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横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜市
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:廣田達也 撮影協力:横浜開港資料館 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

「横浜のような、それぞれの『カルチャー』が混ざっていた『大きな入れもの』に対する憧憬の眼差しはあります」(後藤)

―釜萢さんは他にどんなところでよく遊んでいましたか?

釜萢:高校のときとかは、とりあえず「シァル下」(横浜市民の定番の待ち合わせスポット。シァルとは1962年に開業した横浜ステーションビルの商業施設で、2011年に閉店。その後、2014年よりルミネとして営業を行っていたが、再開発を経て2020年に横浜CIALとして復活した)に集まって、そこから遊びに行く感じでした。町田の中学の友達が横浜の高校に行って、横浜にみんなで何となく集まって、ライブハウスとかクラブに行く流れでしたね。

―その頃は「不良への憧れ」みたいな感覚もありましたか?

釜萢:いや、別にヤンキーでもないし、ただ音楽やファッション、スケートやサーフィンに興味があるって感じでした。中高はそこまで音楽どっぷりって感じでもなく、バンドをやってたわけでもないし、みんなでスケートをして、洋服を見に行くとか、そんな感じでしたね。

『GREENROOM FESTIVAL’08』より
『GREENROOM FESTIVAL’08』より

―音楽により深く関わるようになったのはどういうきっかけだったんですか?

釜萢:ライブの現場に関わるようになったのは、もともと『warp MAGAZINE』っていうストリート系の雑誌を出してる会社に入社して、最初の現場が『WARPED TOUR』(ハードコアを筆頭に、メタル、ヘビーロックといったアーティストが出演するロック / エクストリームスポーツの都市巡回型フェスティバル)だったので、そこからですね。いろいろな要素がジャンルの枠を超えて混ざり合ったストリートカルチャーが当時から好きだったんです。

後藤:当時、僕の周りにもラジカセで音楽を聴いてるようなスケーターの友達がいて、Beastie Boysを教えてもらったりしました。

釜萢:日本版の『warp MAGAZINE』の創刊号(1996年7月号)の表紙がBeastie Boysだったんですよ。で、特集で勝新太郎が載ってたり(笑)。

―すごい組み合わせ(笑)。

後藤:1990年代に憧れるのは、やっぱり分かれてない感じがあるからですよね。音楽が音楽だけじゃなかったし、パンクスにしても、B-BOYにしても、そこには必ずファッションが結びついていて、スケートカルチャーもあって豊かだった。今も続いていることではあるけど、ネットによってみんなの関心が細分化していて、大きなうねりにはなりにくいというか、コミュニティが狭くなってる感じがする。だからこそ横浜のような、それぞれの「カルチャー」(文化層)が混ざっていた「大きな入れもの」に対する憧憬の眼差しは今もありますね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION“或る街の群青”(2006年)を聴く(Apple Musicはこちら

『GREENROOM FESTIVAL』が横浜の街から学んだ、オープンであることの重要性

―『GREENROOM FESTIVAL』は「サーフカルチャー、ビーチカルチャーをルーツに持つ、音楽とアートのカルチャーフェスティバル」として2005年にはじまったわけですが、会場を横浜にした理由を教えてください。

釜萢:それはもう、とにかく大桟橋が好きだったんです。カリフォルニアで『GREENROOM FESTIVAL』の原型となるフェスを観て、すぐ日本でもフェスをやりたくて東京や湘南とかいろいろと考えたんですけど、大桟橋を見たときに、「ここでスケートしたらヤバいな」って思ったんですよ。波みたいにも見えるし、「こんな建築物がこの世にあるの?」って(笑)。

スケーター、サーファー目線で見たら、とにかくヤバい場所だったんです。ウッドでできてるから、馬鹿でかいサーフボードにも見えるし、巨大な波にも見えて、こういう場所がある横浜という街自体もカッコいいなって思ったんですよね。

