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あがた森魚が語る「ベルウッド・レコード」と、伝える技術の話

あがた森魚が語る「ベルウッド・レコード」と、伝える技術の話

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中慎一郎
2012/10/09

この新しい時代をどう生きていくのかっていうことへのもがきとか焦りのようなものもあって、それを表現したかった。

―URCやエレックといった色々なレーベルがある中で、ベルウッドの作品は非常に音楽性が幅広く、洋楽的な部分があったり、芸術性が高いように思うんですね。そういったアーティストが集まったことには、何か理由があったのでしょうか?

あがた:僕個人はレーベルの中でもすごく特殊な立場で、ある意味ポッと出だったわけですよ。小室さんや細野さんは、それまでほんの数年だとしても、その間の蓄積なり活動で培ってきたものがあったと思うんですね。僕は1969年に早川義夫さん、遠藤賢司さん、バレンタイン・ブルー(後のはっぴいえんど)が出ていた『ロックはバリケードをめざす』というコンサートを見て、そのときの驚きと言ったらなかったから。それでURCの新人募集のチラシを見て早川さんに会いに行って(当時早川氏はURCのディレクター)、遠藤さんとも何故か出会い、細野さんとも何故か出会い、「ここは僕の世界だ」って思ったの。

―そう思ったのは、どんな部分が大きかったのですか?

あがた森魚

あがた:例えば、THE KINKSはロンドンのビクトリア朝的な、クラシカルな、自分たちが持っていたイメージとロックを結びつけて世界を作っていった。ライ・クーダーやランディ・ニューマンも、そうだった。僕も自分が生まれ育った中で見聞きした自分たちのレトロモダン、自分たちが普段使ってる言葉で自分たちの感性を表現したかったわけ。1965年に函館で、高校生の自分がボブ・ディランを深夜放送で聴いたことが始まりなんだけど、だからってボブ・ディランのマネをしたいわけでも、英語で歌いたかったわけでもなくて、ボブ・ディランから何かを受けた僕が、今現在の自分のポップスをやりたかった。それと非常に相似形だったのが、早川さんであり、遠藤さんであり、細野さんで、何とか彼らに追いつけ追い越せで。

―さきほど「何故か出会った」という風におっしゃいましたが、表現の仕方はそれぞれ違えども、その「自分たちの感性を表現する」ということにおいて一致したからこそ、自然と出会ってきたのかなって、お話を聞きながら思いました。

あがた:明るいとか暗いで片付けちゃいけないんだけど、早川さんや遠藤さんが持っていた独特の暗さ、美意識、音楽的感性っていうのは、ワンアンドオンリーかつ絶妙に日本人的というか、日本語で生活してきた僕らそのもので、こんな絶妙な表現の仕方は他にないなって、すごく驚いたんだよね。

―やはり、「日本人らしく、日本語で」というのがひとつのポイントだったわけですね。

あがた:僕らなりのアイデンティティーっていうと非常に抽象的だけど、アジアの片隅で生まれ育った、しかも1945年に戦争が終わって生まれてきた俺たちって何なんだろうっていうのはあったよね。さらには60年安保、70年安保を経て、この新しい時代をどう生きていくのかっていうことへのもがきやら焦りのようなものもあって、それを表現したかったんだね。それは音楽スタイル以前に「自分がどう生きるか」ってことで、戦後すぐのように、餓死寸前で生きてるわけではなかったし、社会運動や政治運動をしていたわけでもないんだけど、やっぱり自分が、あるいは僕らが、どういう感受性で、自分たちの生き方を示すのかが大事だった。そうやって作られたのが『赤色エレジー』であり、今回再発される『乙女の儚夢』『噫無情(レ・ミゼラブル)』『僕は天使ぢゃないよ』だったってことかな。

あがた森魚『乙女の儚夢』
あがた森魚『乙女の儚夢』

写真左:あがた森魚『噫無情(レ・ミゼラブル)』、写真右:あがた森魚『僕は天使ぢゃないよ』
写真左:あがた森魚『噫無情(レ・ミゼラブル)』
写真右:あがた森魚『僕は天使ぢゃないよ』

