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なぜSuchmosはブレイクできた?マネージャー・金子悟が語る

なぜSuchmosはブレイクできた?マネージャー・金子悟が語る

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:CINRA.NET編集部 編集:矢島由佳子

武道館をやろうと思えばできる状況ですけど、今の彼らの経験値では、全員のお客さんに届かないんです。

―今の音楽業界全体の課題について、金子さんはどのようにお考えですか?

金子:最初に話した「ルーティーン」という話にも通じると思うんですけど、どうしても「リリース」に紐づけて物事を考えがちですよね。そうではなくて、リリースがない時期にこそ、いかにアーティストのブランド力を高めるかを考えるのもアリだと思っていて。『DRIVE IN THEATER』(レポート記事:Suchmosが1日限りで復活させた「ドライブインシアター」を取材)をやったのは、そういう狙いもあったんです。

メンバーに、「なんでもいいからやりたいことある?」って聞くと、いっぱい返ってくるし、僕が思いついたことを提案すると、そこにちゃんと肉づけもしてくれる。あとはそれをちゃんと形にすることが大事で、そうやって生まれたアイデアを徹底的に形にしてきた自負はあります。

―そこもメンバーとの密なコミュニケーションができているからこそですね。

金子:メンバーとスタッフとのやり取りで常々言ってるのが、「多数決ではない」ということで。ビジョンとかイメージをちゃんと作れているやつの意見を採用するほうが、絶対に強い。その代わり、言い出したやつにはちゃんと責任を取ってもらうというか、しっかりサポートするから、最後までやり切ってもらう。大事なのは、その積み重ねかなと思います。

金子悟

―現在はアルバムのリリースツアー中で、全公演がソールドアウトという状況ですが、今のバンドの勢いを考えると、全体的に会場のキャパが小さいように感じます。これについては、なにか意図があるのでしょうか?

金子:ありますね。言ったら、武道館をやろうと思えばできる状況にはあると思うんですけど、今の彼らの経験値では、全員のお客さんに届かないんです。それは去年の夏に『うれしたのし大好き2016 ~真夏のドリカムフェス~』に出させてもらって、神宮球場でやったときに痛感したことで。あの日は、後ろにいるお客さんまでを、100%満足させることはできなかった。

ちゃんとお客さんに満足してもらうには、一つひとつ階段を上がっていくことが大事だと思うんですよ。100%満足してもらえたら、絶対次も来てくれる。だから今の自分たちにあったキャパでライブをやるし、しかも、フルキャパ(会場が満員状態になる人数)でチケットを売っていないんです。たとえば恵比寿リキッドルームは、フルで900人くらい入るけど、800人ぐらいでチケットの販売を止めています。

―それはなぜですか?

金子:彼らの音楽って、グラス片手に揺れて、「心地いいね」って思ってもらわないと、満足できないと思うんです。リピーターがつかないと意味ないので、そこは徹底しています。だから、ゲストや関係者の招待も絞っているんです。目先のお金よりも、来てくれたお客さんに対して失礼なことはしたくないっていう、そこが一番大事ですよね。

Suchmos 撮影:小見山峻

Suchmos 撮影:小見山峻
Suchmos 撮影:小見山峻

『THE KIDS』はオリコンチャート2位で、1位がAKB48だったんですけど、2位でよかったと思ってる。

―今後のSuchmosの目標という意味では、メンバーはよく「横浜スタジアムでのワンマン」という話を口にしていますが、金子さんはどうお考えですか?

金子:横浜スタジアムも視野に入れつつ、大きな目標としては、SuchmosというバンドがSuchmosというジャンルとして、10年、20年と、日本の音楽シーンのセンターに居続けることですね。

『THE KIDS』はオリコンチャートのウィークリー2位で、1位がAKB48だったんですけど、2位でよかったと思ってるんです。もともとアイドルとかは意識してなかったし、比較するわけではないですけど、背中が見えた。この状況をひっくり返したいなって、そういう野望も出てきていて。

―やはり、バンドの根本にはカウンター精神がある。

金子:あとは、海外に向けた準備も進めたいと思っています。やっぱり、2020年の東京オリンピックで、世界の目が日本に向けられると思うので、そこまでにどんな準備をして、2020年以降どう攻めていけるのかも、今から考えないといけないなと。

まあ、ヨーロッパとかアメリカの攻略はすごく難しくて、言葉の問題もあるし、向こうに長い時間行ってないといけなかったりもするから、まずは日本のことをしっかり考えたいですね。

別に会社で偉くなろうと思ってやってるわけではなくて、バンドの音楽をどう伝えたらいいのかを考える、それが一番楽しいんですよ。

―この連載記事はCINRA.NETとCAMPFIREの合同企画なのですが、金子さんはクラウドファンディングについて、どのような印象をお持ちですか?

金子:実際に使ったことがないので、あまり詳しくはわかってないんですけど、発信の仕方として新しくて、時代性に紐づく形だと思います。そこからチャンスにつながったりするから、すごくいいコミュニケーションの場所ですよね。

―テンプレートに当てはめるのではなく、個々のやり方を突き詰めるという意味でも、クラウドファンディングという場は有効活用できますよね。

金子:僕はやっぱりお客さんが第一だと思っているので、お客さんがシステムをちゃんと理解して、アーティストのやりたいことに共鳴して参加するのであれば、それはすごくいいなって思います。ただ、そこに付加価値をつけ過ぎると、バンドのカラーが崩れる危険性もあるのかなって思ったりもしますね。

金子悟

―では最後に、エンターテイメント業界に入りたいと思っている人、また興味はあるんだけど、業界の未来に不安も感じている人に対して、なにかメッセージを伝えていただけますか?

金子:どの業界でも同じことが言えると思うんですけど、興味があることや好きなことからどんどん始めてみたらいいと思います。「不況だから」とか「業界がこうだから」っていう前に、やってみたいことをやったらいいんじゃないですかね。

そのためにも、若い子はどんどん遊んだほうがいいと思いますね。僕、現場に遅刻してきても、その理由が「朝まで寝ないで遊んでたから」だったら、許しますもん(笑)。

―金子さんも過去に自分で音楽活動をしたり、イベントを開催した経験が今に生きているわけですもんね。

金子:やっぱり、もとからなにかを作るのが好きなんでしょうね。今Suchmosではマネジメントから制作からすべてに関わってるので、なにか自分のアイデアが形になったときは、すごくやりがいを感じます。別に会社で偉くなろうと思ってやってるわけではなくて、バンドの音楽をどう伝えたらいいのかを考える、それが一番楽しいんですよ。

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ウェブサイト情報

{作品名など}
CAMPFIRE

群衆(crowd)から資金集め(funding)ができる、日本最大のクラウドファンディング・プラットフォームです。

リリース情報

Suchmos『THE KIDS』
Suchmos
『THE KIDS』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,700円(税込)
PECF-3174

1. A.G.I.T.
2. STAY TUNE
3. PINKVIBES
4. TOBACCO
5. SNOOZE
6. DUMBO
7. INTERLUDE S.G.S.4
8. MINT
9. SEAWEED
10. ARE WE ALONE
11. BODY

プロフィール

金子悟(かねこ さとる)

スペースシャワーミュージック事業本部 制作部 金子ルーム プロデューサー。1979年生まれ。2006年、株式会社パルコ入社。2012年、スペースシャワーネットワークに入社。Suchmos、SISTERJETのマネージメント / A&Rを務める。

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