン賞にて50以上の受賞を誇る。災害時に役立つデザインを共有する「OLIVE PROJECT」代表。内閣官房主催「クールジャパンムーブメント推進会議」コンセプトディレクターとして、クールジャパンミッション宣言「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」の策定に貢献。

大久保茂(おおくぼ しげる)

株式会社ACM代表取締役社長。炭素繊維の優れた特性を生かし、設計から成形、機械加工、接合、組立までを一貫して行う。その用途はロケット衛星、自動車部品、半導体デバイスなど多岐に渡る。

さわだいっせい / ウエスギセイタ

YADOKARI株式会社 代表取締役。2012年「YADOKARI」始動。世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「未来住まい方会議」を運営。2015年3月、250万円のスモールハウス「INSPIRATION」発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」、空き部屋の再活用シェアドミトリー「点と線」、北欧ヴィンテージ雑貨店「AURORA」を運営。また名建築の保全・再生の一環で黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」の一室をサポーターとともにソーシャルリノベーションし、シェアオフィスとして運営。著書に「アイム・ミニマリスト(三栄書房 / 2015年11月末発売)」がある。

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