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リリース情報

『Bellwood 40th Anniversary Collection』
『Bellwood 40th Anniversary Collection』

2012年10月3日発売
[リリース作品]
・六文銭『キングサーモンのいる島』
・高田渡『系図』
・山平和彦『放送禁止歌(オリジナル・バージョン)』
・西岡恭蔵『ディランにて』
・武蔵野タンポポ団『武蔵野タンポポ団の伝説』
・あがた森魚『乙女の儚夢』
・大瀧詠一『大瀧詠一』
・Bellwood 40th Anniversary Collection『フォーク・ギターの世界』
・はっぴいえんど『HAPPY END』
・細野晴臣『HOSONO HOUSE』
・及川恒平『忘れたお話』
・高田渡『石』
・山平和彦『風景』
・岩井宏『30才』
・南正人『南正人ファースト』
・はっぴいえんど『CITY/はっぴいえんどベスト・アルバム』
・はちみつぱい『センチメンタル通り』
・小室等『私は月には行かないだろう』
・高田渡『ごあいさつ』
・小室等『東京』
・はっぴいえんど『ライブ!!はっぴいえんど』
・西岡恭蔵『街行き村行き』
・あがた森魚『噫無情(レ・ミゼラブル)』
・Bellwood 40th Anniversary Collection『フォーク・ギター』
・オリジナル・ザ・ディラン『悲しみの街』
・いとうたかお『いとうたかお』
・はっぴいえんど『シングルス・はっぴいえんど』
・六文銭『シングルス・六文銭』
・及川恒平『名前のない君の部屋』
・ザ・ディランII『この世を悲しむ風来坊に捧ぐ』
・加川良『アウト・オブ・マインド』
・小室等『デッドヒート '74年ライブ』
・ザ・ディランII『時は過ぎて〜ザ・ディランIIライヴ』
・朝野由彦『巡礼』
・あがた森魚『僕は天使ぢゃないよ』
・山平和彦『ライブ!山平和彦』
・中川五郎『また恋をしてしまったぼく』
・遠藤賢司『東京ワッショイ』
・大瀧詠一『アーリー大瀧詠一』
・友川かずき『俺の裡で鳴り止まない詩〜中原中也作品集』
・小室等『私は月には行かないだろう(完全限定プレス盤)』
・六文銭『キングサーモンのいる島(完全限定プレス盤)』
・六文銭『六文銭メモリアル(完全限定プレス盤)』
・山平和彦『放送禁止歌(完全限定プレス盤)』
・山平和彦『風景(完全限定プレス盤)』
・山平和彦『ライブ!山平和彦(完全限定プレス盤)』
・大瀧詠一『大瀧詠一(完全限定プレス盤)』
・大瀧詠一『アーリー大瀧詠一(完全限定プレス盤)』
・はっぴいえんど『HAPPY END(完全限定プレス盤)』
・はっぴいえんど『CITY/はっぴいえんどベスト・アルバム(完全限定プレス盤)』
・はっぴいえんど『ライブ!!はっぴいえんど(完全限定プレス盤)』

あがた森魚
『大航海40年史』(2CD)

2012年11月7日発売
価格:3,500円(税込)
UPCY-6673/4

[DISC1]
1. コドモアルバム/あがた森魚と山崎優子
2. 俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け
3. 沢尻エリカぶるぅ。
4. キューポラ・ノアールの街
5. るるもっぺべいぶるう
6. 佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど
7. 風立ちぬ
8. 太陽コロゲテ46億年
9. たそがれる海の城
10. キットキット!!遠く遠く!!(Version T.K.T.)
11. 月食/雷蔵
[DISC2]
1. 誰が悲しみのバンドネオン
2. パール・デコレーションの庭
3. 骨
4. いとしの第六惑星
5. 春の嵐の夜の手品師
6. 百合コレクション/ヴァージンVS
7. 星空サイクリング/ヴァージンVS
8. 僕は天使ぢゃないよ
9. 星のふる郷
10. 最后のダンス・ステップ(昭和柔侠伝の唄)
11. 大寒町
12. 清怨夜曲
13. 大道芸人
14. 赤色エレジー(Single Version)
解説:湯浅学
イラスト:山本ルンルン
※SHM-CD(Super High Material CD)仕様

プロフィール

あがた森魚

1948年北海道生まれ。1972年『赤色エレジー』でデビュー。 当時、アメリカのコンテンポラリーなフォークロックやヒッピームーブメントなどに強い影響を受けながらも、その影響下に留まらず、 日本の大正や昭和のロマンティックな大衆文化を彷彿とさせるオリジナリティーあふれる音楽世界を創り出していった。 デビューアルバム『乙女の儚夢』以降、『噫無情』『日本少年』『永遠の遠国』と、あがた森魚世界観をはらんだアルバムを発表しながら70年代を駆け抜けた。映画製作や文筆活動等々多岐にわたりながらオリジナルアルバムを次々とリリース。 デビュー40周年を迎える2012年はアルバムリリースや記念コンサートの開催など引き続き意欲的な活動が続いている。10月3日、ベルウッドの創立40周年を記念して「Bellwood 40th Anniversary Collection」と銘打って51タイトル再発されたコレクションには、あがた森魚の初期3枚のアルバムが含まれる。

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