コラム

2016年に一番愛された作品は? カルチャーランキングを発表

2016年に一番愛された作品は? カルチャーランキングを発表

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CINRA.NET編集部

【演劇編】笑いとシリアス、アイロニーどれも色鮮やかで濃密な作品が並んだ2017年の演劇シーン

10位 劇団鹿殺し『image-KILL THE KING-』再演

劇団鹿殺し『image – kill the king -』ビジュアル
劇団鹿殺し『image – kill the king -』ビジュアル

2016年に活動15周年を迎え、記念公演として『キルミーアゲイン』『名なしの侍』を上演してきた劇団鹿殺し。『image-KILL THE KING-』は2003年に初演された作品で、地球人の滅亡と更生を目的とした宇宙人や、反旗を翻した人造人間などが登場する「妄想系SFカルト劇」です。

特集:中村勘九郎と鹿殺しの叫び「面白いものを作りたいだけなのに!」

9位 岡田利規×森山未來パフォーマンスプロジェクト『in a silent way』

森山未來 ©Miyamoto Takeshi
森山未來 ©Miyamoto Takeshi

『瀬戸内国際芸術祭2016』夏会期の参加プログラムで、直島のベネッセハウス ミュージアムにあるシリンダー状の特殊な空間で、一人の革命家が声を発し始めるというパフォーマンス。岡田と森山がコラボレーションするのはこれが初めてで、直島に滞在し制作が行なわれました。

8位 カミーユ・ボワテル『ヨブの話―善き人のいわれなき受難 L'homme de Hus』

カミーユ・ボワテル『ヨブの話―善き人のいわれなき受難 L'homme de Hus』ビジュアル
カミーユ・ボワテル『ヨブの話―善き人のいわれなき受難 L'homme de Hus』ビジュアル

フランスを拠点に活動するコンテンポラリーサーカスのパフォーマー、カミーユ・ボワテルの処女作。旧約聖書の『ヨブ記』にインスピレーションを受けて作られた作品で、ある男が様々な災難に見舞われる様が描かれます。2003年の初演から「この作品を二度と上演しないと心に誓っていた」という本作が十数年ぶりに再演されました。

特集:サーカスの概念を覆す「現代サーカス」の気鋭カミーユ・ボワテル

7位 ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』

ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』ビジュアル
ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』ビジュアル

将棋サロンやゲームセンターがある「おっさん天国」こと、大阪・新世界を舞台にしたSF作品。「おっさん」がドローンと戦ったり、ロボットアームに王手飛車取りを迫られたり、ホログラフィの娘と言い合いしたりする世界が描かれます。作・演出を手掛けるのはヨーロッパ企画主宰の上田誠。音楽はキセルが担当しました。

6位 ハイバイ『おとこたち』再演

ハイバイ『おとこたち』ビジュアル
ハイバイ『おとこたち』ビジュアル

2014年初演の同作は、境遇の異なる男性4人の人生を描いた作品。サラリーマンや紹介予定派遣労働者、知人のがん治療などへの取材を通して、「老い」「認知症」「人生の幸福度」「社会」をテーマに制作された「ハイバイ流の大河ドラマ」。再演版には、劇団サンプルの主宰・松井周も新たに参加しました。

5位 阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』再演

阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』ビジュアル
阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』ビジュアル

2016年に20周年を迎えた阿佐ヶ谷スパイダース。2004年初演の本作では、幻のリンゴを作り出す夢に破れた男たちが、若い女が運び込んだ「幸運の液体」を手にしたことをきっかけに、リンゴ栽培を再開させようと暴走していく様を描きました。再演版には初演時の出演者が再集結。さらに北浦愛が出演しました。

4位 『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』

『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』ビジュアル
『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』ビジュアル

2007年の『犯さん哉』、2011年の『奥様お尻をどうぞ』に続くケラリーノ・サンドロヴィッチと古田新太のコラボレーション企画の第3弾。古田のほか、成海璃子、賀来賢人らが出演しました。ケラリーノ・サンドロヴィッチ曰く、タイトルは映画『ヒトラー~最期の12日間~』をスケールアップしてみた、という一作。

3位 維新派『アマハラ』

維新派『アマハラ』ビジュアル
維新派『アマハラ』ビジュアル

2010年に「20世紀三部作」のアジア篇として上演した『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』を再構成した作品で、日本とアジアの国を繋ぐ「海の道」を辿った人々の物語が、史実を織り交ぜながら描かれました。今年6月に逝去した松本雄吉が率いた維新派の最後の公演となり、平城宮跡で野外上演されました。

特集:賢い人がバカをいじめる時代に叛逆した、演出家・松本雄吉の半生

2位 『大パルコ人3 ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」』

『大パルコ人3 ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」』メインビジュアル
『大パルコ人3 ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」』メインビジュアル

宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第3弾。キャストには、瑛太、増子直純(怒髪天)、三宅弘城、皆川猿時、りょうらが名を連ねているほか、宮藤も自ら出演。上原子友康(怒髪天)が「ステキロックオペラ」を彩る音楽を担当しました。

1位 NODA・MAP『逆鱗』

NODA・MAP『逆鱗』メインビジュアル
NODA・MAP『逆鱗』メインビジュアル

野田秀樹率いるNODA・MAPの新作公演。沈没船で人間と交わした約束を果たすため、人間のふりをして地上に現れた人魚が、海中水族館の「人魚ショー」で人魚のふりをした人間と出会うことから始まる物語。7年ぶりにNODA・MAPの公演に出演した松たか子をはじめ、瑛太、井上真央、阿部サダヲらが出演しました。


総括
演劇部門は合計99作品に投票があり、素晴らしいステージがたくさんあったことを強く実感する結果になりました。ケラリーノ・サンドロヴィッチ×古田新太のコラボ企画、宮藤官九郎の「大パルコ人」など、シリーズもののランクインが目立った印象。

各界で偉大な功績を残した巨匠たちが亡くなった2016年でしたが、演劇界でも蜷川幸雄や維新派の松本雄吉が逝去。松本は生前、平城宮跡について「身体に空間の広がりと時間の深遠を強く認識させる場所」と語っていたとのことで、2017年には3位にランクインした『アマハラ』の海外公演も予定されているそう。

1位に輝いたNODA・MAP『逆鱗』については、年始に上演された作品でしたが2016年を総括してダントツで1位となりました。「舞台を今まで見たことのない方が最初に見るのがNODA・MAPだったらすごく驚くと思う」とキャストの阿部サダヲも本作のトレーラー映像でコメントしています。演劇初心者の方は、2017年にぜひNODA・MAPで新たな驚きを感じてほしいです。

また、ライターの島貫泰介は2016年を「都市型演劇祭の定着を強く感じる1年」と評しています。特に今年1月にリニューアルオープンしたロームシアター京都をベースとして春と秋に開催された『KYOTO EXPERIMENT』について、「演劇が本質的に持っている『公共・社会との関わり』を実践的に考える場となる劇場空間が京都中心部に立ち上がったことは、可能性の拡張として歓迎したいと思います」とコメント。

それに対して、独自の国際的なネットワークを結びながら、劇場に依存しない試みにチャレンジしている特定非営利活動法人「芸術公社」を例に挙げ、「よりインディペンデントな活動でも興味深い動きがありました」と言及しています。こういった2016年の動向から、「個々の作品の完成度を高めるだけでなく、もっと広範に、もっと多角的に芸術と社会の関わりを考えなければならない、というクリエイターたちの共通認識」が見えてくること、そして「それは来年以降さらに加速するのではないかと思います」と2017年への期待を寄せています。

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