特集 PR

坂本美雨×CANTUSによる、人を笑顔にする「子守唄」のススメ

坂本美雨×CANTUSによる、人を笑顔にする「子守唄」のススメ

坂本美雨 with CANTUS『Sing with me』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西田香織 編集:野村由芽

美雨さんはいろんなことができる人だし、猫にも詳しいけど(笑)、私にとっては「声の人」なんです。(太田)

―太田さんもお子さんが2人いらっしゃるそうなので、子守唄を歌ったりする場面があるんじゃないですか?

太田:私、子守唄のレパートリーがすごくたくさんあるので、どれにしようか迷っちゃうんですよ。しかも、歌い始めると本気になって「音、外したくない」って思っちゃうんで、子守唄は即興にしてました(笑)。

―合唱隊出身ならではのエピソードですね(笑)。

太田:でも、普段私が家で歌うと「ママやめて」って怒られるんです。子どもは「ママが歌うときは出かけるとき」って思っているのかもしれないですね。

坂本:美帆ちゃんは集中力がすごいから、「ママが歌に取られちゃう」って感じなのかも。

太田:そうなんですよ。好きなことにはまっしぐらになっちゃう。美雨さんの制作中には美雨さんのことしか考えられなくて、夫からは「離婚しよう」って言われたもん(笑)。

坂本:ちょっと! やめてよ! 私のせいで家庭が崩壊したら……。

太田:和解したから大丈夫(笑)。

左から:坂本美雨、太田美帆

―よかったです(笑)。でも、それくらい制作に没頭していたんですね。

太田:私は、そもそも自分でコーラスワークをアレンジできると思っていなかったんです。美雨さんと初めて共演したのは、NHK-FMのディズニー特番だったんですけど、初めは中島(ノブユキ / 作曲家・ピアニスト)さんにアレンジしてもらう予定だったのが、スケジュールが合わなくて。そうしたら美雨さんのマネージャーさんが「美帆ちゃん、やっちゃおうか」って。

坂本:そうだったの? うちのマネージャー裏番長すぎる(笑)。

太田:なので、最初は「できないできない」って泣きながら作ってたんです。でも、あるときに阿部海太郎さんに会って、「こんな感じでやっているんだけど」って聴かせたら、「大丈夫、美帆さんのアレンジは民芸になってる」って言われたんです。プロが作ったものじゃなくて、民間の人が愛を紡いでいる状態だから、これで大丈夫だって。

坂本:すごい、いい言葉だね。

―そのディズニー特番のときに作った“When You Wish Upon A Star~星に願いを~”が今回のミニアルバムにも収録されていますね。

坂本:「ドレミファソラシド」の音階って、楽器で一斉に鳴らすと絶対に気持ち悪いのに、人間の声でハーモニーを作ると不思議ときれいに響くんですよね。とはいえ、不協和音の美しさを表現できる人ってそんなに多くないと思うんです。その点、宗教音楽は不協和音を使うことが多いからか、美帆ちゃんはディズニー特番のときも、不協和音の良さを自然に取り入れたアレンジをしてくれてすごく理想的だなって。

太田:美雨さんは表現力もすごいけど、そもそも、声そのものがめちゃくちゃ多色なんですよ。いわゆるシンガーソングライターさんって、歌い方のニュアンスで自分を表現することが多いと思うんですけど、美雨さんに関しては、その声自体の七色加減をいかに多くの人に知ってもらうかが私のテーマでした。美雨さんはいろんなことができる人だし、猫にも詳しいけど(笑)、私にとっては「声の人」なんです。

坂本:父親(坂本龍一)は、私の作品に対して「いいけど、まだ声が力んでるね」って感想が多かったんです。きっと、父の中に「理想の私の声」があって、それと私の歌い方が違うんだろうなと思っていたんですけど……。今作を作ってみて、もしかしたら、今回美帆ちゃんが引き出してくれた歌い方が、父の好きな響きに近いのかもしれないと思ったんです。父は、もっと普段のしゃべり声に近い、力まない声で表現できるのでは? ってことをずっと言っていたんじゃないかなって。

心が痛む事件も多いけど、日常に歌があったら、何か違ったんじゃないかって思ったりもするんです。(坂本)

―ミニアルバムに先駆けて、“pie jesu”が先行配信されていますね。

坂本:3月11日に鎮魂歌を配信することになって、美帆ちゃんに「何がいいかな?」って相談したら、“pie jesu”を教えてくれたんです。ただ鎮魂歌として歌うんじゃなく、子守唄としても歌いたいと思ったら、この優しい曲がぴったりで。

―アレンジにはharuka nakamuraさんも参加されていますが、太田さんとは以前から友人だったそうですね。

太田:美雨さんが青山CAY(東京・青山に位置するステージのあるレストランバー)で定期的にライブをしていたときに、harukaと二人で観に行ったことがあって。「いつか坂本美雨と一緒にやれたらいいね。あなたの作っているものと絶対合うよ」って言ったら、「姉さん、頑張ります」みたいな感じだったので(笑)、今回作品に参加できて彼はホントに嬉しかったと思います。

―“星めぐりの歌”は宮沢賢治が作詞作曲した曲で、haruka nakamuraさんに勧められたそうですね。

太田:harukaにとってすごく大事な曲みたいで。やり出したらまっしぐらになっちゃう人なので、この曲はミックスまで彼がほぼ完成させました。あと、この曲だけharukaの横に美雨さんに立ってもらって、寄り添うように歌ってもらったんです。他の曲は、まず美雨さんが録って、コーラスを重ねていったのですが、この曲だけはみんな一緒に録りました。

坂本:この曲ができて、CANTUSとだったら世界中の素晴らしい曲を何でも歌いこなせるんじゃないかと思いました。「私たちのサウンド」というものが何となく見えてきたので、アルバムをもう一枚作りたいねっていう話をしています。

―ぜひ、この組み合わせでもっといろんなタイプの曲を聴いてみたいです。では最後に、今作のテーマは「子ども」というお話でしたが、そこをもう少し広げて、今の時代における歌の役割というのをどのようにお考えか、話していただけますか?

