6人のクリエイターと考える「世界を想像して、日々の選択をすること」

身近な選択から、暮らしと社会を想像する。5人のクリエイターの実践と、自分を労わる5つのギフト

環境に配慮した製品を買うこと。着なくなった洋服を友人に譲ること。関心のあるニュースを目にして、シェアすること。

私たちと世界はつながっている。そんな当たり前のことを、コロナ禍の「おうち環境を整えること」や「慈愛」という考え方によって気づくことができるようになった。行動できる範囲は狭まったが、視野は自分次第で広くできる。身の回りのことはもちろん、遠くの国の大きな動きや社会情勢にも目を凝らし、生きやすさについて考え、世界を想像して日々の選択をすること。それが、遠くの誰かを守ることにつながるかもしれないし、環境に役立つかもしれない。

日々の選択を見つめ直すことや身近な物事から、自分の暮らしと社会の関係に思いを巡らせる本連載。第一弾では、MICO、かんたんなゆめ、ex. flower shop & laboratoryに、第二弾では、小林一毅、最果タヒに話を聞いてきた。今回は、5人のクリエイターが「世界を想像して、日々選択していること」をあらためて振り返りながら、ギネスビールのプロジェクト『Chill in GUINNESS』(※)で制作した、とっておきのアイテムを紹介していく。

(※)ギネスビールが、さまざまなシーンで活躍するクリエイターらとタッグを組み、オリジナル作品を制作するプロジェクト。味覚・視覚・触覚・聴覚・嗅覚のカテゴリーから1組ずつ選出された参加クリエイターは、「ギネスビール」の味わいから感じたインスピレーションをもとに、「夜チル」というオケージョンを表現した作品を⾃由に制作。

5人のクリエイターと考える「小さな行動でも地球や社会を変えていけると想像して、日々の選択をすること」

私たちの生活と世界がつながっていることを実感する機会が増えている。それは、生産背景を読み解いて、ものづくりの「質」に関心を向け、社会を見つめる人々が少しずつ増えてきているからではないか。

1人の投票から、コーヒー1杯から、洋服1着から、レジ袋1枚から。小さな行動でも、その一歩が地球や社会を変えていくかもしれないと想像して、日々の選択をする。一人ひとりの選択によって世の中のムードが変わり、企業の姿勢、社会の動きが変わっていくことはたしかだと信じて、自分なりのベストを選択したい。そのためには当たり前の日常を当たり前と思わず、一度立ち止まって、毎日の選択に目を凝らしてみたい。

本連載で話を聞いてきた5人のクリエイターも、自身の関心から物事を見つめ、一歩ずつ選択を重ねていた。

たとえば、ファッションに関心のあるアーティストのMICOさんは、長く着られる洋服を厳選するために「洋服に対する自分なりのルール」を設定。節約のために、そしてゴミにつながる可能性のある洋服を一着でも減らすためだ。

まず、身長や体格など自分の持って生まれた容姿を観察して似合うものを探す。そして、自分が色や形など好きなテイストを絞っていきます。私なら、ガーリーでアクセントが入っているものが好きなので、そのルールに沿ったものしか買わないことにしました。そうやってルールを決めたことで、「買えないもの」が増えて、長く着られるものが集まってきたと感じます。
- MICO

グラフィックデザイナーの小林一毅さんは、「食材」に関して専門的な知識を持つ人たちとの仕事の影響でさまざまな情報を得て、自身の「買い物」も変わってきたと話す。

近所で手に入る野菜、地元では手に入らないような肉や卵などを買うときも、できるだけ動物にとって適切な環境で育ったもの、生産者の姿勢に共感できるものを選びたいという意識に変わりました。
- 小林一毅

生活の大半を占める仕事のなかで、環境負荷やサステナビリティを考えて実践しているのは、かんたんなゆめ・寿里さんとex. flower shop & laboratoryさん。

伝統ある菓子店に勤めずとも、何百年と続く歴史ある和菓子の世界に関心を向け、一人の菓子職人として自分なりにできることを実践する。たとえば、寿里さんが使う練り切り用の道具は、やむなく閉じることになった菓子店で使われていたもの。

職人さんがつくった木型はしっかりしているので、一生使うことができるんです。100年前のものも、当たり前に現存して使われていたりするんですよ。お店で使われなくなった中古の道具をネット販売で見つけて、購入することもあります。
- かんたんなゆめ

ネットオークションやフリマサイトを通じて、中古でデザイナーズプロダクトなど質のいいものを求める動きも一般的になってきた。必要な人に受け継がれ、長く愛用されるものを購入することはこれからの新しい買い物の、ひとつの選択肢ではないだろうか。

ex. flower shop & laboratoryは、生花業界として問題視されている「フラワーロス」に取り組む。食材も花も、鮮度が命。商品でいっぱいになっている店は華やかだが、行き先のない品物の末路を想像しなければならない。

お店の在庫はなるべく少なくするように、フラワーロス0を目指して。お花の定期便サービスも行なっているのですが、注文数がわかっている状態で仕入れることでロスが出ない仕組みも整えています。あとは、どうしても出てしまうゴミをコンポストや染料に活用したり、粉砕して固めたもので花瓶をつくるなど、循環するような取り組みを進めています。
- ex. flower shop & laboratory

