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電波少女が提言、オタクやネットラップをバカにしてきた人たちへ

電波少女が提言、オタクやネットラップをバカにしてきた人たちへ

電波少女『HEALTH』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子、久野剛士
2017/09/27

ゴリゴリのトラップのトラックは、正直あまりノる気がしない。「これって瞬間的にしか聴かれないんじゃないか?」って思うんです。(ハシシ)

―トラックメイカーに対して口出しするときは、どういうことを言うんですか?

ハシシ:これまでも口うるさく言ってきたのは、「ここまでエッジーにするんだったら別に電波少女のトラックじゃなくてよくない?」みたいな。そこにもうひとエッセンス、電波少女っぽさがほしいということですね。

左から:nicecream、ハシシ

―では、「電波少女っぽさ」というのは?

ハシシ:具体的には言えないんですけど、パッと聴いたときに……たとえばゴリゴリのトラップのトラックが送られてきても俺は正直あまりノる気がしないというか。「これって瞬間的にしか聴かれないんじゃないか?」って思うんです。そうなったら嫌だなって。長く聴いてもらう曲を意識してます。よくカレーにたとえるんですけど、日本味のカレーってあるじゃないですか。

―いわゆる家庭的な味のカレーだったり。

ハシシ:そうです。最初は本場のインドカレーからインスパイアされて作るんだけど、日本人の舌に合うバーモントカレーみたいなものが生まれた。電波少女は日本で勝負しようと思ってるので、インドカレーを作っても意味がないと思うんです。それだと広がっていかない。だから、本格的な味も混ぜつつ、日本で広がっていく「電波味」を作りたいと思っているんです。

―日本で得るポピュラリティーを意識していると。そのうえでトラップやトロピカルハウスのテイストを入れている。“21世紀難民”のトラックは和テイストのトラップという趣ですけど。

ハシシ:そうですね。そういうエッセンスもないと今の若い子が聴けないんじゃないかと思って。常に新しいことと広がりを持たせることの両方を意識していますね。

ハシシ

考えが何周もした同世代の人や、もっと大人の人たちにも共感してほしいんですよね。(ハシシ)

―nicecreamさんはどうですか? このアルバムの感触は。

nicecream(ボタンを押す係&パフォーマー):今まで聴いたなかで一番いい作品だなと思います。単純に自分の好みに近い感じがあって。

―好みというと?

nicecream:ポップすぎないというか。特に僕は“A BONE feat. Jinmenusagi&NIHA-C”が好きなんですけど。でも歌詞は、今の段階で全曲はもらってなくて。俺、もらってないよね?

ハシシ:そうだね(笑)。

左から:ハシシ、nicecream

nicecream:“A BONE”の歌詞もライブの楽屋に置いてあった資料を盗み見したくらいで、ほとんど理解はしてないんですけど、いい曲だなと思いました(笑)。

―いや、自分から資料をもらえばいいじゃないですか(笑)。スタッフに言えばすぐもらえますよね?

nicecream:もらえるんですかね?(笑)

ハシシ:こいつは受け身なんですよ。自分でもらいに行けよって思いますよね(笑)。

nicecream:「もらっていいのかな?」と思うところもあって(笑)。

―絶対にもらっていいですね。

nicecream:言い出すタイミングがわからないんですよね(笑)。

左から:ハシシ、nicecream

―nicecreamさんはハシシさんのラップを誰よりも近くで見ているじゃないですか。彼の歌っていることに変化を感じるところもありますか?

nicecream:昔と比べると喋り口調の歌詞が増えたなと思いますね。

ハシシ:それはもうだいぶ前に変化してる。こいつ、さっき受けたインタビューでもそう言ってて、「なに言ってるんだろう?」って思ったんですけど(笑)。

nicecream:歌詞の基本テーマみたいなものは特に変わってないなと思います。アウトプットの仕方が上手くなったとは思いますね。

―ハシシさん、その発言を受けてどうですか?

ハシシ:いや、変わったと思います。やっぱり歌詞って生きていくうえで自分に入ってくるもの、出ていくものみたいな感じなので。人間的な中身も徐々に変化してるし。それについても、さっき受けたインタビューで僕は「こういうところが変化しました」って言っていて、こいつもそれを横で聞いてるのに「変わってない」って言うんで(笑)。

nicecream:いや、変わってないのは根本的な部分がという意味でね(笑)。

ハシシ:まぁ、ネガティブをテーマにしてる部分はずっと変わってないですね。ただ、そこも徐々に変化していて。今まではずっとネガティブを吐き出してるだけだったんですけど、だんだん「そこからどうするか?」という視点を持つようになりました。それは「前を向こう」だけじゃなくて、「諦めよう」のときもあると思うんですけど。

左から:nicecream、ハシシ

―自分たちの音楽を広く届けようと思うがゆえの変化なんですかね?

