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竹中直人×近藤研二 豊かなもの作りって何だろう?NHKから考える

竹中直人×近藤研二 豊かなもの作りって何だろう?NHKから考える

『0655/2355 ソングBest!明日がくるのをお知らせします』
インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:田中一人

番組スタッフに、ものすごくこだわりがありますね。朝と夜でミキシングのバランスがほんの少しだけ違っていたりするんです。(近藤)

―近藤さんもコメントされていらっしゃいますが、『Eテレ0655』と『Eテレ2355』は、曲作りも映像も、かなり細かいところまでこだわって作られているように思います。

Eテレ“2355”“0655”の放送が始まって6年近くが経ちました。
(中略)
その全ての行程において妥協のない会議が繰り返されます。
ほとんどのスタッフが『重箱の隅つつくの助』なんじゃないかと思えるような本当に細かい部分を全員で精査し、いくつかの試作を経て作品が形になります。
第一弾のベスト盤もそうですが、たくさんの人に愛され親しまれているのは、そんな水面下での努力があってこそではないでしょうか。
(中略)
佐藤雅彦さん、うちのますみさん、堀江由朗さん、ユーフラテスをはじめ多くの皆さんとのチームワークでこのCD+DVDができました。
どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。
(オフィシャルサイト掲載のコメントより引用)

近藤:まず番組スタッフに、ものすごくこだわりがありますね。例えば“電車がきます”は、『Eテレ0655』用に、朝の通勤・通学に合う曲として作ったんですが……じつは、夜の『Eテレ2355』でも流れることがあって。そのときは、曲の最後のほうに出てくる<電車が (しゃがしゃが)>というリピートの回数を少なくしてるんです。

竹中:そうなんだ! 朝のほうが賑やかなんだね。

近藤:朝のほうが、子どもが見ている確率が高いんですね。子どもはリズム言葉が好きなので、「しゃがしゃが」というフレーズをすぐに歌いたがるだろうと思って、より楽しめるようにバージョンを変えてあるんですよ。今回のCDに収録されているのは夜バージョンなので、朝バージョンはオンエアで見ていただくしかないんです。

竹中:へぇ~、知らなかった!

―他にも、そういう例は多いのですか? 今回のCDには近藤さん作曲の楽曲が合計14曲収録されていますが。

近藤:僕の担当曲でいうと、歌も歌った“小石川植物園に行ってみました(1)”などは、朝と夜で歌のテイクがまったく違います。朝はちょっと元気な声で、夜は落ち着いたボーカルバージョンが入ってますね。“それぞれの立場ソング ダチョウの3兄弟”も、朝はオケがピアノだけなんですが、夜は僕が弾いたアコースティックギターがひそかに混じってます。その他の楽曲も、朝と夜でミキシングのバランスがほんの少しだけ違っていたりするんです。イントロのピアノの一部だけが、ちょっとだけ音量を大きくしてあるとか、僕らもレコーディング時のメモを見返さないと気づかない程度(笑)。それくらい細かいんですよ。

近藤研二

売れる売れない、目立つ目立たないだけでモノを考えちゃいけない。(竹中)

―全曲を通して言えるのは、音数やアレンジがとてもシンプルですよね。

近藤:そうですね。本来これらの楽曲は映像と共に楽しんでいただきたいので、音源をゴージャスにしてしまうと映像が引き立たないから、シンプルにしてあるんです。作曲する側としてたまに驚くのは、デモ音源のつもりで出したアレンジが、そのまま通ってしまうことがあるんですよ。あとでアレンジをし直そうと思って、チープな音でデモ音源を提出したら、「それがいい!」と言われてしまったり……デモで理想形のものを出さないと、それで決まってしまうことが多いから、デモ音源を渡すのが怖いんです(笑)。

竹中:そりゃあ大変だ(笑)。でも、芝居もそうです。稽古に稽古を重ねて完成したものよりも、中途半端が魅力的なときがありますから。学校だってね、優等生よりも勉強できないヤツのほうが面白かったりするじゃない。ちょっと壊れてる感じ、パーフェクトなものからちょっとズレているものが、今はなかなか評価されないですが。できないことを褒めてくれる時代が、昔はあったような気がしますね。

近藤:そういう意味で、このアルバムはすごく素朴なオケと素朴な歌ばかりですが、とても評判がいいんですよ。地味ではありますが、こだわりに満ちた作品がみなさんに受け入れられているというのは、僕らミュージシャンにとってもちょっとした自信になりますね。番組が面白いから、というのはもちろんですけど。

―ネットやテレビに派手なもの、刺激的なものがあふれている世の中で、『Eテレ0655』や『Eテレ2355』のように素朴なテレビ番組も、大事に育んでいきたいですよね。

竹中:そう。売れる売れない、目立つ目立たないだけでモノを考えちゃいけない。そんなことを考えて生きたことはないかな。でも、まあ、売れるにこしたことはないけどね。

近藤:それがですね、竹中さん。『Eテレ0655』も『Eテレ2355』も視聴率がよくて、このアルバムも……(小声で)意外と売れてるらしいんですよ!

