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羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う

羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う

AVIOT「TE-D01m」
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:川島悠輝 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2021/05/31

ドラムのフクダヒロアのドラムスタイルと佇まいの背景にある、ゆらゆら帝国の存在

―続いて、ゆらゆら帝国の“ソフトに死んでいる”(2005年)と、相対性理論の“小学館”(2010年)を選んだのは?

フクダ:これは僕です。ゆらゆら帝国さんは中学3年生の頃に聴いて、そこからものすごくのめり込みました。「こういうバンドってどこでライブをやっているんだろう?」と思って検索して、高円寺U.F.O.CLUBの存在を知って。

そこに出演している、壊れかけのテープレコーダーズさんや余命百年さん、割礼さんといったサイケデリックなバンドにたくさん出会うことができたんです。そういう、新たな世界を教えてくれたのもゆらゆら帝国さんだったんですよね。

フクダヒロア(羊文学)
フクダヒロア(羊文学)

―フクダさんにとって、サイケデリックなバンドはどんなところが魅力的だったのでしょうか。

フクダ:僕はダウナーな音楽というか、テンションが低いバンドが好きなんです。それとシューゲイザーやドリームポップのように聴いていると陶酔するようなサウンドや、「なんだ、この音は?」みたいに違和感を覚えるサウンドにも同じような理由で惹かれますね。

ゆらゆら帝国“ソフトに死んでいる”を聴く(Apple Musicはこちら

―ゆらゆら帝国は、フクダさんにどんな影響を与えていますか?

フクダ:彼らの佇まいにも惹かれます。亀川千代さんの黒ずくめでスキニーパンツとか見た目的にも影響を受けていますし、柴田一朗さんのドラムのセッティングも参考にしました。

もちろん、他にもUSインディーやポストロックなどいろんなところからの影響があるんですけど、低いセッティングにして猫背で叩く柴田さんがすごくカッコいいと思ったのは大きいですね。

河西:私もゆらゆら帝国さんは大好きです。今回、“次の夜へ”(2006年)という曲をセレクトしようと思ったけど先に出されてしまって(笑)。亀川さんのベースラインにもすごく影響を受けていますし、ライブの世界観にも惹かれます。ハヌマーンさんもそうですけど、そのバンドが持っている世界観ってすごく大事だなと思う。

―塩塚さんはどうですか?

塩塚:実は私、絶対好きなんだろうなと思いつつ、1枚くらいしかちゃんと聴いていないんですよね。あと、なぜか“ラメのパンタロン”(2001年)はすごく好きでよく聴いていました。坂本慎太郎さんのソロもものすごく好きです。「どこから音が出ているんだろう?」といつも思う。

ゆらゆら帝国“ラメのパンタロン”を聴く(Apple Musicはこちら

相対性理論が、東京のインディーシーンの様相を体感する入口に。そのボーカルとアレンジの妙についても

―相対性理論についてはいかがですか?

フクダ:僕は邦楽に興味を持ったきっかけが相対性理論さんなんです。やくしまるえつこさんの声もすごく魅力的で。映画『南瓜とマヨネーズ』(2017年)の劇中歌“ヒゲちゃん”という曲をやくしまるさんが手がけていて、それもすごく好きでDVDも持っています。普通にファンです(笑)。リズム面では羊文学の“ハイウェイ”や“ブレーメン”という曲に影響を受けていると思います。

羊文学『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』(2018年)を聴く(Apple Musicはこちら

フクダ:相対性理論さんを通じて2000年代終わりの日本の音楽にもハマりました。たとえば昆虫キッズさんや豊田道倫さん、大森靖子さんのような、当時アンダーグラウンドで活躍していたアーティストのライブを観るために、ライブハウスにも通うようになって。

相対性理論さんのメンバーだった真部脩一さんがプロデュースした集団行動さんや、古都の夕べさんのライブも観に行きました。古都の夕べさんのサポートメンバーがスカートの澤部渡さんや、THEピンクトカレフ(大森靖子のバックバンド)の高野京介さん、日本マドンナのさとこさんだったりして、人の繋がりからシーンが見えるというか。そこからミツメさんやシャムキャッツさんにも繋がっていくし、そういうふうに音楽を聴くのが楽しくて仕方なかったんです。

塩塚:私、相対性理論さんは「神」的な存在だと思っていますね(笑)。中学1~2年生の頃に『シフォン主義』(一般流通盤は2008年リリース)を最初に聴いたと思うんですけど、やくしまるさんのボーカルもそれまで聴いていたシンガーソングライターたちとは全然違う、ささやくような歌い方で。すごく可愛いんだけど無機質さみたいなものあって、そのバランスがいい意味でシュールだなと思っていました。

誰も気づいてないかもしれないんですけど、羊文学の“ロマンス”とか可愛い感じの曲をやるときは真顔で歌うようにしてて。それは相対性理論さんを聴いてきたなかで感じてきたシュールさの美学を意識しています。

羊文学“ロマンス”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

河西:バンドなのにすごく小さい声で歌っているから、「ライブだとどうなっているんだろう?」って思います。

塩塚:でも、全部の音が計画的に配置されているというか、すごく数学的なアレンジが施されている感じもあるからちゃんと聞こえるのかなと思ったり。羊文学にはできないやり方だなと思いますね。憧れはすごくありますけど。

相対性理論“小学館”を聴く(Apple Musicはこちら

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製品情報

AVIOT「TE-D01m」
AVIOT「TE-D01m」

静寂と高音質とを両立する2つのノイズリダクションを搭載したアクティブノイズキャンセレーション搭載モデル。

プロフィール

羊文学
羊文学(ひつじぶんがく)

塩塚モエカ(Vo,Gt)、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)からなる、繊細ながらも力強いサウンドが特徴のオルナティブロックバンド。2017年に現在の編成となり、これまでEP4枚、フルアルバム1枚、そして全国的ヒットを記録した限定生産シングル『1999 / 人間だった』をリリース。2020年8月19日に「F.C.L.S.」より『砂漠のきみへ / Girls』を配信リリースし、メジャーデビュー。2020年12月9日にはメジャー1stアルバム『POWERS』をリリース。しなやかに旋風を巻き起こし躍進中。

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