『GREENROOM FESTIVAL’07』より
『GREENROOM FESTIVAL’07』より

釜萢:海に突き出ているというか、海に浮いてるみたいな感じも、サーフカルチャーを始めとする海辺の文化を表現するのにはベストだと思ったし、全てがハマったんです。

後藤:この間アジカンのビデオ(“ダイアローグ”)を大桟橋ホールで撮ったばっかりです。喜多くん(ギターの喜多建介)が「ここはデートスポットとして間違いない」って言ってました(笑)。

ASIAN KUNG-FU GENERATION“ダイアローグ”(2020年)を聴く(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

後藤:『GREENROOM FESTIVAL』は本当に場所がよくて、散歩に来た家族連れとかもちょっと聴けるのがいいんですよね。

―無料エリアも充実していますからね。

後藤:半分開いちゃっているというか、閉鎖的じゃなくて広がりがあるというかね。無料でチラッと聴いた人が、来年はお金払ってこようと思うこともあるだろうし。大きな会場に全部閉じ込めて、「絶対音漏れはさせない」「金払ってないやつには絶対聴かせない」みたいな感じじゃない、大らかさがすごくいいなと思います。

釜萢:アジカンに出てもらった2018年には、The Wailersがボブ・マーリーの曲を歌って、Sublimeが“Santeria”を歌って、日本とカリフォルニアで見てきたものが両方そこにあって、すごく印象に残っています。

ビーチは絶対的に開いているわけで、だからこそフェス自体も開いていたいと思っているんです。物理的にもそうですけど、音楽もファッションもアートもフィルムもあるという状況に対しても絶対に壁は立てたくない。そういうことを横浜でやれてよかったなと思っています。

―さきほど話に出た有料エリアと無料エリアがあるというのも、フェスの開かれた雰囲気に繋がっていますよね。

釜萢:チケットを買わずにずっといる方もいますけど、それもアリだと思います。ただ、一番奥にはミュージックチャージとしての有料エリアがあって、最高のライブが待ってる。ちゃんと段階を作れればいいかなと思います。「0か100か」じゃないほうが、伝わりやすいと思うんです。アートとか映画を観たあとにライブを観ると、絶対感じ方も変わるから、そこは体験としていろいろミックスしていきたいんです。

後藤:本当にそうですよね。『コーチェラ』(アメリカ・カリフォルニア州で開催されている『Coachella Valley Music and Arts Festival』)も、全体としてアートっぽいというか、音楽だけではないですからね。ファッションもアートも絡んでるし、そこには文学の流れもある。「音楽」が前には出ているけど、実際には繋がりがあることを体感できるのが大事というか。

左から:釜萢直起、後藤正文

釜萢:Suicidal Tendencies(アメリカ・ カリフォルニア州出身のハードコアバンド)とDogtown(ハードコアスケートボードの代名詞的ブランド)みたいに、一緒に組んでアパレル展開をしたり、音楽とスケートブランドが一つの塊として情報を発信してるし、それはサーフブランドも同じで。音楽とファッションが近いというか、僕らもいろいろな繋がりや、そこから感じる匂いは伝えていきたいんですよね。

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プロジェクト情報

 

新しい発見、ワクワクする高揚感、感性が磨かれるような感覚をいつも与えてくれる街、横浜。気軽に訪れるだけで非日常へとスイッチが切り替わり、そこには心躍るエキサイティングな体験や、穏やかでリラックスできる時間が待っています。様々な文化が溶け込んで独自に進化してきた横浜の街の魅力を、公式SNSアカウント「Find Your YOKOHAMA」で発信しています。

プロフィール

後藤正文(ごとう まさふみ)

1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリース。3月3日にはCDとLPがリリースとなる。

釜萢直起(かまやち なおき)

1973年東京生まれ。町田市で育ち、中学生のときにサーフィンやスケートボートと出会う。日本の大学へ進学するも、サーフィンを諦めきれずオーストラリアへ留学。サーフィンと旅の生活を送る。帰国後、広告代理店勤務を経て、1999年に独立。株式会社グリーンルームを設立し、サーフブランドのブランディング業を主軸に、イベント業やアートギャラリー、映画の配給などに携わる。2005年に同名の音楽フェス『GREENROOM FESTIVAL』を初開催した。

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