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横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜の街で育んだ感性を糧に アジカン後藤正文×GREENROOM代表

横浜市
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:廣田達也 撮影協力:横浜開港資料館 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、あらゆる音楽イベントが中止となり大きなダメージを受けた2020年。そこからいかに音楽文化を立て直していくのかを考えるにあたって、横浜という街の積み重ねてきた歴史は大きなヒントになるかもしれない。

ペリーの来航(1853年)を起点に港町として発展し、1859年の開港を機に、アメリカをはじめとする外来文化の影響を色濃く受けてきた横浜は、ブルース、レゲエ、ヒップホップなど、雑多な音楽ジャンルが共存しながら、独自の文化を形成してきた。ウイルスによって人々の距離が遠ざけられ、壁が生まれてしまった現代に対し、常にオープンで、混ざり合うことの力を示してきたのが、横浜という街なのだ(参考文献:有隣堂『横浜歴史と文化 開港150周年記念』)。

そこで今回横浜の音楽文化について語り合ってもらうべく、「横浜のバンド」というアイデンティティのもと活動を続けてきたASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文と、GREENROOM代表の釜萢直起による対談を行った。横浜アリーナで開催され、日本と海外のバンドを繋げたASIAN KUNG-FU GENERATION主催の『NANO-MUGEN FESTIVAL』も、大桟橋から赤レンガへと会場を移しながら、サーフカルチャーの魅力を発信し続ける『GREENROOM FESTIVAL』も、その背景には横浜という街の音楽文化がある。そして、そこには土地を愛する人々の情熱があると、この対談から確かに伝わるはずだ。

左から:釜萢直起(GREENROOM)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) / この日の取材は横浜開港資料館で実施した。同館は、現在の横浜の街のあり方を決定づけた横浜開港につながる歴史的瞬間を描いた、『ペリー提督・横浜上陸の図』にも登場する「玉楠」が中庭に生い茂っている。
左から:釜萢直起(GREENROOM)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) / この日の取材は横浜開港資料館で実施した。同館は、現在の横浜の街のあり方を決定づけた横浜開港につながる歴史的瞬間を描いた、『ペリー提督・横浜上陸の図』にも登場する「玉楠」が中庭に生い茂っている。

後藤正文が1990年代半ばに触れた横浜の音楽文化と、アジカン結成当時に抱えていた想い

―まずはお二人それぞれから横浜の音楽文化に対する印象を話していただきたいと思います。後藤さんは静岡県のご出身ですが、横浜市にある関東学院大学の軽音学部でASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)を1996年に結成して、当初は横浜のライブハウスをメインに活動していたんですよね。

後藤:そうです。横浜の音楽は明らかに東京とは違う流れというか、不良っぽい文化だと思うんですよね。古くはシェルガーデン(横浜市中区山下町にあったライブハウス、1982年にオープンし1999年に閉鎖)に松田優作さんが出ていたり、歴史的にブルースやロックの系譜もある。

―本牧(横浜市中区南東部の地区。太平洋戦争後、米軍住宅施設「横浜海浜住宅地区」として接収された歴史を持ち、日本におけるジャズをはじめとするアメリカ文化の発信地でもあった)を中心とした、ザ・ゴールデン・カップスからクレイジーケンバンドに至る系譜がありますよね。

後藤:そうそう。あの流れがあるし、ヒップホップやレゲエもすごく盛んで。自分が大学生のときは、CLUB 24(横浜市中区蓬莱町にあったライブハウス、正式名称はCLUB 24 YOKOHAMA。1989年にオープンし、2007年に閉店)の土曜日にアジカンが出て、そのあとに今の『横浜レゲエ祭』の前身のイベントが開催されていたりして。

当時すでにヒップホップのシーンもあったと思うし、ストリートとの関わりは深いと思います。ただ、僕らみたいなバンドには難しかったんですよ。

―難しい?