竹中:そうなの!? いやー、見る目のある人はちゃんと見てるんだ。うん、世の中捨てたもんでもないね。

近藤:この番組は、じわじわ広がっているんですよね。それが長続きしている要因の1つなのかなと思います。派手に宣伝をすると、瞬間的には盛り上がってもてはやされるかもしれないけど、飽きられるのも早くて、寿命が短くなるようなこともあるじゃないですか。『Eテレ0655』『Eテレ2355』はその真逆で、コツコツ作っていたら、自然と一部で話題になって、そこからじわじわと噂で広まっていった気がするんです。

竹中:とにかくレコーディング現場の居心地もよかったですからね。誰もかっこつけてない感じがした。この番組に関わってるスタッフの方々は、みんな優しいんだと思います。ギラギラしてない。だから僕も気負わずに参加できた。人と時間を共有することの積み重ねを大事にしている感じがしますね。

左から:竹中直人、近藤研二

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リリース情報

V.A.『0655/2355 ソングBest!明日がくるのをお知らせします』
V.A.
『0655/2355 ソングBest!明日がくるのをお知らせします』(CD+DVD)

2016年1月27日(水)発売
価格:2,592円(税込)
COZX-1132/3

1. 0655 call by 0655dori
2. チョココロネをたべるのどっちから? / 柴田聡子
3. 重箱の隅つつくの助 1ばん / レキシ
4. わが輩は、犬 / 松本素生
5. 素晴らしき哉、世界 アの界 / 東京すばらしき合唱団
6. 電車がきます / 竹中直人
7. 走れ! ウマダ・ウマジロウ / 100万馬力合唱団2014
8. うちにはこんなのがいます / 杉山ひこひこ
9. きょうの選択 / HARCO
10. それぞれの立場ソング ダチョウの3兄弟 / タカアンドトシ
11. これを知ってるといばれるの唄 「海外では通じない和製英語編」 / 石澤智幸
12. 小石川植物園に行ってみました1 / 近藤研二
13. メーメーメーがやって来た! ! / 豆曲トリオ
14. 気にしないの助音頭 / 近代史ケンジ
15. 喜多喜多! さるさるどしー! / 川の字トリオ
16. toi toi toi !!
17. 2355氏、金曜の夜 / 細野晴臣
18. 龍安寺の歌 / 中川翔子
19. ディオファントスの一生 / 狩人
20. 顕微鏡で覗く世界 ボルボックス編 / 笹倉慎介
21. とびはぜトビーのBGM ブラームスのワルツ 変イ長調 Op.39-15 / イエルク・デームス
22. 放物線のうた / 大橋トリオ
23. がんばるぞ! 俺たちあきびん びんようき隊の歌 / われもの合唱団
24. あるヤドカリの唄 / 比嘉栄昇
25. 小さな恋の物語 その2 たまごとミルクパン / 笹倉慎介
26. 猫のふみふみ / 杉林恭雄
27. あくびが出るよ / 近藤研二
28. factory of dream 夢を作る工場 I don't want to play in your yard / Peggy Lee「2355が明日がくるのをお知らせします」
[DVD]
『とびはぜトビーのおやすみソングセレクション』
・龍安寺の歌
・顕微鏡で覗く世界 ~ボルボックス編~
・素晴らしき哉、世界 深の界
・toi toi toi!(トイトイトイ)幸せを願う編

近藤研二『子猫のロンド』
近藤研二
『子猫のロンド』(CD)

2015年12月19日(水)発売
価格:2,700円(税込)
mmr-0001

1. 誕生日
2. 子猫のロンド
3. おじいさんの11ヶ月
4. 顕微鏡で覗く世界
5. 光ノトキ
6. toi toi toi
7. an old rocking chair
8. つみきのいえ
9. ベアーズシネマ
10. butterfly in the river
11. ペジエ
12. requiem
13. 何処から来たの
14. おじいさんの11ヶ月 for ukulele(ボーナストラック)

プロフィール

竹中直人(たけなか なおと)

1956年、神奈川県生まれ。1983年、『ザ・テレビ演芸』でデビュー。1996年映画『Shall we ダンス?』、大河ドラマ『秀吉』、2003年『ウォーターボーイズ』、2008年映画『まぼろしの邪馬台国』、2010年映画『のだめカンタービレ 最終楽章』『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』など数々の作品に出演。映画監督としても1991年『無能の人』で数々の賞を受賞している。2011年7月20日、CDアルバム『竹中直人のオレンジ気分』をリリース。現在『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~』(毎週木曜よる11時59分より放送)に出演中。

近藤研二
近藤研二(こんどう けんじ)

ギター、ウクレレを中心に、弦楽器奏者として活動する一方、作編曲家としてNHK Eテレ『2355』『0655』の音楽、ももいろクローバーZの編曲など、多彩な音楽を作り続けている。米国第81回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した『つみきのいえ』の音楽も担当した。鈴木慶一によるControversial Spark、ポップバンド図書館のメンバー。愛猫家。2015年秋に自主レーベル「m+m records」を起ち上げ、その第一弾として初のソロアルバム『子猫のロンド』を12月19日にリリースした。

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