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繋がって当然の世界、このままでいいの? 村松亮太郎×川村真司

繋がって当然の世界、このままでいいの? 村松亮太郎×川村真司

構成
島貫泰介
撮影:野村由芽

アナログとデジタルの果てに、身体性を見出していくような可能性を探っていきたいですね。(村松)

川村:今、ちょうどSOURの新曲“Life is Music”のPVを作っているのですが、それもクラウドファンディングを活用しています。ちょっとした作り方の実験ですね。“映し鏡”のときは、ニューヨークにいたのでKickstarter(アメリカのクラウドファンディング)を使ってたのですが、今回は日本のサービスを活用しつつ、反応を見てみたい。


村松:お金の問題に関しては、僕はベテランかもしれない。何しろ、いきなり会社作っちゃったから(笑)。プリンターのインクを買うために会議を開かなきゃいけなかったし、明日食べるものがなかったらどうしよう……と最初の頃は不安で仕方なかったですから。そういう意味でも、川村さんとは違うルートを歩んできたと思うのですが、理想とするところは一緒なんですね。

川村:そうなんですよ。目指しているところはみんな同じなんですよね。真鍋さんも全然違うジャンルから入ってきた人だけど、辿り着きたい場所はたぶん同じで。

村松:最初に映像作家がハイブリッドになってきているという話がありましたけど、川村さんなりにその理由の分析はできますか?

川村:いろいろ理由はあると思いますが、DIYが容易になったのは絶対に影響してますよね。それからYouTubeみたいな個人発表を前提としたプラットフォームの存在も大きい。昨日までごく普通のアイドル好きで個人でCGを作っていた人が、一瞬で注目を集めて人気CGクリエイターになったり、個人の「好き」という衝動と技術が組み合わせやすい環境が整い始めているのだと思います。広告会社に在籍していた時は、プロダクションに所属しているディレクターの中から選ぶようなオプションしかなかったけれど、今だったらVimeoで作品を偶然見て直接コンタクトをとってお仕事をお願いしたりとか普通にしますし。そういうハイブリッドな環境を体験してしまったら、プロフェッショナルな組織の大きさが逆に窮屈に感じる。そういう実感が、映像の世界全体にある気がしますね。

村松:川村さん自ら直接電話するんですね! そういう意味では、ネットがあって関係性が希薄になったなんて言われるけれど、ますますリアルが重要という感じですね。実は今、映像制作以外にも関心が向かっていて。定期的に開催しているワークショップをもっと盛んにしたり、あとは山梨県の勝沼でぶどう栽培をしようかと思っていて。うちはクリエイティブだったら何でもありなので(笑)。

川村:それいいですね! 楽しそうです。

村松:プロジェクションマッピングからぶどう栽培まで(笑)。でも、僕の中では同じなんですよ。ぶどうの栽培を勉強して、オリジナルのワインを作るのもクリエイティブじゃないですか? さらに、それを自分らの作ったデリで味わってもらうという。リアルな体験としてすごく豊かだと思うんです。

川村:オフィスでデリもやられるんですか?

村松:計画中です。新しい事務所に引っ越したばかりなんですけど、1階をデリにしちゃって、その中でプロジェクションマッピングをして遊んでみるとか。うちは映画美術もやってるので、空間も作れるんです。

川村:場ってある意味メディアですから、そういう環境が作れるのは強いですよね。大勢の人が集まるし、そこで自分の作っているもののデモンストレーションもできる。まさに理想的な表現の場じゃないですか。

村松:あとは体感ですよね。リアルな体験、リアルな身体性を感じられる場を作りたくて。

川村:面白いです。やっぱり、全てのものは体験に返ってくるんですよね。僕らもデジタルなことをやっているけど、最終的にはスクリーンの外で表現をしたい。ビデオチャットとかで世界中繋がれるようにはなったけど、やっぱり限界も感じるというか。ネットが普及して世界中どこにいても一瞬で繋がれるようになったけど、触れられない、嗅げない、体温が伝わらない、空気の振動が伝わらないっていうのは、デジタルでは超えられない壁で、だけど人は本当はそれを求めてるし、それだけはいつの時代も変わらない価値だったり。

村松:現状の「世界中、いつでもどこでも繋がってる、万歳!」って、よくよく考えたら何が面白いんだって話ですよね。

川村:その先が見たいですよね。繋がっているのが前提の世界になったけど、そこで何ができるのかがまだ提示しきれてないというか。

村松:昔の映画って、携帯電話やインターネットがなかったからこそ成立する物語がたくさんありましたよね。会えるか会えないかわからないからこそ起こるドラマがあって、それが物語を牽引していった。

川村:技術によって余白がなくなっちゃうことで、コミュニケーションの重みが減ってるのかもしれないですね。僕は海外にいたから、遠くの人と繋がれて便利という恩恵を享受しているけれど、だからこそその恩恵を糧にして、次に進みたいと思う。

村松:アナログとデジタルの果てに、身体性を見出していくような可能性を探っていきたいですね。

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村松亮太郎関連イベント

特別展『京都−洛中洛外図と障壁画の美』秋のスペシャルナイト
『3Dプロジェクションマッピング付き特別夜間開館』

2013年10月16日(水)〜10月17日(木)18:00〜21:00(入館は20:30まで)
会場:東京都 東京国立博物館 平成館
時間:18:10〜20:20(約5分間の映像をループ上映予定)
料金:2,400円
3Dプロジェクションマッピング鑑賞券+特別『「京都−洛中洛外図と障壁画の美』特別夜間開館入場券1枚+マッピング映像DVDお土産つき
※9月20日からチケット発売開始、枚数に達し次第販売終了(2日間で限定2,728枚)

川村真司関連イベント情報

第325回企画展
『PARTY そこにいない。展』

2013年9月4日(水)〜9月28日(土)
会場:東京都 銀座 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
時間:11:00〜19:00(土曜は18:00まで)
休館日:日曜、祝日
料金:無料

プロフィール

村松亮太郎(むらまつ りょうたろう)

映画監督、映像クリエイター。クリエイティブカンパニーNAKED inc.代表。TV、広告、MVなどジャンルを問わず活動を続ける。2006年から立て続けに長編映画4作品を劇場公開した。自身の作品がワールドフェストヒューストングランプリ受賞など、国際映画祭で48ノミネート&受賞中。近年は3Dプロジェクションマッピングに着目し、昨年末話題となった東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』の演出を手掛けた。

川村真司(かわむら まさし)

1979年東京生まれ、サンフランシスコ育ち。博報堂、BBH Japan、180 Amsterdam、BBH New York、Wieden & Kennedy New Yorkといった広告代理店を経て、現在東京とニューヨークを拠点とするクリエイティブ・ラボPARTYを設立し、クリエイティブディレクターとして在籍。ToyotaやGoogleといったブランドのグローバルキャンペーンを手がけつつ、「Rainbow in your hand」のようなプロダクト・デザイン、SOUR「日々の音色」やandrop「Bright Siren」ミュージックビデオのディレクションなど活動は多岐に渡る。主な受賞歴に、カンヌ国際広告祭、文化庁メディア芸術祭、アヌシー国際アニメーションフェスティバル、NY ADC、One Show、等。2011年Creativity誌によって「世界のクリエイター50人」そして2012年Fast Company誌「100 most creative people in business」に選ばれた。

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