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高野修平×小藥元 記憶に残る広告に欠かせない、2つの要素を語る

高野修平×小藥元 記憶に残る広告に欠かせない、2つの要素を語る

トライバルメディアハウス
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

三井ガーデンホテルズが昨秋、新たなキャンペーンスローガン「PRESENT LOVE.」を掲げ、「娘から母へホテルを贈る」という内容のショートフィルムを公開した。仕事を機に上京してきた娘が、忙しさのなかで忘れかけていた母との絆を取り戻す、そんな暖かいストーリーをMy Little Loverの“Hello, Again ~昔からある場所~ acoakko ver.”に乗せて描いた映像が、視聴者の涙を誘った。

情報過多社会において、人の記憶に残る広告を生み出すためには、どういった要素が重要なのだろうか? このキャンペーンを、戦略立案から企画、実行まで統括したトライバルメディアハウス内のエンターテイメントマーケテイングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」の高野修平と、高野とともにクリエイティブディレクター / プランナー / コピーライターを務めたmeet&meetの小藥元に、「心を動かす広告の作り方」について語り合ってもらった。

コピーライターというのは、かなりシビアな世界なんです。(小藥)

―高野さんには、先日感覚ピエロとの対談(感覚ピエロと高野修平に学ぶ、音楽とブランド広告の幸せな関係性)でもお話を伺ったので、今日はまず、「小藥さんってどんな人?」ということから伺いたいと思います。Family Mart「Fun&Fresh」やキレートレモン「なりたい人は、わたしの中にいる。」など、様々なブランドスローガンを手がけてきている小藥さんですが、肩書きとしては「コピーライター」でいいですか?

小藥:はい、「マーケティングの戦略を言語化するプロフェッショナル」という意味でのコピーライターだと自分では思っています。最近でいうと、ZOZOTOWNの「ツケ払い」という言葉はすごいコピーだと思うのですが、コピーライターというと、「その言葉の表層だけを取り出して、気の利いた一行や駄洒落を書く人」というイメージで終わってしまっていると思うんです。社会的な認識がまだまだ低い職業だなと、独立して感じています。

小藥元
小藥元

―世間的な「コピーライター」のイメージと、実際の仕事内容には、ギャップがあると感じているのでしょうか?

小藥:実際、街を歩けば8割くらいはどうでもいい「言葉遊び」のようなフレーズが溢れてはいます。あってもなくてもいい言葉です。けれど、本来のコピーライターの仕事は、「今、この企業やブランド、商品は、どういう状況下にあって、どんなコピーを用いることで、どう目立つのか、どの軸で勝てるのか?」ということまで考えなければならない。

企業やブランドの今や未来を提示する、いわば「柱」をつくる仕事も多いです。「単純にどうしたら売れるコンセプト、名前になるのか?」という依頼も。ビジネスのど真ん中に関わる仕事なので、仕事がいつも切実なんですよ。

―実際にやっていることは、コンサルタントに近いのですね。

小藥:コンサルタントであり、コンセプターでもあり、マーケターでもあると思っています。コピーライターは、ただ絵空事のコンセプトを提示する人ではなく、コンセプトという切り口をちゃんと最終のアウトプットに昇華できる、一人二役三役している職種なんです。

しかも、会議やプレゼンの席で、提示したコピーに対して「いや、それはもう考えたんですけど」とか、「すでに思いついていたアイデアです」とか言われてしまったら、僕の価値はゼロです。だからコピーライターというのは、かなりシビアな世界なんですよ。言葉は誰でも使えますし、言葉の数って増えませんからね。池袋PARCOのリニューアル時に作った「変わってねえし、変わったよ。」というコピーも、かなりギリギリの、ありそうでなかった言葉ということになるのかもしれません。

小藥元

―そんなシビアなコピーライターに、なぜなろうと思ったのでしょう?

小藥:2つあります。1つは、高校生の頃、クラスメートが交通事故で亡くなったとき、お通夜に行ってもリアリティーがなくて泣けなかったのですが、帰宅してテレビをつけたら明治生命(現・明治安田生命)のCMが流れていて、そこで使われていた小田和正さんの“言葉にできない”を不意に聴いた瞬間、号泣してしまったこと。そのときに「広告という存在があるんだ」と知りました。

2つ目は、辻仁成さんの『ガラスの天井』(集英社、1997年)という本があって、中身はもう覚えていないのですが、そのタイトルのフレーズの美しさに強く共感と心を掴まれた体験があったんです。こんなにシビアな仕事だというのは、会社に入って真剣にやるなかで初めて知ったことでした。

音楽は、「歌詞」と「メロディー」、そしてそれを歌う「人」という、3つの掛け算になるわけで、言葉1つのときよりも人に届くパワーがある。(小藥)