ハシシ:それもあるし、あとは年齢もあると思います。当然、若いリスナーにも聴かせたいですけど、考えが何周もした同世代の人や、もっと大人の人たちにも共感してほしいんですよね。若い子に共感してもらえるのもありがたいですけど、正直若い子の考え方には厚みを感じないというか。偉そうなことを言うと、「それって1周目の考えじゃん」って思うんです。

1周目の「苦しい」と3周目の「苦しい」じゃニュアンスも違う。でも、それは何周も巡ると思うので。歳をとって「あのとき聴いた曲はもう共感できないな」って思ってもいいし、また同じところに戻ってきて「さらに深く意味がわかった気がする」って思ってもらってもいい。

―ハシシさん的に自分が迎えた何周目感が浮き彫りになっている曲はどれだと思いますか?

ハシシ:わかりやすいところで言うと、リード曲(“ME”“FOOTPRINTZ”“NO NAME.”)だったり、“A BONE~”だったり。たとえば“FOOTPRINTZ”は一見爽やかに「がんばろうぜ、前に進もうぜ」みたいな曲にも聴こえるんですけど、<心さえも 置き去りにして>というフレーズとか、わりとリスナーはサッと聴き流してる印象を受けて。正直、もっと深く考えてほしかったなって。それは自分がもっと上手い表現をすればよかったんですけど、「クソガキが聴いても絶対わかんねぇよな」とも思っちゃったんです。でも、今は理解できなくていいとも思う。

ハシシ:自分もGOING STEADYやTHE BLUE HEARTSを、わりと大人になってから聴くようになって。もちろん、それ以前にも聴いたことはあるんですよ。でも、いざ大人になって聴いたときに、「もし俺が高校生のときにハマってこの歌詞を聴いていても、深いところまで理解できてたかな?」と思うんですよね。だから自分の曲も、ここから年齢を重ねて、40代、50代になってまた聴こえ方が変わってくる感じを狙いたいんです。

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リリース情報

電波少女『HEALTH』初回限定盤
電波少女
『HEALTH』初回限定盤(CD+DVD)

2017年9月27日(水)発売
価格:3,799円(税込)
BVCL-823/4

[CD]
1. INTRO
2. ME
3. FOOTPRINTZ
4. 21世紀難民 feat. れをる(from REOL)
5. 先天性ハートブレイク
6. 花火 feat. NIHA-C
7. MONE\CLIP feat. Jinmenusagi
8. SKIT1
9. 未来は誰かの手の中
10. クビナワ feat. ぼくのりりっくのぼうよみ&ササノマリイ
11. SKIT2
12. NO NAME.
13. A BONE feat. Jinmenusagi & NIHA-C
14. OUTRO
[DVD]
『電波少女 ワンマンライブ“EST.”at Shibuya WWW X(2017.06.18)』
1. INTRO
2. FOOTPRINTZ
3. オルタネートエラー feat. トップハムハット狂
4. Mis(ter)Understand
5. Earphone feat. Jinmenusagi
6. RY feat. Jinmenusagi
7. オーバードーズ feat. NIHA-C
8. MO feat. NIHA-C
9. ME
10. 笑えるように
11. COMPLEX feat. Jinmenusagi, NIHA-C
『MV & Short Movie』
12. ME MV
13. FOOTPRINTZ MV
14. NO NAME. -Short Movie-『デイドリーマーA』

電波少女『HEALTH』通常盤
電波少女
『HEALTH』通常盤(CD)

2017年9月27日(水)発売
価格:2,800円(税込)
BVCL-825

1. INTRO
2. ME
3. FOOTPRINTZ
4. 21世紀難民 feat. れをる(from REOL)
5. 先天性ハートブレイク
6. 花火 feat. NIHA-C
7. MONE\CLIP feat. Jinmenusagi
8. SKIT1
9. 未来は誰かの手の中
10. クビナワ feat. ぼくのりりっくのぼうよみ&ササノマリイ
11. SKIT2
12. NO NAME.
13. A BONE feat. Jinmenusagi & NIHA-C
14. OUTRO

イベント情報

電波少女
『メジャーデビューアルバム「HEALTH」リリースパーティー』

2017年10月7日(土)
会場:東京都 高円寺HIGH
※スペシャアプリ、LINE LIVEで生配信

プロフィール

電波少女
電波少女(でんぱがーる)

2009年、インターネット動画投稿サイトに突如姿を現した数名の個性派MC・TMで電波少女結成。幾度のメンバー加入、脱退を経て、現在はMC担当ハシシとパフォーマンス&ボタンを押す係担当nicecreamの2名で活動。ハシシの等身大でリアルなリリックと、キャッチーなメロディーは一度聞いたら耳から離れない中毒性を持ち、ライブにおけるnicecreamのダンスパフォーマンスは、ほかでは味わえない華やかさがありライブならではの一体感を生み出している。各動画サイトにアップロードされたMVなどの映像は累計で300万再生を突破しており、今、最も注目と期待を集めているHIPHOPCREWである。2017年9月27日メジャーデビューアルバム『HEALTH』発売。

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