後藤:当時の横浜のライブハウスはパンクとかメロコアが盛んで、F.A.D YOKOHAMA(横浜市中区山下町にあるライブハウス、1996年にオープン)もパンクやハードコアのイメージだったから、アジカンでは出る場所がなかった。

それで下北沢に出て行ったら、自分たちと似たようなバンドがいっぱいいて、「こっちのほうがやりやすい」とは思ったけど、横浜のパンクバンドは羨ましいというか、カッコいいなとずっと思ってました。

左:後藤正文(ごとう まさふみ)<br>1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリース。3月3日にはCDとLPがリリースとなる。
左:後藤正文(ごとう まさふみ)
1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリース。3月3日にはCDとLPがリリースとなる。(関連記事:後藤正文が語る「もう都会に住む必要はない」 故郷・島田の思い出 / Gotchが歌う「生の肯定」 現代社会のほころびを見つめ直して語る

後藤:自分の中にパンクスピリットがあるってことは、この年になって自覚したというか、今は胸を張って言えますけど、やってる音楽性は違うし、どう考えてもバキバキの不良ではなかったから、当時の横浜では「お客さんの側にいるしかないのかな?」みたいには思ってましたよ。

―それでも活動の基盤は横浜だったわけですよね。

後藤:横浜は東京からちょっと離れてるので、友達の誘いにおいそれと参加はできないんですよ。細美くん(ELLEGARDEN、the HIATUS、MONOEYESなどで知られる細美武士)とかから電話が来て、「今飲んでるから来いよ」って言われても、「出て行っただけで終電なくなるから」みたいな(笑)。

だから、アジカンは東京からの誘いにはあんまり乗らずに、横浜で積み上げてきた気持ちがあるんですよね。ライブをするために東京には行ってたけど、でも「東京のバンド」っていう気持ちはなくて。

ASIAN KUNG-FU GENERATION“粉雪”(2002年)を聴く(Apple Musicはこちら

―帰属できるようなシーンはなかったけど、横浜という土地に対しては帰属意識があった?

後藤:大学の先輩からブルースをよく聴かされたから、アジカンもその流れとは無縁ではないと思うけど、自分たちがやってたのはブルースロックではないですよね。そういう難しさもあったし、根無し草ではあったと思います。

でも、ずっと能見台(横浜市金沢区の住宅地。能見台駅は、関東学院大学や横浜市立大学にもほど近い金沢文庫駅の隣駅)の街のスタジオでチクチク曲を作って、東京からの誘惑にも負けずに(笑)、自分たちだけで音楽を育て上げてきたというかね。能見台のスタジオは穴倉みたいなもので、そこで午前中から練習したり、めちゃくちゃストイックにやってたので、横浜市にはバンド初期の頃の思い出や想い入れはすごくあります。

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プロジェクト情報

 

新しい発見、ワクワクする高揚感、感性が磨かれるような感覚をいつも与えてくれる街、横浜。気軽に訪れるだけで非日常へとスイッチが切り替わり、そこには心躍るエキサイティングな体験や、穏やかでリラックスできる時間が待っています。様々な文化が溶け込んで独自に進化してきた横浜の街の魅力を、公式SNSアカウント「Find Your YOKOHAMA」で発信しています。

プロフィール

後藤正文(ごとう まさふみ)

1976年静岡県生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。新しい時代とこれからの社会を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長を務める。インディーズレーベル『only in dreams』主宰。2020年12月2日、Gotch名義でソロアルバム『Lives By The Sea』をデジタルリリース。3月3日にはCDとLPがリリースとなる。

釜萢直起(かまやち なおき)

1973年東京生まれ。町田市で育ち、中学生のときにサーフィンやスケートボートと出会う。日本の大学へ進学するも、サーフィンを諦めきれずオーストラリアへ留学。サーフィンと旅の生活を送る。帰国後、広告代理店勤務を経て、1999年に独立。株式会社グリーンルームを設立し、サーフブランドのブランディング業を主軸に、イベント業やアートギャラリー、映画の配給などに携わる。2005年に同名の音楽フェス『GREENROOM FESTIVAL』を初開催した。

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