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なぜ『君の名は。』は大ヒットした?宣伝・弭間友子の仕掛けとは

なぜ『君の名は。』は大ヒットした?宣伝・弭間友子の仕掛けとは

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インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

日本のエンターテイメント業界の最前線で戦い続ける人物に話を聞く連載『ギョーカイ列伝』。第9弾に登場するのは、大ヒット映画『君の名は。』の宣伝を手掛けた東宝の弭間(はずま)友子。

美しい映像美を伝える予告編やポスターの作成、監督の名前の積極的な打ち出し、独自の企画を盛り込んだ上映会の開催など、多方面で展開された宣伝プランの中心には、企画段階から作品に関わっていた彼女の存在があった。その功績が認められ、『日経WOMAN』が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017」で大賞も受賞している。

約15年間にわたって映画の宣伝に携わり続け、『ハリー・ポッター』から『けいおん!』に至る、様々なヒット作に関わってきた弭間は、宣伝の主役が新聞や雑誌だった時代から、インターネット / SNSへと移り変わっていく流れをリアルに体験してきた世代と言える。『君の名は。』のBlu-ray&DVDの発売が発表されたタイミングで、改めて『君の名は。』のヒットの要因を探ると共に、宣伝という仕事の醍醐味を訊いた。

「『あの』新海誠」みたいな、もはやみんなが知ってるくらいの前提で宣伝物を作っていったんです。

―『君の名は。』の大ヒットの要因について、宣伝担当という立場からはどのように捉えていらっしゃいますか?

弭間:もちろん宣伝はすごく頑張ったんですけど、一番の要因はやっぱり物語自体がすごく面白かったということだと思います。最初の真っ新な段階から打ち合わせに参加させてもらっていたのですが、監督から企画書が上がってきた段階で、物語に絶大な自信を持ちました。だからこそ「これは当てたい」と、最初からずっと強く思っていましたね。

弭間友子
弭間友子

―映画の場合、宣伝担当の方が作品の企画会議から参加されるのは非常に珍しいことだと思うのですが、それはなぜだったのでしょう?

弭間:私は『言の葉の庭』(2013年公開、新海誠監督の作品)の宣伝担当もやらせてもらっていて、それはできあがりに近いところからの参加だったんですけど、監督を取材対象として売り込みたいと思って各メディアへ交渉し、公開してからは全劇場の舞台挨拶を一緒に回ったんです。3週間くらいかけて23館を回りました。その最後の日に、監督が「東宝とやれてよかった。次の作品も東宝でやりたい」って言ってくれて。

―そこで信頼関係が築かれていたんですね。

弭間:最後に行ったのが徳島で、東京に帰る飛行機のなか、みんな疲れ果てていたんですけど、監督はずっと「弭間さん、次の作品はどういうのがいいかな?」って話し続けてくれて。私は企画プロデューサーではないので、「この先の未来でどんなものが流行るのかなんて全然わからないな」と思いながら話してたんですけど(笑)。でも、その流れで「次の作品も東宝で」と、監督が言ってくれたんです。

しかも、監督はそれまで脚本もコンテもご自身お一人で書いていたんですけど、『君の名は。』の脚本に関しては、最初から私たちと共有しながら、一緒に作らせてもらいました。それは監督にとって初めての試みだったと思います。

『君の名は。』ポスタービジュアル。ポスターなどの宣伝物も、弭間のディレクションによるもの
『君の名は。』ポスタービジュアル。ポスターなどの宣伝物も、弭間のディレクションによるもの

―新海監督を全面に押し出すプロモーション方法は『君の名は。』も同様だったと思うのですが、なぜそこを重視されたのでしょうか?

弭間:私、実は『言の葉の庭』を担当するまで、新海監督の作品を観たことがなかったんです(笑)。もちろん、彼のファンはすでにいっぱいいて、『言の葉の庭』の舞台挨拶は毎回満席でしたし、23館のみの公開だったにもかかわらず興行収入は1億を超えたので、世の中的には人気の監督でした。でも、私はアニメに疎く、それまでホント知らなくて……。

弭間友子

弭間:でも、まったく知らなかったからこそ、『言の葉の庭』のビデオコンテを見せてもらったときに、とにかくそのきれいさにびっくりしたんです。これは一本の芸術作品として売るべきだし、こんなにすごい人がいることを、もっと世の人たちに知らせるべきだと思いました。それをやるのであれば、新海監督に実際出てもらって、語らせるしかないなと。

―その考えを、『君の名は。』でも踏襲されたということですね。

弭間:『言の葉の庭』は宣伝費が1000万くらいだったので、テレビスポットも打てなかったし、大きな宣伝はできなかったんです。『君の名は。』では、より全国の人に知ってもらうチャンスが来たと思って、同じ方向性で宣伝をもう一度やろうと思いました。

なので、ポスターでも予告編でも、「新海誠最新作」というのを押し出しました。もちろん、「新海誠って誰?」と思う人もいたと思うんですけど、「『あの』新海誠」みたいな、もはやみんなが知ってるくらいの前提で宣伝物を作っていったんです。

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リリース情報

『君の名は。』Blu-rayコレクターズ・エディション
『君の名は。』Blu-rayコレクターズ・エディション(5Blu-ray)

2017年7月26日(水)発売
価格:12,960円(税込)
TBR-27260D

『君の名は。』Blu-rayスペシャル・エディション
『君の名は。』Blu-rayスペシャル・エディション(3Blu-ray)

2017年7月26日(水)発売
価格:8,424円(税込)
TBR-27261D

『君の名は。』Blu-rayスタンダード・エディション
『君の名は。』Blu-rayスタンダード・エディション(Blu-ray)

2017年7月26日(水)発売
価格:5,184円(税込)
TBR-27262D

『君の名は。』DVDスタンダード・エディション
『君の名は。』DVDスタンダード・エディション(DVD)

2017年7月26日(水)発売
価格:4,104円(税込)
TDV-27263D

プロフィール

弭間友子(はずま ともこ)

1977年7月3日神奈川県生まれ。明治大学商学部在学中に映画館でのアルバイトを経験。映画宣伝会社レオ・エンタープライズに入社時は、『A.I.』『ハリー・ポッターと賢者の石』などの大作映画の宣伝を担当する。2002年に20世紀フォックス映画宣伝部へ転職。共同ピーアールを経て、2011年に同社関連会社のマンハッタンピープルへ。アニメ映画『けいおん!』の宣伝を担当。2012年、東宝入社。主にアニメ映画を中心に宣伝戦略を立案。映画『君の名は。』については、2014年の企画スタートから関わる。『日経WOMAN』(日経BP社)が選ぶ『ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017』の大賞を受賞。

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