太田:音楽って、もはやお金の儲かる世界ではないじゃないですか? けれども、声を出す作業って、どんな人にも解放感を与えると思うんです。地震があったときは、「音楽なんてやっている場合じゃない」って風潮もあったけど、でも不安が立ちこめている場所で、「みんなが知っている歌を一緒に歌いませんか?」ってなったら、ある程度緊張がほぐれるはずなんです。今回美雨さんと作らせていただいたアルバムで、誰かの心が少しでもほぐれたらいいなって思います。

坂本:歌を歌うことって、ホントに誰でもできることだし、お母さんは昔からずっと子どもに歌を歌ってきたわけですよね。子どもの虐待だったり、すごく心が痛む事件も多いですけど、日常に歌があったら、何か違ったんじゃないかって思ったりもするんです。歌は人の気持ちを変えてくれるし、解放してくれるので、みんなもっと体を使ってほしいですね。このアルバムはただ聴くだけじゃなくて、一緒に歌ってほしいって意味で、『Sing with me』というタイトルにしました。私たちが特別で「歌ってあげる」のではなくて、「一緒に歌いましょう」という気持ちです。

左から:坂本美雨、太田美帆

Page 3
前へ

リリース情報

坂本美雨 with CANTUS『Sing with me』
坂本美雨 with CANTUS
『Sing with me』(CD)

2016年6月22日(水)発売
価格:1,296円(税込)
YCCW-10277

1. 星めぐりの歌
2. ノスタルジア
3. When You Wish Upon A Star ~星に願いを~
4. pie jesu

イベント情報

坂本美雨 with CANTUS『Sing with me』リリース記念イベント

2016年7月3日(日)12:00~
会場:東京都 タワーレコード新宿店

プロフィール

坂本美雨 with CANTUS
坂本美雨(さかもと みう)

1980年生まれ。1990年に音楽家である両親と共に渡米。ニューヨークで育つ。1997年「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義でデビュー。以降、本名で音楽活動を開始。2013年初のベストアルバム『miusic - best of 1997~2012』を発表。音楽活動の傍ら、演劇出演、ナレーション、執筆も行う。2015年7月に第一子となる女児を出産。動物愛護活動をライフワークとし、大の愛猫家である。

CANTUS(かんとぅす)

幼なじみで結成された9人の女子聖歌隊。東京出身。グレゴリオ聖歌やルネサンス音楽をメインレパートリーとしている。CMや映画音楽を数多く担当。坂本美雨のほか、フィッシュマンズや中島ノブユキ等のコーラスも行なう。「CANTUS」とはラテン語で「歌」という意味。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『角舘健悟 × 青葉市子 Live at Waseda Scotthall』

2020年、全4回にわたって行われてきた対談連載企画『角舘健悟の未知との遭遇』。青葉市子と遭遇し、教会に迷い込んだ2人の秘密のセッションの様子が公開された。本連載の趣旨でもあり、2人を繋いだYogee New Wavesの”Summer of Love”と、青葉市子の”みなしごの雨”を披露。クリスマスの夜にどうぞ。(川浦)

  1. 新しい学校のリーダーズが世界へ。「自分らしさ」を探る旅路 1

    新しい学校のリーダーズが世界へ。「自分らしさ」を探る旅路

  2. ROTH BART BARON三船との対話 日本の音楽に宿るルーツを巡って 2

    ROTH BART BARON三船との対話 日本の音楽に宿るルーツを巡って

  3. 長瀬智也×宮藤官九郎『俺の家の話』 キャストや見どころ紹介 3

    長瀬智也×宮藤官九郎『俺の家の話』 キャストや見どころ紹介

  4. Perfumeがリーバイス「Levi's RED」新キャンペーンに起用、特別映像公開 4

    Perfumeがリーバイス「Levi's RED」新キャンペーンに起用、特別映像公開

  5. 西野七瀬が教師役で登場 神木隆之介、松本穂香ら出演au「高杉くん」新CM 5

    西野七瀬が教師役で登場 神木隆之介、松本穂香ら出演au「高杉くん」新CM

  6. カシオ「BABY-G」×ピカチュウのコラボモデル「BA-110PKC」販売 6

    カシオ「BABY-G」×ピカチュウのコラボモデル「BA-110PKC」販売

  7. 成人が「12歳の少女」としてSNS登録 性的搾取の実態追う記録映画『SNS』 7

    成人が「12歳の少女」としてSNS登録 性的搾取の実態追う記録映画『SNS』

  8. 『映画秘宝』年間映画ベスト&トホホ10に斎藤工、のん、宇多丸ら153人参加 8

    『映画秘宝』年間映画ベスト&トホホ10に斎藤工、のん、宇多丸ら153人参加

  9. 綾野剛主演『ホムンクルス』場面写真一挙公開 成田凌、岸井ゆきのらの姿も 9

    綾野剛主演『ホムンクルス』場面写真一挙公開 成田凌、岸井ゆきのらの姿も

  10. 川崎鷹也が語る、世間に見つかるまでの葛藤と、根底にある「愛」 10

    川崎鷹也が語る、世間に見つかるまでの葛藤と、根底にある「愛」