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なぜSuchmosはブレイクできた?マネージャー・金子悟が語る

なぜSuchmosはブレイクできた?マネージャー・金子悟が語る

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:CINRA.NET編集部 編集:矢島由佳子

自分たちに目が向いているタイミングだからこそ、チャレンジすべきだと。

―初めてリハを観て、生意気に見えたという話がありましたが、実際に交流を深めるなかで、彼らの人柄に対してはどんな印象を持ちましたか?

金子:音楽に対してはすごくピュアだし、真面目ですね。まあ、普段の態度に関しては、すぐその辺に座り込んだりもしますよ(笑)。彼らはアンテナをちゃんと張ってるし、人を見る目があって、誰に対してもいい子ではない。

でも、僕はそうあるべきだと思ってるんです。対バンとかフェスの現場に行くと、バンドにとって一番大事なのは横のつながりではないはずなのに、「なんでバンド同士、みんなこんなに仲良くしてるんだろう?」って疑問に思ってた時期でもあったんですよね。

―2010年代の最初というと、SNSが普及して、バンドが横のつながりを意識するようになった時期でしたね。

金子:それがすごくつまんないなって思ってたんです。それと、後ろのほうにまでいるお客さん全員の手が挙がることが、「ライブやフェスの成功の形」となっていることにも、飽き飽きしてたんですよね。「こういうパフォーマスをしなきゃいけない」とか「こういうMCをしなきゃいけない」とか、そういう風潮ができてきたなかで、彼らのあり方はすごく新鮮に映ったんです。

金子悟

―Suchmosの成功の一方で、一番悩んだのはどのタイミングでしたか?

金子:『Essence』(1st EP、2015年4月発売)を出したときから僕のなかで決めてたのが、ひとつの盤に統一感を持たせないということで。さっきも言ったように、ジャンルレスなところが面白いと思ったから、入口をできるだけ広げたいと思っていたんですよね。

ただ『THE KIDS』に関しては、リード曲をどれにするかでものすごく迷いました。“STAY TUNE”で入ってきた人の一番の窓口が『THE KIDS』になるので、大事な選択だなと。

―結果として“A.G.I.T.”をリード曲に選んだのは、なにが一番の理由だったのでしょうか?

金子:このプロジェクトのスタートに立ち返ったときに、“A.G.I.T.”だなと思ったんです。正直、リード曲としては少しわかりにくい曲だと思うんですよ。でも、Suchmosというバンドは、自分たちのルーツを大事にしつつ、シーンに対するカウンターになるべき存在なんです。つまり、“A.G.I.T.”を通して「これが今のかっこいい音楽なんだ」って提示することで、日本の音楽シーンの基準を上げて、未来が変わったらいいなって思ったんですよね。

―一歩先にボールを投げるようなイメージだったと。

金子:そうですね。メンバーとミーティングをしたときも、最終的にみんな思ってることは一緒でした。人と同じことをやってもしょうがないし、自分たちに目が向いているタイミングだからこそ、チャレンジすべきだと。それが、自分たちがこれまでやってきたことを裏切らない、ということでもあったんですよね。あとは、Suchmosに関わる、販促、プロモーション、ライブ、すべてのスタッフのお陰でここまで来たと思います。まだまだこれからですけどね。

僕はもともと既存の音楽媒体をあんまり信用していなくて、まずアパレルの人たちにCDを配りまくったんです。

―先日YONCEさんに取材をしたとき(Suchmosが夢見る成功は、まだ先にある。次世代への意識を語る)にも話題に挙げたんですけど、Levi's®やBEAMSなど、Suchmosはストリートカルチャーと強い接点を持っていたこともブレイクの大きな要因だったように思うのですが、そこに関してはどうお考えですか?

金子:僕はもともと既存の音楽媒体をあんまり信用していなくて、DJをやってるときからアパレルの知り合いが多かったから、『Essence』を出したときに、まずそういう人たちに配りまくったんです。

「アンテナを張ってる若い子たちが誰を信用するか?」って考えたときに、セレクトショップのバイヤーさんとか、スタイリストさんとかだと思ったんです。すぐに花開かなくても、ボディーブローを打ち続けた結果、『LOVE&VICE』を出したタイミングで、ファッション業界で一気に花開きました。

―そこから、Levi's®と『MINT CONDITION』(3rd EP、2016年7月発売)のコラボレーションにもつながっていったんですね。

金子:Levi's®の方とお話をしたのは、ちょうど“MINT”のプリプロが終わったタイミングだったんですけど、<錆びた弦で良い 破けたジーンズで良い>ってフレーズが出てきたときに、僕の頭のなかでストーリーができたんですよね。ただ、よく勘違いされるんですけど、あれってLevi's®と広告契約を結んでいるわけではないんですよ。

金子悟

―着用義務や、競合ブランドの縛りがあったりするわけではないと。

金子:そうです。シンプルに「一緒になにかを作ろう」という話で。Levi's®のブランドとしてのスタンスと僕らの考えがリンクして、なおかつYONCE含めてメンバーは、もともとステージ上でLevi's®を履いていた。つまり、嘘がなかったからできた企画だったんですよね。

逆に言うと、BEAMSの話は一回お断りしてるんですよ。いろんなブランドから声はかかってたんですけど、筋が通ってないことはやりたくなかったし、イメージがついてしまうのも嫌だなって。でも、テーマやコンセプトの話と、他に誰が出演するかを聞いたときに、これはかなりいいなと思って、メンバーとも話をしました。個人的には、「EYEさん(BOREDOMS)出るんだ」っていう、そこは大きかったですね(笑)。

―ファッション業界との接点も、決してとってつけたものではなかった。なおかつ、媒体の力よりも口コミの力を信用したという話は、時代性も感じます。

金子:音楽とファッションが切っても切れない関係だというのは、音楽の歴史が証明していますしね。ファッション業界の人たちはちゃんと遊んでる人が多い印象ですし、音楽業界の人より音楽好きなんじゃないかって思ったりもするから、信用できるんですよ。それに、「いいものはいい」ってはっきり言うし、逆に、よくなかったら発信しない。でも、聴けば「いい」って言ってもらえる自信はあったんです。

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リリース情報

Suchmos『THE KIDS』
Suchmos
『THE KIDS』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,700円(税込)
PECF-3174

1. A.G.I.T.
2. STAY TUNE
3. PINKVIBES
4. TOBACCO
5. SNOOZE
6. DUMBO
7. INTERLUDE S.G.S.4
8. MINT
9. SEAWEED
10. ARE WE ALONE
11. BODY

プロフィール

金子悟(かねこ さとる)

スペースシャワーミュージック事業本部 制作部 金子ルーム プロデューサー。1979年生まれ。2006年、株式会社パルコ入社。2012年、スペースシャワーネットワークに入社。Suchmos、SISTERJETのマネージメント / A&Rを務める。

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