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Gotchが歌う「生の肯定」 現代社会のほころびを見つめ直して語る

Gotchが歌う「生の肯定」 現代社会のほころびを見つめ直して語る

Gotch『Lives By The Sea』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:山川哲矢 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

12月にデジタルでリリースされたGotchの新作『Lives By The Sea』は、2020年という特殊な1年の空気を吸い込みながら、それを普遍的な「生の肯定」へと昇華した、素晴らしい作品だ。ゴスペル色の強いR&B / ヒップホップのムードは、資本主義社会の加速に対して、静かな祈りの時間の重要性を伝え、雑多なジャンルのフィーチャリングゲストの参加は、分断の進む時代に、混ざり合うことの力強さを改めて提示している。

2021年でASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)は25周年を迎えたが、後藤正文としても、Gotchとしても、常に大事にしてきたのは「繋ぐ」ということだったように思う。人を繋ぎ、文化を繋ぎ、歴史を繋ぎ、その中で生きることの喜びと苦しみをともに鳴らしながら、キャリアを積み重ねてきた四半世紀。彼はよく「自分たちは歴史の川下に立っている」という表現を使い、それも「繋ぐ」ということに対する意識の表れだと言えるが、その川が流れ着いた先にある海辺の暮らしは、こんなにも穏やかで、こんなにも豊かだった。

後藤正文(ごとう まさふみ)<br>1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリースした。
後藤正文(ごとう まさふみ)
1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリースした。

産業構造と「音楽の喜び」の狭間で。コロナ禍に後藤正文が気づかされたこと

―年末の取材ということで、まずは非常に特殊な1年となった2020年をどのように過ごしてきたか、振り返っていただけますか?

Gotch:いろんなコンサートが延期になったり、中止になっていった中で、アジカンのツアーもなくなって、しばらく仕事がないというかね、ほとんど自宅待機みたいな感じになって。幸い僕はスタジオを持っているから、スタジオと自宅を行き来しながらリモートワークでアジカンの曲を作ったりしていましたけど、ソロに関してはmabanuaのトラックに反応したり、積み上げてあったフレーズの整理をしたり、そういうことからやっていった感じですね。

あとは、仲間たちの心配をしていましたね。3月とかは、まだ「夏フェスなら何とかできるんじゃないか」って期待を持っていたと思うけど、「どうやら夏にも収まらないぞ」となっていって……。

―結局1年どころか、まだまだこの状況は続きそうですよね。ただ、COVID-19の感染拡大が本格化する手前の3月に“Nothing But Love”をリリースしていて、その頃からアルバムには向かっていたと思うので、ライブがなくなって、結果的に制作に集中できたという側面はあるのかなと。

Gotch:コロナがなかったら、2020年にアルバムは出せてなかったと思います。

Gotch“Nothing But Love”を聴く(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

Gotch:2021年はアジカンが25周年だから、「今年は制作でしょ」って空気だったので、コロナさえなければ、2020年のうちにアジカンの曲作りを終わらせて、年明けくらいからロンドンでレコーディング、みたいなイメージだったんです。でも、この状況では海外になんて行けないから、ソロに充てる時間が取れた。いろいろ考えちゃいましたけどね、「僕たちの活動時間は何に持っていかれてるのかな」って。

―何を目的としているのか、みたいなことですか?

Gotch:どうしても、作って売らないといけないってことが重くのしかかってくるんです。資本主義社会の中で食べていかなきゃいけないってことが、どこか重荷になっているというかね。たとえば、プロモーションがクリエイティブな時間を奪っているところもあって。

音楽だけで食べてないインディーのミュージシャンたちって、自分の仕事があるがゆえの苦労もあるでしょうけど、だからこそ、音楽活動では好きなことしかやらないに決まってるじゃないですか。toeとか見てるとかっこいいなと思うし、以前一緒に仕事をした8ottoもそうだし(関連記事:8otto×後藤正文×五味岳久 未来世代のために語る音楽と生活の話)。

「とにかくみんなで作品を作るっていう、この喜びだけは絶やしたくないと思った」

―音楽業界全体の危機に対して、いろんなアーティストがアクションを起こした1年でもあったわけですが、普段ただ自分たちの好きな音楽だけを作ってきたtoeが、ライブハウス救済のためのコンピレーションを作ったというのは非常に印象的で(関連記事:toe発起のライブハウス支援プロジェクトにナンバガ、東京事変、ceroら約70組)。

Gotch:「友達の仕事を作りたい」ってことは正直思いましたよ。僕も仕事が欲しいから、自分のためでもあるけど、現場があるとすごく明るい気持ちになるんですよ。スタジオに入れるなら入って、そうすればスタジオにもお金が入るし、みたいな。

後藤正文
Gotch“Endless Summer(feat. YeYe)”を聴く(Apple Musicはこちら

―後藤さんとは別の取材で「シェア」の重要性をお話しましたけど、その感覚はあのコンピレーションにもあったし、多くのアーティストが参加した『Lives By The Sea』にも内包されてるものだと思うんですよね。

Gotch:そういう場作りは許される範囲でどんどんやりたい気持ちが強くなっていきましたね。だから途中からは、「今年、アルバムを作らないとダメだ」っていうか、2020年のうちに出したいと思うようになったんです。フィジカルは絶対間に合わないけど、配信なら申請から2週間で出せるわけだし。

―ストリーミングでは12月にリリースされて、CDとLPは3月リリース予定ですね。

Gotch:すべてを同じ日に出すと、一瞬のさざ波だけで忘れ去られかねないし、その日に向けて全てのスケジュールを組んじゃうと、そこに向けて取材とかプロモーション稼働をしなきゃいけないから、こっちの首を絞めることになる。それだとこれまでの繰り返しだから、もうちょっとゆるくみんなに届ける方法があってもいいなと。とにかくみんなで作品を作るっていう、この喜びだけは絶やしたくないと思ったんですよね。

Gotch“Eddie”を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

Gotch『Lives By The Sea』
Gotch
『Lives By The Sea』

2020年12月2日(水)配信

1. The End Of The Days(feat. 唾奇)
2. Nothing But Love
3. The Age(feat. BASI, Dhira Bongs & Keishi Tanaka)
4. Endless Summer(feat. YeYe)
5. Eddie
6. White Boxes
7. Stay Inside(feat. Achico & Mabanua)
8. Worthless Man
9. Taxi Driver
10. Farewell, My Boy
11. Lives By The Sea(feat. JJJ & YeYe)

Gotch
『Lives By The Sea』(CD)

2021年3月3日(水)発売
価格:2,500円(税込)
ODCP-026

1. The End Of The Days(feat. 唾奇)
2. Nothing But Love
3. The Age(feat. BASI, Dhira Bongs & Keishi Tanaka)
4. Endless Summer(feat. YeYe)
5. Eddie
6. White Boxes
7. Stay Inside(feat. Achico & Mabanua)
8. Worthless Man
9. Taxi Driver
10. Farewell, My Boy
11. Lives By The Sea(feat. JJJ & YeYe)

Gotch
『Lives By The Sea』(LP)

2021年3月3日(水)発売
価格:4,600円(税込)
ODJP-009

プロフィール

後藤正文
後藤正文(ごとう まさふみ)

1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。

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