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高野修平×小藥元 記憶に残る広告に欠かせない、2つの要素を語る

高野修平×小藥元 記憶に残る広告に欠かせない、2つの要素を語る

トライバルメディアハウス
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

僕に求められているのは、伝えたいことを、伝わる言葉に変換することなんです。(小藥)

―では、お二人が初めて一緒に手がけることになった、三井ガーデンホテルズの施策について聞かせてください。

高野:三井ガーデンホテルズとのお仕事が始まったのは、今から2年前なのですが、今年キーワードとして挙げられていたのは「デジタル」と「将来の売上」でした。これまでの三井ガーデンホテルズは、OOH(交通広告や屋外広告など)やテレビCMなど、比較的オーソドックスな広告展開が主だったんです。

今回は「デジタル」を軸にリブランディングを展開すること、ホテルのブランドコピーにある「記憶に残るホテル」を今一度生み出していくこと、最後に「明日の売上」ではなく「将来の売上」を作っていくこと、それらを目的に一緒に活動させていただくことになりました。

左から:高野修平、小藥元

―その3つの目的を掲げた理由は、どういう背景があったからなのでしょうか?

高野:三井ガーデンホテルって、ある場所ではビジネスホテルだったり、ある場所ではラグジュアリーホテルだったりして、均一ではないんです。その土地に根付いたホテル作りをしていらっしゃいます。ただ、世間的には比較的ビジネルホテルのイメージが強く、それを変えたい。そのためには、広告のあり方も変えていきたいという思いがあったようでした。

それを聞いたとき、統合的なキャンペーンを実施するにあたって、出発点と帰着点となる言葉が必要になると思いました。じゃあ、誰にお願いしようという話になったとき、真っ先に元さんの顔が思い浮かんだんです。「ようやく一緒に仕事をする日がきました」と連絡しました(笑)。

雑誌広告「手書きのパン屋編」
雑誌広告「手書きのパン屋編」

―その「出発点」「帰着点」となる言葉が、「PRESENT LOVE.」になった経緯は?

小藥:僕に求められているのは、伝えたいことを、伝わる言葉に変換することなんです。同時に「企業の価値」と「生活者の価値」の両方を、常に探します。

三井ガーデンホテルズには、たくさん価値があるんですけど、本当に彼らが言いたいことってなんだろうと。何回か泊まらせてもらいつつリサーチしていくと、他のホテルよりも「きめ細かいサービス」が三井ガーデンホテルにはあったんですね。たとえばベッドメイキングひとつ取ってもそうですし、朝食のあとコーヒーがテイクアウトできるのもそう。様々な場面で上質なサービスを感じました。

―ホテル側からお客様に「PRESENT LOVE.」が実践されていることを、実体験として感じられたんですね。

小藥:それで、あるとき、娘さんとお母さんらしき人が、朝食を食べているのを見かけたんです。その風景が「すごくいいな」と思い、自分なりにストーリーを想像したんですよね。「上京して来た女の子が、お父さん、お母さんに対してホテルを贈る」というのはどうかなと。

きめ細かいサービスを伝えたいし、それを娘とお母さんのストーリーに落とし込みたい。なおかつ、修平と一緒に仕事をするなら「音楽」も効果的に使った企画を組み立てたい。その3つの要素の真ん中に置くことのできる言葉はなにかな? と考えたときに、「ホテルからお客様へ愛を贈る、お客様からお客様へ愛を贈る」という意味を込めて、「PRESENT LOVE.」が頭に浮かびました。

雑誌広告「黒い傘と透明な傘編」
雑誌広告「黒い傘と透明な傘編」

―そこから、映像を始め、いろいろな施策に広がっていったと。

小藥:僕は言葉を考えるとき、常に「言葉がどう広がっていくか?」ということを意識しています。もし「PRESENT LOVE.」という言葉を採用してもらえたら、そこからどんな展開が考えられるかまで、クライアントに説明するんです。たとえば、「母の日にこんなプロモーションプランを組み立てることもできますよ」とか。

そうすると、クライアントの頭のなかに、「PRESENT LOVE.」という言葉から様々な絵が浮かんでくる。言葉がどんどん一人歩きして、価値がどんどん高くなっていくわけです。それに加えて、「ありがとうを、会いたいに代えて。」「贈り物のようなサービスをこれからも。」という2種類の言葉も用意しました。

残念ながら「オールターゲット」でマーケティングしたものは、どのターゲットにも刺さらない。(高野)

―今回、テレビ・映画館・ウェブで流れたショートフィルム「PRESENT LOVE. FILM」の音楽に、My Little Lover(以下、マイラバ)を起用した経緯は?

