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志磨遼平と尾崎世界観『火花』トーク。芸人とバンドマンの共通点

志磨遼平と尾崎世界観『火花』トーク。芸人とバンドマンの共通点

Netflix『火花』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望 編集:野村由芽

バンドメンバーや相方によって、ネタは絶対変わってくると思うんですよね。(志磨)

―本作には、自分の笑いを信じて突っ走る「神谷さん」と、彼に影響を受けながら、他人の意見にも耳を傾ける「徳永」という2つのタイプの芸人が葛藤する様子が描かれますが、お二人は、どちらにシンパシーを覚えましたか?

尾崎:僕はどっちの気持ちもわかるんですよね。実際、どっちの時期もあったと思うし。

―というと?

尾崎:やっぱり、お客さんがいるかどうかで変わってくるんです。結局は、人に伝えるためにやっている表現なので、お客さんがいなければ、どんどん尖っていくし、お客さんがいたら、その人たちにもっと見てほしい、わかってほしいっていう気持ちが強くなっていく。だから、受け止めてくれる人がいれば、その人たちを意識した表現になるのは当然かなと思います。

―お客さんがいるといないで、表現は変わるものだと。

志磨:でも、音楽の場合、お客さんがゼロってことは絶対ないんですよね。最低人数は、自分という「1」であって、ゼロではないんです。それは、自分のためにやっているというわけではなくて、自分が客観的に聴いていい音楽をやれているかが、やっぱりまずは大事。「自分が一番厳しいリスナー」ってよく言いますけど、たしかにそれはそうで、それがバンドになると、リスナーが3人、4人と増えていって、メンバーにウケる曲や、あるいはそのときの彼女や友達がいいと思う曲を書きたくなる。で、その延長線上にお客さんがいるという感じになっていくんだと思います。

志磨遼平

―なるほど。

志磨:だから、『火花』の場合は、音楽におけるバンドメンバーというか、相方の違いも大きいんじゃないですか。神谷さんの相方は、神谷さんが何をやっても「しゃあないな」って付き合うようなタイプで、徳永の相方は、「お前、ちゃうねん」って言ってくるようなタイプ。それによって、ネタは絶対変わってくると思うんですよね。

尾崎:たしかに、相方の違いはありますよね。

志磨:神谷さんのワンマンである「あほんだら」と、民主的な「スパークス」っていう。

尾崎:そういう意味で言うと、僕も志磨さんも「あほんだら」タイプではあるような気がしますね(笑)。

志磨:まあ、僕は徳永が相方に言われていたみたいに、「(独特の笑いよりも)もっと大衆にウケるネタを書いてくれ」とか言われたら、「そんなこと言うの!?」ってなってしまいそう……(苦笑)。

―(笑)。

志磨:ただ、お笑いコンビの人って、相方とのバランスみたいなものをすごく考えていますよね。たとえば、どちらかがドラマとかに役者として出始めたら、もう一方は身体を鍛えて筋肉芸人になったり。そうやってキャラがかぶらないようにするというか、コンビのことを考えてバランスを取るっていうのは、バンドにはないものですよね。僕が「こういう方向に行きたい」って言ったときに、バンドメンバーが敢えてその逆をやろうと思わないというか。

尾崎:うん。そういう「ふたつでひとつ」みたいな感覚って、バンドにはないものですよね。だから、ちょっと憧れるというか……「相方」っていう言い方が、本当にピッタリですよね。自分の反対側の人がいないと、バランスが取れなくて倒れちゃうっていう。

尾崎世界観

「食うため」に音楽をやっている人なんて、この国にいるんですかね。(志磨)

―あと、『火花』の中では、ある時点から「食える、食えない」の問題が問われてくるようになってきて。それはミュージシャンの場合も同じだと思いますが、そういう時期を、二人はどう踏ん張ってきたのですか?

志磨:うーん、踏ん張ったのかな(笑)。それにはひとつ、はっきりした答えがあって。僕の場合、いわゆる「生活苦」みたいなものって、あんまり気にならないんですよね。

尾崎:それも、楽しめるっていうことですか?

志磨:何かね、そこには執着がないんです。もちろん、お金があれば楽しいけど、なければないでやっていけるというか。でも、それとこれとは話が別っていうか、「食うために何かをやる」っていうのは、ホントの意味で言うと、明日食べるものや家賃のためにやるってことですよね? その意味で、「食うため」に音楽をやっている人なんて、この国にいるんですかね?

