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ものを売る人なら知っておきたい、音楽×ブランドの6つの事例

ものを売る人なら知っておきたい、音楽×ブランドの6つの事例

トライバルメディアハウス
インタビュー・テキスト
矢島由佳子
撮影:豊島望

「氷結」のシリーズは、やっぱりすごく計算されてると思うんです。

—ここからは、音楽業界に携わる人や、なにかものを売ろうとしている人なら知っておきたい「音楽×ブランド」の最新事例を6つ挙げていただきます。まず、1つ目は?

高野:「キリン氷結」を挙げたいです。僕、お酒を一滴も飲めないから、お酒にあまり興味がないんですけど、それでも「氷結」のメロディーは口ずさめるんです。そうやって、ターゲット外の人間でも知っているというのは、音楽や音の力だと思っていて。

高野:そして、それが機能するのは、「氷結」が1つの型でやり続けているからだと思います。スカパラがいて、志村けんさんや高橋一生さんなど共演者は変わっても、型自体は変わらない。

これは僕も今まさに頭を抱えていることなんですけど、「型を継続する」って、すごく難しいんです。1つの型をやり続けるというのは、ブランド側に相当な理解がなければ難しい。担当者の異動もありますし。同時に音楽側もイメージが固定化するという懸念も生まれる。でも、やり続けないと、せっかくクリエイティブを通して作ったブランド資産が、お互いゼロになってしまうんです。「キリン氷結」が全然違うクリエイティブをいきなり始めたら、「これはなんのCMか?」とゼロベースになるわけです。

—特に高橋一生さんと浜野謙太(以下、ハマケン)さんのバージョンが発表されたときは、CINRA.NETでも、ニュース記事がかなりバズってました(高橋一生&浜野謙太&スカパラが氷結×ICEBOXのCMでセッション披露)。

高野:コーディネートが素敵ですよね。文脈というところで言うと、あえて「え?」という、驚きが作られている。「高橋一生って、ブルースハープ吹けるの?」とか、「志村けん、意外と三味線上手いじゃん!」みたいな。驚きと型がセットになってバズを生んでいますよね。

—たしかに、ハマケンさんも、SAKEROCKを知ってる人からすればトロンボーンを吹いていることに違和感はないですけど、知らない人からすれば驚きがあったのかもしれないですね。

高野:俳優のイメージが強いから、「あ、吹けるんだ」って。「氷結」のシリーズは、やっぱりすごく計算されてると思います。

アーティストの知名度に依存しない、コンセプト重視の選定をしているGAPのスタイルは、素晴らしいと思います。

—では、2つ目は?

高野:GAPの「1969 RECORDS」というプロジェクトです。

—GAPの創業の年である「1969」をキーワードに、ミュージックビデオやルックブックが制作・公開されたプロジェクトですね。

高野:なにが素晴らしいかって、新進気鋭のアーティストを使ったことだと思います。やっぱり、企業はコンテンツパワーが欲しいから、知名度があって有名な人ほどいいと考えることが多いわけです。

もちろん、若いタレントやアーティストであれば、自由がきくし安いというメリットはあるけれど、おそらくGAPはそういうスタンスではなくて、GAPのメッセージやコンセプトを伝えるなかで、ああいった人選をしているのだと思うんです。

—昨年はAwesome City Club、HAPPY、never young beach、環ROY×Taquwami×OBKR、雨のパレードが起用されていて、今年はyonige、Tempalay、Maika Loubte、JJJ、yahyelが登場しました。

高野:まだ「世の中ゴト」になっていないアーティストを使うのは、一般企業ではなかなか難しいことですけど、アーティストの知名度に依存しない、コンセプト重視の選定をしている企業のスタイルは素晴らしいと思います。しかもGAPは、ひとつのコンセプトの傘のもとにまとめて出して強くしていくというのが、また上手なやり方だと思いました。それに、このプロジェクトを今年も「継続」していますよね。

—しかも、映像内に「GAP」という文字は一切出てこないビデオが多いですよね。そこもまた、宣伝したい気持ちのあるブランド側にとっては、勇気のいる決断だなと。

高野:あれでもしミュージックビデオ内にGAPのロゴが出てきたりしていて、それがダサく見えていたら、GAPにとってもミュージシャンにとっても、マイナスになっていた可能性はありますよね。

そのさじ加減のジャッジメントは、どの場合においても肝なんだと思うんです。企業色が出すぎたらウザいし、出なかったら出なかったで企業側としては問題があるし。でも、だからこそ、そこが面白いところです。やり方が上手かどうかというのは、くすぐる要素や感情のスイッチを入れるきっかけをどこに置くか、ということだと思います。

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会社情報

Modern Age/モダンエイジ
Modern Age/モダンエイジ

マーケティングデザインカンパニー「トライバルメディアハウス」内の音楽を中心にエンターテインメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテインメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインを専門とするマーケティングレーベル。これまでもテレビ局、音楽配信会社、音楽レーベル / メーカー、アミューズメント施設といったエンターテインメント業界を支援しつつ、ブランド側としても教育機関、観光、食品、スポーツ団体、ホテル、音響機器メーカーなど多くのナショナルクライアントのマーケティングをプロデュースしている。エンターテインメントの融合イベントや音楽系商品のデジタルプロモーションの企画・運用、またメディア開発やアプリプロデュース、CDやイベントブース、商品のクリエイティブディレクション・コピー開発を行う。日本初のブランドマーケティングとエンターテインメントマーケティングを融合させたマーケティングレーベル。

プロフィール

高野修平(たかの しゅうへい)

エンターテインメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」レーベルヘッド。コミュニケーションデザイナー / クリエイティブディレクター。音楽を中心にエンターテインメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテインメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインが専門領域。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』を執筆。メディア出演、講演、寄稿など多数。2014年4月18日に3冊目となる『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』を上梓。また、THE NOVEMBERSのコミュニケーションデザイン、クリエイティブディレクターも担当している。M-ON番組審議会有識者委員。尚美学園大学非常勤講師。

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