高野:ホテルだから、当然、日本の方も外国の方もあまねく、老若男女に利用してほしいのですが、残念ながら「オールターゲット」でマーケティングしたものは、どのターゲットにも刺さらない。それはホテルに限った話ではありません。

なので、今回施策をやる前にワークショップなども実施して、関係者全員が納得できる解を見つけて走り出す必要がありました。その結果、今回の施策は「30代から40代の女性」を第一プライオリティターゲットと定めたんです。

―なるほど。

高野:それで考えたのが、デジタルとマスメディアを統合したキャンペーンの中心軸として「PRESENT LOVE.」という言葉があり、同時に「PRESENT LOVE.」を象徴する企画を1つ作る必要があるということ。それを中心に置いて、あらゆる文脈でキャンペーンを組み立てていこうと考えたんです。

結果、元さんと話し合い、「娘が母にホテルを贈る」というショートフィルム「PRESENT LOVE.FILM」を提案し、制作することになりました。で、その層にアピールする音楽を考えた結果、最も相応しいと思ったのがマイラバでした。

―相応しいと考えられた理由は、「時代性」だけではないと思うのですが、いかがでしょう?

高野:僕は、「30代から40代の女性」というターゲットをクラスタとして発想するのではなく、「30代から40代の女性」を言い換えるとどんな音楽やアーティストになるかという、「ターゲットの音楽化」といった手法を用いるんです。

今回は、ダイレクトにターゲットの心を動かすために、ショートフィルムの音楽が重要なピースとなると考えました。akkoさんの「女性として」「母」としての姿はきっと、ターゲットの方々には深く共感できるのではないかと。ありとあらゆるアーティストのなかで、マイラバが最も明確に浮かび上がってきたんです。

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会社情報

Modern Age/モダンエイジ
Modern Age/モダンエイジ

マーケティングデザインカンパニー「トライバルメディアハウス」内にある、エンターテイメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」。音楽からエンターテイメント全般を支援するエンターテイメントに特化した日本初のマーケティングレーベル。エンターテイメント業界だけではなく、エンターテイメントを活用して、企業やブランド戦略やマーケティング支援も行う。これまでも多くのナショナルクライアントにエンターテイメントを融合させたマーケティングコミュニケーションをプロデュースしている。また、エンターテイメント業界では、テレビ局、音楽配信会社、音楽レーベル/メーカー、観光、スポーツ団体、アミューズメント施設など、デジタルにとらわれないメディアニュートラルでマーケティングコミュニケーションをプロデュースしている。

プロフィール

高野修平(たかの しゅうへい)

エンターテイメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」レーベルヘッド。コミュニケーションデザイナー / クリエイティブディレクター。音楽を中心にエンターテイメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテイメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインが専門領域。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』を執筆。メディア出演、講演、寄稿など多数。2014年4月18日に3冊目となる『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』を上梓。また、THE NOVEMBERSのコミュニケーションデザイン、クリエイティブディレクターも担当している。M-ON番組審議会有識者委員。尚美学園大学非常勤講師。

小藥元(こぐすり げん)

コピーライター。1983年1月1日生まれ。早稲田大学高等学院ー早稲田大学卒業後、2005年(株)博報堂入社。2014年8月「meet&meet」設立。meet Inc. 代表取締役。東京コピーライターズクラブ会員。これまでの主な仕事に、サントリーこくしぼりプレミアム「きょうは、幸福につかろう。」、JEANS MATE「ジーンズは、まだ青い。」、川崎市「Color's Future!いろいろって、未来。」、Family Mart「Fun&Fresh」、キレートレモン「なりたい人は、わたしの中にいる。」などのブランドスローガン開発、仙台PARCO2「オトナ考えるPARCO。」などのブランドコンセプト開発、Pana Home「artim」、モスバーガー×ミスタードーナツ「MOSDO!」、コメダ珈琲店「ジェリコ」などのネーミング開発など、数多くの言葉を軸としたコミュニケーション設計を手がける。企業のビジョン・ミッションステートメント開発も数多い。

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