インタビュー

曽我部恵一、20年の集大成を語る。愛なき愛、歌の宇宙への入り口

曽我部恵一、20年の集大成を語る。愛なき愛、歌の宇宙への入り口

インタビュー・テキスト
北沢夏音
撮影:垂水佳菜 テキスト・編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

2021年3月、ぼくらは曽我部恵一と5時間あまり話をした。

2020年12月25日に配信リリースされた『Loveless Love』は、曽我部恵一のソロ活動20年目という節目を飾る最初の作品となった。この20年という年月は、曽我部恵一という音楽家にとって、あるいはこの国の音楽文化にとってどのような時間だったのだろうか。現在進行形で拡散し続ける曽我部恵一の歌の宇宙に手を伸ばし、その足跡を辿ることを通じて、日本の音楽文化の一側面を切り取れたら……そんなことを考え、ライター / 編集者の北沢夏音の力を借りてこの連続企画は動き出した。

これはその最初の取材の内容をまとめた最初の記事だ。20年という月日を辿っていく前に、ぼくらはまず『Loveless Love』について向き合う必要があった。曽我部恵一のソロワークにおける「最新形」であり「集大成」でもある(現時点での)最高傑作、そこには20年分の歌の年輪が刻まれている。膨張と混沌。圧倒的な情報量。多動的に視点が変化する、その歌の宇宙の現在地点を読み解くことは、そう容易にはいかなかった(それゆえにこの記事も序論のつもりが、紆余曲折を経て長大なものになってしまった……)。そして曽我部はこの6月、何の前触れもなく新曲“Emotional”を発表、早くも次の地点に向かいつつある。

<遅いぞ 追いついてこい>――曽我部も敬愛する故・ECD“俺達に明日は無い”のリリックが頭をよぎるが、これまでも、簡単には理解できない / させない作品を世に放ってきた彼が、創造の背景にあるものをこれほど率直に、具体的に明かしてくれたのだから、ぼくらもその信頼に全力で応えたいと思った。

取り憑かれたように創作と発表をくり返す曽我部恵一のロールモデルになった、ハーラン・エリスンの存在。そして、SF的な視点で現在を描写する歌のあり方、それと対を成すかのような動物の視点に立った歌の感覚について。

『Loveless Love』とは何だったのか? 曽我部恵一と北沢夏音の対話のパート1をお届けしたい。

曽我部恵一(そかべ けいいち)<br>1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。1990年代初頭よりサニーデイ・サービスのボーカリスト / ギタリストとして活動をはじめる。2001年のクリスマス、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル『ギター』でソロデビュー。2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント / DIYを基軸とした活動を開始する。以後、サニーデイ・サービス / ソロと並行し、形態にとらわれない表現を続ける。2021年4月14日、配信で先行リリースした最新アルバム『Loveless Love』をCDとアナログレコードで発売した。
曽我部恵一(そかべ けいいち)
1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。1990年代初頭よりサニーデイ・サービスのボーカリスト / ギタリストとして活動をはじめる。2001年のクリスマス、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル『ギター』でソロデビュー。2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント / DIYを基軸とした活動を開始する。以後、サニーデイ・サービス / ソロと並行し、形態にとらわれない表現を続ける。2021年4月14日、配信で先行リリースした最新アルバム『Loveless Love』をCDとアナログレコードで発売した。
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リリース情報

曽我部恵一『Loveless Love』
曽我部恵一
『Loveless Love』(2LP)

2021年4月14日(水)発売
価格:6,270円(税込)
ROSE 260X

[SIDE-A]
1. Cello Song
2. Yeah Yeah
3. ただ一度
4. 冬のドライブ

[SIDE-B]
1. どっか
2. 永久ミント機関
3. ブルーハワイ
4. ダンス

[SIDE-C]
1. 戦争反対音頭
2. Voyage
3. 満月ライン
4. 天国の南

[SIDE-D]
1. Sometime In Tokyo City
2. ハートブレイク

曽我部恵一『Loveless Love』
曽我部恵一
『Loveless Love』(2CD)

2021年4月14日(水)発売
価格:3,300円(税込)
ROSE 260

[CD1]
1. Cello Song
2. Yeah Yeah
3. ただ一度
4. 冬のドライブ
5. どっか
6. 永久ミント機関
7. ブルーハワイ
8. ダンス

[CD2]
1. 戦争反対音頭
2. Voyage
3. 満月ライン
4. 天国の南
5. Sometime In Tokyo City
6. ハートブレイク

プロフィール

曽我部恵一(そかべ けいいち)

1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。1990年代初頭よりサニーデイ・サービスのボーカリスト / ギタリストとして活動をはじめる。2001年のクリスマス、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル『ギター』でソロデビュー。2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント / DIYを基軸とした活動を開始する。以後、サニーデイ・サービス / ソロと並行し、形態にとらわれない表現を続ける。2021年4月14日、配信で先行リリースした最新アルバム『Loveless Love』をCDとアナログレコードで発売した。

北沢夏音(きたざわ なつを)

1962年東京都生まれ。ライター、編集者。1992年『Bar-f-out!』を創刊。著書に『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』(本の雑誌社)、共著に『青春狂走曲』(スタンド・ブックス)、『次の本へ』(苦楽堂)、『冬の本』(夏葉社)、『音盤時代の音楽の本の本』(カンゼン)、『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』(キネマ旬報社)など。ほかに『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の監修、山口隆対談集『叱り叱られ』(幻冬舎)の構成、寺尾紗穂『愛し、日々』、森泉岳土『夜のほどろ』(いずれも天然文庫)の企画・編集、『人間万葉歌 阿久悠作詞集』三部作、ムッシュかまやつ『我が名はムッシュ』、やけのはら『SUNNY NEW BOX』などのブックレット編集・執筆も手がける。

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