―そういう思いがあって、大学卒業後、2005年に博報堂に入社されたと。

高野:実は(小藥)元さんとは、15年来の付き合いなんです。当時、僕は映画監督志望の大学2年生で、映画学校に通いながら、いろんなところに赴いては「ノーギャラでいいので、映像を作らせてください」と営業をかけていて。そんななかで紹介されたのが、大学4年生の元さんでした。

以来ずっと仲良くさせてもらっていますが、お世辞でもなんでもなく、元さんは僕の憧れの人です。博報堂に入って1年目で『TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞』を獲得するのですが、それが「戦争を4度体験したジーンズ」という古着屋のコピーで。

小藥:よく覚えてるなあ(笑)。

高野:なぜ覚えているかというと、その古着屋さんへの営業に僕も連れて行かれたから(笑)。当時まだ無名のコピーライターだった元さんが、自分でカメラマンやデザイナーをアサインし、コピーを書いて『TCC』に応募して。それで賞を獲ったのを見て、「この人は本当にすごいな」と思ったんです。そのままどんどん先へ行ってしまったから、いつか絶対に一緒に仕事をしたくて頑張ってきたところもあるくらいです。

左から:高野修平、小藥元
左から:高野修平、小藥元

―小藥さんは、2014年に独立し、「meet&meet」を設立されたあと、Kis-My-Ft2“KISS & PEACE”の歌詞も手がけられていますよね。

小藥:最初は彼らのアルバム『KIS-MY-WORLD』(2015年)のコピーライティングを依頼されていたのですが、「KISS & PEACE」というコピーを提示したら、「そのタイトルで歌詞を書いてほしい」と言っていただいて。競合だったのですが(笑)。

―コピーを書くのと、歌詞を書くのは、近い感覚があるのでしょうか?

小藥:字数がほぼ決まっているメロディーに言葉をつけるというのは、コピーライティングの仕事とは違いましたね。なので、最初は戸惑いがありました。音楽というのは、「歌詞」と「メロディー」、そしてそれを歌う「人」という、3つの掛け算になるわけで、言葉1つのときよりも人に届くパワーがあると知ってしまいましたね(笑)。

たとえば、オバマ大統領が「Yes, we can」と言うのと、一般の誰かが「Yes, we can」と言うのとでは、言葉のパワーや重みが全然違うじゃないですか? 「その言葉を、誰が言うのか?」ということは、言葉を考える上ではすごく大事なんですよ。つまり、キスマイが歌うことで、受け取られ方がまったく変わってくるんですよね。

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会社情報

Modern Age/モダンエイジ
Modern Age/モダンエイジ

マーケティングデザインカンパニー「トライバルメディアハウス」内にある、エンターテイメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」。音楽からエンターテイメント全般を支援するエンターテイメントに特化した日本初のマーケティングレーベル。エンターテイメント業界だけではなく、エンターテイメントを活用して、企業やブランド戦略やマーケティング支援も行う。これまでも多くのナショナルクライアントにエンターテイメントを融合させたマーケティングコミュニケーションをプロデュースしている。また、エンターテイメント業界では、テレビ局、音楽配信会社、音楽レーベル/メーカー、観光、スポーツ団体、アミューズメント施設など、デジタルにとらわれないメディアニュートラルでマーケティングコミュニケーションをプロデュースしている。

プロフィール

高野修平(たかの しゅうへい)

エンターテイメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」レーベルヘッド。コミュニケーションデザイナー / クリエイティブディレクター。音楽を中心にエンターテイメント業界へのマーケティングを支援しつつ、ブランドとエンターテイメントを掛け合わせるコミュニケーションデザインが専門領域。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』を執筆。メディア出演、講演、寄稿など多数。2014年4月18日に3冊目となる『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング-戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』を上梓。また、THE NOVEMBERSのコミュニケーションデザイン、クリエイティブディレクターも担当している。M-ON番組審議会有識者委員。尚美学園大学非常勤講師。

小藥元(こぐすり げん)

コピーライター。1983年1月1日生まれ。早稲田大学高等学院ー早稲田大学卒業後、2005年(株)博報堂入社。2014年8月「meet&meet」設立。meet Inc. 代表取締役。東京コピーライターズクラブ会員。これまでの主な仕事に、サントリーこくしぼりプレミアム「きょうは、幸福につかろう。」、JEANS MATE「ジーンズは、まだ青い。」、川崎市「Color's Future!いろいろって、未来。」、Family Mart「Fun&Fresh」、キレートレモン「なりたい人は、わたしの中にいる。」などのブランドスローガン開発、仙台PARCO2「オトナ考えるPARCO。」などのブランドコンセプト開発、Pana Home「artim」、モスバーガー×ミスタードーナツ「MOSDO!」、コメダ珈琲店「ジェリコ」などのネーミング開発など、数多くの言葉を軸としたコミュニケーション設計を手がける。企業のビジョン・ミッションステートメント開発も数多い。

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