尾崎:ああ……そういう意味では、いないんじゃないですかね。

志磨:だから、そこで使われている「食う」っていうのは、もっと観念的なものだと思うんですよね。世の中には「食えなくてもいい派」というか、反メジャー的な人たちがいますよね。ただ、そういう人たちが好きな過去のミュージシャンの音源というのは、ちゃんと今の世の中に残っているわけで、つまりその人たちもそういう意味では、大体食えていたんじゃないかなと。夢半ばで消えていった人たちの音源って、ほとんど残ってないですから、音源が残っているということは、それだけの需要はあるってことだと思うんです。もちろん売れたとか売れないとかの幅はあるでしょうけど。

―なるほど。

尾崎:たしかに、たとえ国から月に20万円支給されたとしても、辞める人はきっと辞めますよね。つまり、何かを続けられるかどうかというのは、単純なお金の問題じゃないというか。何かをやってお金が入ってくるというのは、まわりにお客さんがいるっていう証であって、その人たちに評価されたい、認めてもらいたいっていうのが、続けるための一番の動機なんじゃないですかね。

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番組情報

『火花』

Netflixで世界190か国全10話一挙にストリーミング配信中
総監督:廣木隆一
監督:白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝
脚本:加藤正人、高橋美幸、加藤結子
原作:又吉直樹『火花』(文藝春秋)
出演:
林遣都
波岡一喜
門脇麦
好井まさお(井下好井)
村田秀亮(とろサーモン)
菜 葉 菜
山本彩(NMB48)
徳永えり
渡辺大知
高橋メアリージュン
渡辺哲
忍成修吾
徳井優
温水洋一
嶋田久作
大久保たもつ(ザ☆忍者)
橋本稜(スクールゾーン)
俵山峻(スクールゾーン)
西村真二(ラフレクラン)
きょん(ラフレクラン)
染谷将太
田口トモロヲ
小林薫

リリース情報

ドレスコーズ『SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015“Don't Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR~』
ドレスコーズ
『SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015“Don't Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR~』(DVD)

2016年5月11日(水)発売
価格:4,104円(税込)
KIBM-563

1. HEART OF GOLD
2. スローガン
3. ボニーとクライドは今夜も夢中
4. jiji
5. もあ
6. 愛さなくなるまでは愛してる(発売は水曜日)
7. Lily~ダンデライオン
8. それすらできない
9. トートロジー
10. あん・はっぴいえんど
11. ゴッホ
12. 愛する or die
13. 犬ロック
14. ビューティフル
15. みなさん、さようなら
16. 愛に気をつけてね

書籍情報

『祐介』
『祐介』

2016年6月30日(木)発売
著者:尾崎世界観
価格:1,296円(税込)
発行:文藝春秋

プロフィール

ドレスコーズ
ドレスコーズ

毛皮のマリーズのボーカルとして2011年まで活動、翌2012年1月1日にドレスコーズ結成。同年7月にシングル『Trash』(映画『苦役列車』主題歌)でデビュー。12月に1stアルバム『the dresscodes』、2013年、2ndシングル『トートロジー』(フジテレビ系アニメ『トリコ』エンディング主題歌)、2ndアルバム『バンド・デシネ』を発表。2014年、キングレコード(EVIL LINE RECORDS)へ移籍。9月にリリースされた1st E.P.『Hippies E.P.』をもってバンド編成での活動終了を発表。以後、志磨遼平のソロプロジェクトとなる。12月、現体制になって初のアルバム『1』をリリース。2015年4月、ドレスコーズ初のLIVE DVD「“Don't Trust Ryohei Shima”TOUR 〈完全版〉」をリリース。2015年10月、4thアルバム『オーディション』をリリース。2016年5月、LIVE Blu-ray&DVD作品となる『SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015 “Don't Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR~』をリリース。今年に入り、WOWOW 連続ドラマW『グーグーだって猫である2 -good good the fortune cat-』、映画『溺れるナイフ』に出演。

クリープハイプ
クリープハイプ

2001年、クリープハイプを結成。3ピースバンドとして活動を開始する。2005年、下北沢を中心にライブ活動を活発化。ライブを観たいろんな人から「世界観がいいね」と言われることに疑問を感じ自ら尾崎世界観と名乗るようになる。2008年9月、メンバーが脱退し尾崎世界観(Vo / Gt)の一人ユニットとなる。2009年11月、小川幸慈(Gt)、長谷川カオナシ(Ba)、小泉拓(Dr)を正式メンバーに迎え、本格的に活動をスタート。2012年4月にメジャーデビュー。2014年4月、日本武道館2Days公演を開催。日本テレビ系日曜ドラマ『そして、誰もいなくなった』の主題歌となるニューシングル『鬼』を2016年8月10日に発売し、ニューアルバムを9月7日に発売予定。尾崎個人としては、初の小説となる『祐介』を6月30日に刊行。

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