いきなり、ゴミ0の生活を目指し、身の回りのアイテムをすべて買い換えることは難しい。日々をガラリと変えなくても、自分の興味の範囲からできることを選択し、まずは気持ちだけでも変わること。詩人の最果タヒさんは、世の中への気持ちの向け方について話してくれた。

自分は自分の人生をずっと見てきているし、自分の考えも感情も全部知っていますが、他人についてはほんのわずかな面を見ているだけで、そのわずかな情報から、自分と同じような密度のある「人間」なんだって想像するには限界があります。そして、限界があるんだなと気づけることがとても私にとっては大切だったりもします。
- 最果タヒ

世の中が同じことで盛り上がることもあれば、誰ともわかり合えないと落ち込む孤独な日もある。それでも、人と人は違うことを前提に、私にとっての「違う」を大事にしたい。「そこをきちんと押さえれば世界の方を向いて生きられると信じられるんです」と最果さんは教えてくれた。

身の回りのことから想像を膨らませて、情報を取り入れて、選択をする大切さ。「世界」という言葉は大袈裟に聞こえるかもしれないが、小さくても継続的な行動は、世の中の未来をつくっていく。小林一毅さんはこんなことを言っていた。

限界はあるものの、「これでいい」というものではなく「これがいい」と思えるものを極力選びたいとは思っていますし、一つひとつは小さなアクションでも継続的に利用することで支持をし続けていきたいとは思っています。
- 小林一毅

ギネスビールとクリエイターがつくり出す、ここでしか体験できない「夜チルタイム」

生活と社会をつなげ、おうちでのひとときがもっと好きになるアイテムを。ギネスビールがクリエイターらとタッグを組んで制作したオリジナルアイテムには、そんな思いが込められている。これらのアイテムは、クラウドファンディングのリターンとして入手が可能だ。

PAMM×MICO:毎晩のリラックスタイムに着たくなるちょっと大人のルームウェア

MICOさんがオリジナルテキスタイルブランド「PAMM」と「触感」をテーマにつくったのは、オリジナルルームウェア。自分自身も気持ちよくなれるアイテムは、環境への影響も考えられている。

残布が出ないものづくりをしています。通常、洋服を裁断するときは無駄になる布がたくさん出ます。それならば、どこを切り取っても素敵になるデザインをしようと、製品によって少しずつ表情がことなる特別なアイテムが生まれました。
- 岡田知緋乃(PAMM)
今回は夜をテーマにしたオリジナルカラー。寝る前は、自分のために使える大切な時間だと思うんですね。落ち着いて過ごせるように、そして翌日の新しい私に向かっていく楽しみも忘れない、大人っぽいパジャマをつくりました。ミッドセンチュリーの家具に用いられるような赤色をアクセントに、遊び心もあります。
- MICO

かんたんなゆめ:夜の余暇を味わう和菓子

自分へのご褒美を選ぶ際も、ものづくりの姿勢に賛同する相手から買うことでより一層気持ちが豊かになるはず。「味覚」をテーマに和菓子をつくった、かんたんなゆめさんのプロダクトは、1日をがんばったご褒美にぴったりの、ビールに合う和菓子6種セット。

和菓子には珍しいチョコレートを使って、バニラがほんのり香るお菓子はギネスビールとのペアリングに。6月なので、紫陽花の季節に合わせた形です。せっかくなら、器などもこだわって、夜のご褒美タイムを演出してほしい。ギネスビールをグラスに注いで2分待つように、和菓子もお気に入りにの器に並べて、目で楽しんでからじっくり味わってもらえたらと思います。
- かんたんなゆめ

初夏のお花や和菓子の道具をあしらったパッケージを開けると、6種の和菓子が。紫陽花や菖蒲、若葉など季節の匂いがするような見た目に心から癒される。ペアリング用の練り切り2種以外は、抹茶やコーヒーなどその時の気分で。

冷蔵庫にある和菓子を楽しみに1日頑張れる、みたいな時間を提案できたらと思っています。夜は真っ暗で心細いこともあるけれど、パッケージも商品も、人の温もりを感じられる美しい景色をお届けしたいと思って、つくりました。
- かんたんなゆめ

ex. flower shop & laboratory:お部屋を重層的に彩る香りが詰まった熟成ドライフラワー

ex. flower shop & laboratoryが「嗅覚」をテーマにデザインしたのが、ポプリ。ビールと合わせて楽しめる香りというコンセプトで、3種の熟成させた香りがつまっている。

ヨーロッパのバーにあるドライフラワーから着想を得ました。気分に合わせて香りを選べるように3種類のポプリを。スモーキーな香りで独特な雰囲気を演出できるユーカリ、リラックスできるラベンダー、フレッシュに気分転換できるオレンジ。それぞれを掛け合わせて、2つ同時に箱を開けて香りを組み合わせて楽しむこともできます。
- ex. flower shop & laboratory

