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生ける伝説の素顔に迫る 喜多郎インタビュー

生ける伝説の素顔に迫る 喜多郎インタビュー

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:高見知香
2013/12/25
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1970年代後半から80年代前半にかけて、冨田勲やYellow Magic Orchestra(YMO)と共に「シンセサイザー音楽の第一人者」として大きな注目を浴びた喜多郎。「ニューエイジミュージック」というジャンルの先駆けでもあり、NHKドキュメンタリーテレビ番組『シルクロード』やオリバー・ストーン監督『天と地』の音楽監督などを手がけ、これまでに『ゴールデングローブ賞』『グラミー賞』を受賞するなど、ワールドワイドな活動を続けている彼は、まさに「リビングレジェンド(生きた伝説)」という名に相応しい存在だ。

ただ、あまりにも「孤高の存在」過ぎて、日本では(特に若い世代)は馴染みが薄いという人も多いのかも知れない。かくいう筆者も喜多郎に対し、「長髪を振り乱しながらシンセサイザーを操る仙人のような人物」という先入観をずっと持ち続けていた。それが、実際にお会いしてみるととても気さくで話し好き、肌ツヤもよく健康的な出で立ちで、パブリックイメージとのあまりのギャップに驚かされるばかり。インタビューでは、これまでのキャリアを振り返りながら、最新アルバム『Final Call』に込められた思いについてもたっぷりと語ってもらっている。これまで聞いたことのないような、貴重なエピソードの数々を堪能して頂けたら幸いだ。

ある時期から他の人の音楽は一切聴かなくなって、今でも僕は自分の音楽しか聴かないんです。

―喜多郎さんのお名前の由来は、高校生の頃すでに長髪で「ゲゲゲの鬼太郎」に似ていたからだと聞きました。学生の頃はどんな少年だったのですか?

喜多郎:音楽よりもスポーツの方が好きで、テニスとか色んなことやっていましたね。バンドをやり始めたのは高校生くらいで、THE BEATLESを筆頭にブリティッシュロックやアメリカンロックなど、主に海外のロックからインスパイアされました。当時の日本では、フォークソングやグループサウンズのような、いわゆる歌謡曲っぽい音楽が流行っていたけど、そういうのはあまり聴かなかった。それに、ある時期から他の人の音楽は一切聴かなくなったんです。

―それは何故ですか?

喜多郎:自分で曲を作るようになって、もちろん最初のうちは模倣というか、コピーから入るんですけど、そればっかりやっていると、だんだん自分の音楽が好きなアーティストに似てきちゃうんですよ。それからですね、「自分だけの音楽を作るなら、他の人の音楽は聴かないのが一番」って思うようになったのは。今でも僕は自分の音楽しか聴かないんです。

喜多郎
喜多郎

―それはとても面白いですね。曲作りの最初のインスピレーションは、ご自身で撮った写真から生まれたりもすると聞きました。

喜多郎:そうなんです。1980年にNHKのドキュメンタリーテレビ番組『NHK特集 シルクロード』の音楽を作り始めた頃、東京から長野の山中へ引越したんですけど、その頃から写真を撮るようになりました。もう、撮るモノがたくさんあるんですよ。小さな虫を接写レンズで撮ったり、遠くの大きな山を広角レンズで撮ったり。ミクロとマクロの世界ですよね。そういう写真の世界と、音楽の世界が自分の中で重なってくるんですよね。イメージを音に変換するというか。

―イメージを音に変換するときに、シンセサイザーとの出会いはやはり大きかったのでしょうか。

喜多郎:それは大きかった。自分の感情をツマミで表現出来るから。僕が初めて触った1970年代のシンセはみんなアナログで、当時はモノフォニック(単音)しか出なかったんです。BuchlaとかMoogとかを使っていたんだけど、もうメチャクチャ。二度と同じ音が出ない(笑)。デジタルの場合は数値でコントロールしているからそんなことはないけど、アナログの場合はツマミをちょっといじっただけで音は変わるし、そのツマミの微妙な位置というのはなかなか思うようにいかない。でも、その瞬間だけの音というか、再現出来ない音というところにアートとしての価値があると思うんですよね。

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リリース情報

喜多郎<br>
『Final Call』(CD)
喜多郎
『Final Call』(CD)

2013年9月4日発売
価格:3,150円(税込)
YZDI-10106

1. Final Call
2. Jupiter's Beam
3. Yo-en
4. Shadow Of The Moon
5. Traveler
6. Valley Of The Spirit
7. After Glow
8. Wind From The Desert
9. Moment Circle
10. Whispering Shore
11. Solar Eclipse

プロフィール

喜多郎(きたろう)

1953年生まれ、愛知県豊橋市出身。作曲家。オリバー・ストーン監督による映画『天と地 (Heaven & Earth)』(1994年)でゴールデングローブ賞作曲賞受賞。2001年、米音楽界最高峰であるグラミー賞受賞、これまでにノミネート15回。自然環境からインスピレーションを取り入れた独自のクリエイティブな作品は世界中で高い評価を受けている。毎年夏には富士山の5合目太郎坊駐車場にて、日没から夜明けまで約12時間かけた無料イベント『富士山讃歌』を行っている。これは年に一度、大地への感謝の気持ちを表現したファンと一体になったイベントである。2006年に、アメリカのコロラド州からカリフォルニア州セバスタポウルに移住。2013年秋、ニューアルバム『Final Call』をリリース。第56回グラミー賞「最優秀ニューエイジアルバム賞」にノミネートされている。

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