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cero、Yogee、WONKら熱演。東京の音楽シーンの新たな道を見た

『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』
テキスト
金子厚武
編集:飯嶋藍子
cero、Yogee、WONKら熱演。東京の音楽シーンの新たな道を見た

気鋭のバンドとDJ陣が夜通し熱演した『ALTERNATIVE ACADEMY』

スペースシャワーTVが主催する音楽とカルチャーの祭典『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』で、今年も『ALTERNATIVE ACADEMY』が開催された。「TOKYOから世界の音楽シーンに自信を持っておススメする気鋭のアーテイスト」として、昨年も出演予定だったものの、メンバーのインフルエンザによって急遽キャンセルとなり、そのリベンジとなるceroをはじめ、ライブアクトにSTUTS、Yogee New Waves、WONK、DJにokadada、サイトウ“JxJx”ジュン、Licaxxxというラインナップが集結。今年からオールナイトイベントに変更され、渋谷WWW Xを舞台に熱演が繰り広げられた。

オープニングDJを務めたokadada
オープニングDJを務めたokadada

2010年代のインディーシーンを牽引してきたceroの新たな一手

オープニングのDJを務めたokadadaに続いて登場したceroのライブを振り返る前に、2月に新木場STUDIO COASTで行われたSuchmosの自主企画イベント『The Blow Your Mind vol.2“THE KIDS”Release Party』について触れておきたい。大ヒットを記録しているアルバム『THE KIDS』の発売日に、Suchmosがceroを迎える形で行われた2マンライブにおいて、ceroの高城晶平はMCで「Suchmosが出てきてくれたおかげで、自分たちのやるべきことがはっきりした」と語っている。この言葉は決して軽くない。

高城晶平(cero)
高城晶平(cero)

2015年にリリースされた『Obscure Ride』という作品は、「さんざんシティポップって言われたから、自分たちなりのシティポップを作ってみた」という作品であり、2010年代前半のインディーシーンを引っ張ってきたバンドによる、決定打であった。

では、その次の一手はどうするのかとなったときに、「自分たちが先頭に立って、豊饒な今のシーンをオーバーグラウンドに紹介する役割を担う」という選択肢も、ゼロではなかったはずだ。例えば、彼らは昨年3月に『SMAP×SMAP』に出演しているわけで、SMAPに楽曲を提供するという未来だってあったかもしれない。

しかし、結果的にはそうならず、そのタイミングでSuchmosという音楽的に親和性がありつつ、自分たちとは違って明確にオーバーグラウンドを意識したバンドが伸びてきたことによって、「シーンのことなどは気にせず、自分たちは自分たちが面白いと思うことを追求しよう」という、もともとの発想に回帰。あくまで僕なりの解釈だが、それが先の発言の意味するところだったのではないかと思う。

cero
cero

実際、昨年の11月から12月にかけて行われた全国ツアー(『MODERN STEPS TOUR』)で初披露された新編成でのライブでは、過去曲が大幅にリアレンジされていて、それはこの日のライブも同様。しかも、この日はゲストドラマーとして、Yasei Collectiveの松下マサナオが迎えられていたこともあり、よりフリーフォーム度が増していたように思う。

前半は“Summer Soul”や“Yellow Magus”といった定番曲を並べつつも、中盤で披露された新曲はかなりミニマル寄りのエクスペリメンタルな仕上がりで、もはやネオソウルやヒップホップうんぬんといった範疇を超え、バンドが新たなモードに入ったことを明確に伝えていた。イベントタイトルになぞらえるなら、文字通り「オルタナティブ」な姿勢を見せたライブだったと言ってもいいだろう。

暴走の時期を抜け、新体制での充実のライブを見せたYogee New Waves

DJスペースにSTUTSが登場し、KMCやAlfred Beach Sandalといったゲストも迎えつつ、MPCの手打ちによるアグレッシブなライブを披露すると、続いてステージに登場したのは、新メンバーとしてギターの竹村郁哉とベースの上野恒星を迎え、新体制でのライブ活動を2月にスタートさせたばかりのYogee New Waves。