小林一毅:静かな夜こそ楽しめる音を奏でるドミノ

小林一毅さんが「聴覚」をテーマにつくったのが、静かな夜に音を楽しむための玩具。音楽体験としての「ドミノ」は、並べるときや倒したとき、遊んでいる限りつねに音に触れることができるもの。

シンプルに、素材の音を楽しめるドミノ。高いところから落としたり、部屋にあるものを使ってピタゴラスイッチ的に拡張させて新しい音を発見したり、いろんな音を楽しんでもらえると思います。

また、ドミノを通じて部屋にあるいろんな音を発見するのも楽しそうですよね。木材は4種類。芯が硬くて乾いた音のする広葉樹、穏やかな音の針葉樹、紙を細かく砕いたMDF材という趣の異なる材質を用意することで、さまざまな音を楽しんでもらえます。環境音こそ、静かな夜にぴったりだと思います。
- 小林一毅

最果タヒ:まるで月のよう。毎晩ちがう読み応えを届けてくれる特別な詩の本

詩人の最果タヒさんが「視覚」をテーマに手がけたのが、月をテーマにした詩集。

月の詩、という箱入りの詩集です。イメージとしてはビールを飲みながら読めるものを。お酒をメインに、合間にちょっとずつ読めるように4本くらいの詩と短編を入れました。ひとつはかぐや姫をベースにした短編小説で、あとは月について書いたものです。巻末付録には、月の満ち欠けを私の言葉で書いたものをまとめました。
- 最果タヒ

お酒を飲むことで味わえるふだんとは違う感覚は、詩の世界と触れるにあたってぴったりではないか、と最果さんは話す。

詩を一行ずつ、国語の授業のように解釈しようとするのではなくて、お酒が入るとちょうどいい距離感を持って向き合える気がします。不思議な力によって引っ張られたり、飛ばされたりするような感覚は、詩の世界と似ているのではないかと。その不思議な重なりを楽しめる一冊になっていると思います。
- 最果タヒ

自分を慈しむことは、明日の前向きな選択を手に入れるための大事なプロセスとなる。5人のクリエイターのものづくりの姿勢に触れたように、私たちの暮らしやその先にある社会のことを想像し、それぞれに興味や関心を広げながら、自分のための大切な夜の時間を過ごしたい。

プロジェクト情報
『Chill in GUINNESS』

ギネスビールが、さまざまなシーンで活躍するクリエイターらとタッグを組み、オリジナル作品を制作するプロジェクト。味覚・視覚・触覚・聴覚・嗅覚のカテゴリーから1組ずつ選出された参加クリエイターは、「ギネスビール」の味わいから感じたインスピレーションをもとに、「夜チル」というオケージョンを表現した作品を⾃由に制作。
ギネスについて
1759年にアイルランドで誕生したブランドで、世界約150カ国で楽しまれている、独自の技術による極めてクリーミィな泡となめらかな喉ごしが特長の上面発酵のプレミアムスタウトビールです。ビターチョコのようなほのかな苦みと甘みのバランスで自分へのご褒美のような贅沢な時間をお楽しみいただけます。
プロフィール
MICO (みこ)

エレクトロポップユニット「ふぇのたす」のボーカルとしてメジャーデビュー。2016年4月ソロプロジェクト「SHE IS SUMMER」として始動し、2021年4月に終了。リアルなガールズマインドと独特の世界観が支持され、高感度な音楽ファンから熱い視線を浴びている。また、ファッションアイコンとしても注目を集め、ユニクロ WEB CMを筆頭に数々のファッションブランドとコラボレーションを行う。

かんたんなゆめ

和菓子屋バー「かんたんなゆめ」として、日本橋に店舗を構える。日常に和菓子を取り入れるきっかけになるため、練り切りを中心に和菓子を広げる活動を展開。店名は、人生の栄枯盛衰は儚いという意味を持つ中国の故事「邯鄲(かんたん)の枕」になぞらえて付けた。

ex. flower shop & laboratory (イクス フラワーショップ アンド ラボラトリー)

花と緑の専門店ex. flower shop & laboratory。花屋として、花について正しい知識を持ち、その魅力を誰よりも深く理解すること。一輪一輪の色や形、香り、一本一本の佇まいと状態、生産者のこだわりと想いに目を向けること。すべての花を主役にできるよう、技術を磨くこと。そんな花屋としてのあたりまえを見つめ直し、極めることで、花屋の新しいスタンダードをつくります。

小林一毅 (こばやし いっき)

グラフィックデザイナー。1992年滋賀県彦根市生まれ。2015年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。資生堂クリエイティブ本部を経て2019年に独立。東京TDC賞、JAGDA新人賞、日本パッケージデザイン大賞銀賞、Pentawards Silver受賞。

最果タヒ (さいはて たひ)

詩人。最新詩集に『さっきまでは薔薇だったぼく』、その他の詩集に『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『天国と、とてつもない暇』『夜景座生まれ』など。エッセイ集に『神様の友達の友達の友達はぼく』『百人一首という感情』、短編集に『パパララレレルル』など。



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