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ものを売る人なら知っておきたい、音楽×ブランドの6つの事例

ものを売る人なら知っておきたい、音楽×ブランドの6つの事例

トライバルメディアハウス
インタビュー・テキスト
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:豊島望

コカ・コーラとunBORDEの企画は、ブランド側に対しても、新しい音楽との組み方を提示したと思います。

—それでは、3つ目をお願いします。

高野:コカ・コーラとunBORDE(ワーナーミュージック内レーベル)が、unBORDE5周年のときに組んだ企画です。1組のアーティストではなく、unBORDEというレーベルとして組むことで、無料招待のフェスをやったり、所属アーティストを集めて曲(“Feel”)を作ったり、1年通してコミュニケーションデザインをしていた。そうやって、瞬間風速的なキャンペーンをしなかったことが、すごく素敵だと思いました。

高野:あの企画は、アーティスト単体ではなく、レーベルとしてやれることがあるという、音楽との組み方の主語を「アーティスト」から「レーベル」に引き上げた素晴らしい事例だと感じました。たとえばきゃりーぱみゅぱみゅだけとのコラボだったら、また違ったと思うんです。音楽の聴き方が細分化されてきているからこそ、「レーベル切り」って今すごく大事だと思っていて。

—unBORDEのレーベルヘッドである鈴木竜馬さんを取材させてもらったときに(参考記事:unBORDE・鈴木竜馬を取材。ゲス乙女を巡る報道に対して提言も)、コカ・コーラの売り上げがかなり伸びたというレポートを受けたと話されていました。

高野:竜馬さんご自身が優れたクリエイターであり、マーケターだからだと思っています。これはブランド側に対しても、新しい音楽との組み方を提示したと思うんです。一つひとつのアーティストの影響範囲が狭いと、ブランド側としてはちょっと考えるところもあると思うんですけど、unBORDEのようにレーベルとしてタッグを組めるのはそれを解決する一手になり得るのではと。

unBORDEは「レーベル」という引き上げ方をしたもので、「金麦」は「音」というもので横軸を広げたようなイメージ。

—続いて、4つ目をお願いします。

高野:「サントリー金麦」のCM。これも「氷結」と同じで、お酒を飲めない僕でも、あのメロディーが歌えるんです。あのメロディーで、檀れいで、何年もやってるからこそ、まさに地層のように積み重なっていった。

僕は「金麦」や「氷結」、「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)のような型を維持しているマーケティングを、「レイヤーマーケティングコミュニケーション」と呼んでいます。「金麦」も、あのメロディーが鳴った瞬間に「あ、金麦ね」ってなるし、電車の広告を見たら檀れいが夫を待っているシチュエーションが思い浮かぶ。マスマーケティングを使って、「記憶を記録していく」というのが上手な事例だと思います。

—たしかに、「金麦」と言われると、あのメロディーと檀れいさんの笑顔が自然と浮かんできますね。

高野:あと、「金麦」も、それこそ「そうだ 京都、行こう。」も、使われる音楽が必ずしも「アーティスト」でなくていい、ということを伝えられるものでもあると思います。アーティスト単位のタイアップが多いことに対して、unBORDEは「レーベル」という引き上げ方をしたものであって、「金麦」は「音」というもので横軸を広げたようなイメージ。世の中に出ているわかりやすいアーティストでなくても、ああいうふうに訴求できるというのは強いなと思いますね。

Origami Payの決済音を、サカナクションに作ってもらうという発想が新しいなって。

高野:という流れで、サカナクションとOrigami Payのことを話してもいいですか?

—はい、お願いします。

高野:Origami Payの決済音をサカナクションが作るというのは、すごいことですよね。「Origami Payのテーマソングを作る」とかならわかりやすいけど、決済音を、一郎さん(山口一郎。サカナクションのギターボーカル)に作ってもらうという発想が新しいなって。

高野:一郎さんが、インタビューで「音楽で企業のブランドをデザインすることをもっとしたい」とおっしゃっていたんですけど、本当にその通りだなと思いました。もっと音楽が融合できる余地はいっぱいあるんだということを、あの事例は示してくれた。

最初に、ブランド側が「CMタイアップ以外に方法はないのか?」と模索してると話しましたが、それに対する1つの解だと思うんです。マーケティングが多様化した上で、「あ、こういうやり方もあるんだ」と提示してくれた事例として素晴らしいと思います。

—一郎さんがインタビューで、「音で商品や企業をデザインしている事例は、海外には多いけど日本は無頓着だ」と発言しているのを私も読んで、まさにそうだなとハッとしました。

高野:僕もそれを読んで、すごく感動しました。「想いは一緒です!」みたいな(笑)。だって、Macを立ち上げたときの「ポーン」という1音だけで、Macを想起させるってすごいことじゃないですか? そういうことが、もっと日本で出てきても面白いなと思うんですよ。たとえば、エレベーター音だって、誰かに作ってもらったりして、もっと変わってもいいと思う。

—そういうのが増えていくと、みんなの日常が少し楽しくなりそうですね。

高野:そうですよね。そういうことも、1つの音楽ができる掛け算だと思うから、僕自身ももっとそういうのをやりたいなと思いますね。

—ミュージシャン側にとっても、ユーザーに対しての興味喚起やタッチポイントを増やす、という意味でいいだろうし。

高野:その通りだと思います。要は、ルートがたくさん作れる、イコール、ブランディングの価値や可能性が多様になる、ということなので。それに、シンプルにマネタイズのポイントが増える、という面でもミュージシャン側にとってはメリットですよね。

そういうことを考えていると、「未来は楽しいことしかなさそうだな」みたいな気がするんです。だってアーティスト側も、ブランド側も、まだ未開拓なところがいっぱいあるんですもん。

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会社情報

Modern Age/モダンエイジ
Modern Age/モダンエイジ

マーケティングデザインカンパニー「トライバルメディアハウス」内の音楽を中心にエンターテインメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテインメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインを専門とするマーケティングレーベル。これまでもテレビ局、音楽配信会社、音楽レーベル / メーカー、アミューズメント施設といったエンターテインメント業界を支援しつつ、ブランド側としても教育機関、観光、食品、スポーツ団体、ホテル、音響機器メーカーなど多くのナショナルクライアントのマーケティングをプロデュースしている。エンターテインメントの融合イベントや音楽系商品のデジタルプロモーションの企画・運用、またメディア開発やアプリプロデュース、CDやイベントブース、商品のクリエイティブディレクション・コピー開発を行う。日本初のブランドマーケティングとエンターテインメントマーケティングを融合させたマーケティングレーベル。

プロフィール

高野修平(たかの しゅうへい)

エンターテインメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」レーベルヘッド。コミュニケーションデザイナー / クリエイティブディレクター。音楽を中心にエンターテインメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテインメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインが専門領域。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』を執筆。メディア出演、講演、寄稿など多数。2014年4月18日に3冊目となる『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』を上梓。また、THE NOVEMBERSのコミュニケーションデザイン、クリエイティブディレクターも担当している。M-ON番組審議会有識者委員。尚美学園大学非常勤講師。

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