フロアを湧かせるSTUTS
フロアを湧かせるSTUTS

角舘健悟(Yogee New Waves)
角舘健悟(Yogee New Waves)

イベントに先立って行われたWONKの長塚健斗との対談(Yogee New Waves×WONK対談 東京インディーは今さらに面白い)で角舘健悟は2016年を振り返り、「『欠陥だらけなんだけど、暴走機関車は走り続ける』みたいな状態。今俯瞰してみると……結構ムチャクチャやってたなって思います」と冗談交じりに話していたが、同世代バンドの活躍を横目に、なかなかバンドの体制が整わない状況に対して、焦りがなかったと言えば嘘になるはずだ。

しかし、この日のライブはそんな暴走の時期を抜け、充実した現在を示すに十分なライブだった。角舘は「今日も一日よく笑ったから、もう声が枯れてるんだよね」と笑いながら、「今夜は最高だなあ」と繰り返し、“Megumi no Amen”や“Climax Night”といった人気曲に交えて、新曲を数曲披露。なかでもラストに演奏された“How do you Feel”が素晴らしく、新たなアンセムと呼べそうな名曲だった。

2月より新体制となったYogee New Waves
2月より新体制となったYogee New Waves

先の対談で角舘は「出演者のなかで一番でっけえ音出します」と宣言していたが、この曲で竹村と共に予告通りの轟音を放ち、サイケデリックな余韻を残してライブが終了。うん、ヨギーはきっと大丈夫。

確固たる存在感でオーディエンスを掌握した、WONKの先鋭的なジャズ×ヒップホップ

低音を効かせたDJでLicaxxxが深夜のフロアをロックすると、最後のライブアクトとしてWONKが登場。「J Dilla(1974年アメリカ出身、ヒップホッププロデューサー)系譜のビートミュージックを生音でやる」を大本のコンセプトに、ここ日本でジャズとヒップホップの融合を押し進めるWONKのライブでまず目に付くのは、ドラマーの荒田洸の存在。

Licaxxx
Licaxxx

荒田洸(WONK)
荒田洸(WONK)

ceroやYasei Collectiveもそうだが、ビートミュージック以降の感性で、揺らぎを含んだ先鋭的なリズムを叩き出すドラマーを擁するバンドは東京でも確実に増えていて、彼もまた今のシーンを象徴する一人だと言えよう。

初の流通盤『Sphere』が昨年リリースされたばかりということもあり、序盤は熱狂的な反応を示す人と、噂を耳にしてチェックをしに来たといった感じの人が、半々という印象。しかし、存在感のある長塚のボーカルや、ゲストのサックスも加えての、メンバーのソロ回しなどによってジワジワ盛り上げると、コモンの“The Light”から“savior”へと至る終盤にはすっかりオーディエンスを惹きつけ、見事に拍手喝采をさらっていった。

長塚健斗(WONK)
長塚健斗(WONK)

その後は再びokadada、ラストはサイトウ“JxJx”ジュンが締め括り、フロアは朝まで大盛り上がり。今の東京の音楽シーンが世界に誇れるものであることを確かにリプリゼントすると共に、cero、Yogee New Waves、WONKという3バンドが、2016年にそれぞれの転機を迎え、新たなスタート地点に立ったことを示す、意義深い一夜だったように思う。

イベントを締め括ったサイトウ“JxJx”ジュン
イベントを締め括ったサイトウ“JxJx”ジュン

イベント情報

『ALTERNATIVE ACADEMY』

2017年3月4日(土)
会場:東京都 渋谷 WWW X
ライブ:
cero
STUTS
Yogee New Waves
WONK
DJ:
okadada
サイトウ“JxJx”ジュン
Licaxxx

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