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NOSIGNER×地元中小企業。ビジネスを変えるデザイン戦略って?

NOSIGNER×地元中小企業。ビジネスを変えるデザイン戦略って?

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:豊島望

企業とクリエイターを結ぶ『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』がまもなく始まる。先進的なデザイナーと地元企業による実験的プロダクト展『ヨコハマの家』やワークショップやセミナーなどが繰り広げられる1週間だ。

そこで今回は、『ヨコハマの家』に関わるキーパーソンに取材を敢行。集まったのは、「Firefox」で知られるMozilla Japanのオフィスを同団体のオープンソース理念でデザインした「MOZILLA FACTORY SPACE」や、東日本大震災の発生直後に誕生した、被災地で活きる知識共有サイト「OLIVE」を手がけたNOSIGNERの太刀川英輔。先端技術複合材料の取扱企業・ACMから大久保茂社長。さらに、彼らを引き合わせた『ヨコハマの家』企画担当のYADOKARIから、さわだいっせい、ウエスギセイタも合流し、異領域のコラボで新しい価値を生み出すプロセスから、その協働の可能性まで語り合ってもらった。こうした試みをその場限りで終わらせずに未来へつなぐ鍵とは? 都市とクリエイターと企業の新しい関係を探る。

横浜のもの作りには人々の暮らしを支えてきたものが多くあります。ただ、いかにすごい技術や特殊なノウハウを持っていても、多くの人にはそのすごさが見えづらい。(さわだ)

―今日は『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』(以下、『YCW』)内の展示企画『ヨコハマの家』を軸にお話を伺えたら幸いです。まずはYADOKARIのさんとウエスギさん、企画の経緯についてお聞かせいただけますか?

ウエスギ:はい。『YCW』は、先進的なクリエイターと、地元の優れた技術を持つ企業の出会いを促進する横浜市の活動から生まれた公開イベントです。全体のプロデュースは「PASS THE BATON」「Soup Stock Tokyo」などで知られるスマイルズで、僕らはそこで展覧会の企画を担当します。

『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』ポスター画像
『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』ポスター画像

―その展覧会『ヨコハマの家』では、クリエイター陣と地元企業が4組のペアとなり、それぞれ実験的なもの作りに挑むそうですね。でも、なぜ「家」がテーマなのでしょう?

ウエスギ:もともと僕らYADOKARIは、ウェブメディア「未来住まい方会議」を軸に、世界各地のユニークなスモールハウスなど、「家」をキーワードにした創造的活動を幅広く紹介しています。その中で、家がコミュニケーションの起点になって、多彩なクリエイションが始まる例をたくさんみてきました。なので、今回もまず家をテーマに何かできないか? と考えました。そこから「食卓」を切り口にクリエイティブを探る案が生まれたんです。

左から:ウエスギセイタ、さわだいっせい
左から:ウエスギセイタ、さわだいっせい

―食卓というと、家族の団らんの風景などが思い浮かぶので意外ですが……。

ウエスギ:そうですよね。そこで今回は、「企業とクリエイターの団らん」という発想で臨みました。そうすることで、より密接で、新しい視点によって両者を結ぶことができるのでは? と考えたんです。その団らんから生まれたものを通じて、それぞれの技術力と発想力の出会いが可視化できたら素晴らしいなと。

さわだ:歴史的にも、横浜のもの作りには人々の便利な暮らしを支えてきたものが多くあります。ただ、いかにすごい技術や特殊なノウハウを持っていても、普段は裏方的な立ち位置ゆえ、多くの人にはそのすごさが見えづらい。そこで、日常空間である「食卓」を舞台に展示をすることで、より伝わりやすくなるのではないかと考えました。YCC ヨコハマ創造都市センターの開放的な空間に、長屋風の小屋を建て、そのあちこちに各組が生み出したプロダクトが配される予定です。

『ヨコハマの家』の会場イメージ図
『ヨコハマの家』の会場イメージ図

―コンセプトと展示空間、いわば二重の意味で「家・食卓」がキーワードなんですね。YCCという歴史ある建物の中に、「新しいもの作り」を見せる家が建つという関係性も興味深いです。各組のコラボレーションにお題のようなものはあるのですか?

さわだ:「和」をイメージしたもの作りをお願いしました。これも、身近でわかりやすい形で、優れた技術を紹介したいという思いからです。タンスの引き出しやスツールの脚をガラスで美しく修復した作品や、和紙などを活かして照明器具をリデザインする試みがいま進行しています。

―太刀川さん率いるNOSIGNERと、大久保さんのACMの協働は、中でも注目度が高いものかと感じます。この組み合わせの理由は?

ウエスギ:参加陣を考える際に市側からも強い推薦があったのが、CFRPという注目の新素材を扱う技術を持つACMだったんです。一方、この特殊な素材を活用し、対等にコラボレーションできるクリエイターは限られるとも感じて。これは太刀川さんたちしかいない、という思いで双方にお声がけしたんです。

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イベント情報

『YOKOHAMA CREATIVE WEEK』

2015年11月4日(水)~11月8日(日)
会場:神奈川県 横浜 YCC ヨコハマ創造都市センター
時間:11:00~22:00(最終日は20:00まで)
料金:無料

プロフィール

太刀川英輔(たちかわ えいすけ)

NOSIGNER株式会社代表取締役。ソーシャルデザインイノベーションを生み出すことを理念に活動中。その手法は世界的にも評価され、Design for Asia Award大賞、PENTAWARDS PLATINUM、SDA 最優秀賞、DSA 空間デザイン優秀賞など国内外の主要なデザイン賞にて50以上の受賞を誇る。災害時に役立つデザインを共有する「OLIVE PROJECT」代表。内閣官房主催「クールジャパンムーブメント推進会議」コンセプトディレクターとして、クールジャパンミッション宣言「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」の策定に貢献。

大久保茂(おおくぼ しげる)

株式会社ACM代表取締役社長。炭素繊維の優れた特性を生かし、設計から成形、機械加工、接合、組立までを一貫して行う。その用途はロケット衛星、自動車部品、半導体デバイスなど多岐に渡る。

さわだいっせい / ウエスギセイタ

YADOKARI株式会社 代表取締役。2012年「YADOKARI」始動。世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「未来住まい方会議」を運営。2015年3月、250万円のスモールハウス「INSPIRATION」発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」、空き部屋の再活用シェアドミトリー「点と線」、北欧ヴィンテージ雑貨店「AURORA」を運営。また名建築の保全・再生の一環で黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」の一室をサポーターとともにソーシャルリノベーションし、シェアオフィスとして運営。著書に「アイム・ミニマリスト(三栄書房 / 2015年11月末発売)」がある。

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